パズラー 謎と論理のエンタテイメント

著者 :
  • 集英社
3.18
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本棚登録 : 138
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747041

感想・レビュー・書評

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  • 再読。トリッキーな短編集だか、情念のこもった展開とあり、面白い。

  • (収録作品)蓮華の花/卵が割れた後で/時計じかけの小鳥/贋作「退職刑事」/チープ・トリック/アリバイ・ジ・アンビバレンス

  • ミステリー短編集

  •  謎と論理のエンタテイメントらしいが。
     そんなに論理性があったかなぁ。んー、何が気に食わないのか。法月と比べるからいかんのかな。探偵が調査をしているわけじゃないからいかんのかな。
     六つの短篇が入っている作品集。話が繋がっているわけではなく場所も設定もばらばらなんだけれど、初っ端の「蓮華の花」が日常ミステリっぽかったから、その時点で期待していたものと違うと思ったのかもなぁ。
     きちんと警察が出てきて操作をしていたのが「卵が割れた後で」と「贋作「退職刑事」」(これはどうやら都築道夫作のパロらしい。)
     「時計仕掛けの小鳥」と「アリバイ・ジ・アンビバレンス」は安楽椅子もの。(後者は微妙だけど。)
     「チープ・トリック」は中々意外性があって面白かったかな。生々しい描写が多くてじっくり読むのはちょっとあれだけど。
     「謎と論理の~」という煽り文句で綾辻の『どんどん橋~』や有栖川の国名シリーズ、法月のシリーズを思い浮かべた辺りが高柳の敗因だろう。先入観を一切排除すれば西澤らしくて面白い本だった、と。

    05.06.06

  • 最後の話が好きだった

  • 舞台がアメリカの話は翻訳ものは読みづらいけど、日本人作者のものなら読みやすい…。どれもなかなかに面白かったと思う。

  • 20年ぶりの同窓会で、同級生の女性を既に亡くなっていたと思い込んでいた勘違いの裏…。フロリダの草むらで発見された日本人留学生の死体、肘には腐った卵が付着していた…。6つの謎とアクロバティックな論理を含んだ短編集。タイトルから、もっとパズルパズルした内容を想像したが、思いのほかストーリー的にも堪能できる6つの短編からなる作品集。(パズルパズルってなんだよ!←自分ツッコミ)ほほぅ〜と納得したり、そんな手があったか!と驚いたりで飽きない作品群だが、猟奇的、性的描写がどうにも馴染めないものがあって、作品全体の印象はどちらかというとやや苦手なタイプ。そこを割り切ってドライにその論理展開を楽しめたらよかったかもしれない。以下覚え書きのためにあらすじ&メモを(ネタバレは…たぶんない)。『蓮華の花』作家としてどうにか成功した主人公は20年ぶりに同窓会に出席した。そこでとっくに亡くなったと思っていた女子クラスメイトに会う。どうしてそんな勘違いが起こったのか。思い出の中の蓮華の花の少女は…。記憶の曖昧さ、最後に集約される謎の解明、真相が主人公の「今」に繋がっていて、一番作品としては印象がよかった。『卵が割れた後で』フロリダで日本人留学生が遺体で発見された。肘には割れた卵が付着し、現場には酒瓶などの買い物商品が転がっていた。通り魔的犯行か?それとも…。海外留学経験を誇る日本人の滑稽さ、刑事たちのキャラがなかなか面白い。『時計じかけの小鳥』女子高校生が何げなく暮らす日常。だが、ふとしたきっかけで過去の出来事に疑問を覚え、推理を巡らせると…。自分が嵌められた計略に気付く論理的思考と嵌めた者たちの悪意が読みどころ。『贋作「退職刑事」』元ネタは未読だが、安楽椅子探偵ものとして楽しめる作品。都筑氏もそうだが日本ミステリで未読のものがとっても多いことを改めて痛感。『チープ・トリック』悪評高い乱暴者の高校生が殺害された。悪事の最中に見舞われたアクシデントか?それとも人為的に可能な犯行だったのか。アメリカを舞台にした物理的トリックの作品。どうにも苦手な表現が続いて最後まであまり楽しめなかった。『アリバイ・ジ・アンビバレント』クラスメイトの男子が殺害された事件。容疑を自白する女子生徒にはアリバイがあった。なぜならほかならぬ主人公が犯行時間帯に女子生徒の行動を目撃していたから。鉄壁のアリバイがあるはずの彼女がなぜ犯行を自供しているのか。捨て身の二重策を弄した彼女、その真相を二人の高校生が論証していく過程はなかなか面白い。

  • 登場するキャラクターに魅力がなく思い入れができないので、謎を解かれてもふーん、という感じ。巻末の解説「パズル小説はパズルが主で小説が従であっても本当にいいのか」。あ、そのとおりだと思います。

  • タイトルそのまんま。まさに「謎と論理のエンタテインメント」そのもの。
    「時計じかけの小鳥」と「アリバイ・ジ・アンビバレンス」は再読なのだけれど、やはり巧いなあ、と感じさせられる逸品。論理メインの「パズル小説」には違いないのだけれど、全然味気なくなんてないし。何とも言えない皮肉な一面が個人的にはかなり高評価。
    そしてやはりすごいと思ったのが「贋作『退職刑事』」。……これ、本物の「退職刑事」短編集に入れられててもまったく違和感がないと思う。キャラクターだけじゃなく、文体やなんやの雰囲気もそっくり。都筑作品への深い思い入れが感じられて、なんともお見事!

  •  私にとっては前作の「夢は枯れ野をかけめぐる」同様、日常の謎をサスペンスを交えて描いたような味わいがある短編集。SFミステリを読み慣れていたので、普通のミステリも上手だなあと生意気にも感服しました。 アメリカが舞台になっている話も多いですが、経歴を見れば納得でした。銃社会などなじみのない猟奇的描写がちょっと読んでてしんどくなりますが。

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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