I'm sorry,mama.

著者 :
  • 集英社
3.15
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本棚登録 : 999
感想 : 189
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087747294

感想・レビュー・書評

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  • アイ子さん怖いです。アイ子が若くて美人だったら、狡猾だったり歪んじゃってもまだ絵になりますが、中年女でブサイクってところが不気味な意味でこれまた怖いです。
    結構重い物語だとは思いますが、どっしり感が全然なくてむしろ軽い感じで、あっという間に読めてしまうので拍子抜けです。アイ子の性格もあるのかな。発狂めいたところはないし、結構人間らしいし、ただ歪んでる。殺人を犯す人間が狂っていないのかというのは置いておいてです。

    タイトルの「アイムソーリー」はどの部分を謝っているんだろうと思いました。もしかして生まれてきたこと、かな。
    だとしたら切ないですね。アイ子にも同情の余地はありますが、ああも歪んでしまってはどうしようもないです。これから更生できるとは思えません。切ないですが妥当なラストのような気がします。
    ……なんかふてぶてしく生きてそうな気もしてきましたが。
    嫌いじゃない終わり方でした。

  • 色んな「ママ」が出てくるこの作品、他の桐野作品同様ページをめくる手が止まらなくて一気読み。
    この人の書く人間って、人間の嫌なエッセンスを蒸留したようなのばっかりで読んでて嫌になってくる。
    アイ子は果たして向こう岸までたどり着いたのかな。
    たどり着いてまた同じことの繰り返し、の結末のほうを希望してしまう。なんとなく。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「人間の嫌なエッセンスを蒸留したような」
      ため息出ちゃいますよね、、、
      「人間の嫌なエッセンスを蒸留したような」
      ため息出ちゃいますよね、、、
      2012/04/06
  • 桐野さんが大好き。桐野さんは人間の嫌なところを炙り出すのだけど、それが好きというか「そうそう」と激しく頷いてしまう人が私はじめ多いということなのですよね。その証拠に、このハードカバーの写真が森山大道とか装丁のイケていること!

  • 個人的に桐野夏生最高傑作。
    デブでブスの最低女が走る!食う!やる!殺す!

  • むかーし読んだ時、面白かった記憶があり
    再読してみたけど…
    昔の私は、ホントに面白いと思ったんやろか?
    記憶違い?
    と思うくらい、おもろなかった 

    桐野夏生といえば「OUT」
    これは衝撃やった
    読書にハマるキッカケになるくらい

    でもこの本は真梨幸子な感じよね
    なんかちょっと妄想チックというか
    終わり方も、え?これで終わりかよという感じ

    久々読んだらがっかりしてしまうのは
    私が汚れた大人になったということか?

  • 出る人出る人クセすごさんだし、とにかく黴臭いお話だった
    ぶっちゃけ本編にいなくても良さそうな人すらクセすご

    桐野夏生作品ははじめて読んだけど、この仄暗い、薄気味悪い感じ、結構クセになるかも……
    感動や、学びを読書から得たい、読書する意味が欲しい人には向かないけど、エンタメとして読書を楽しむ人には読んでみてほしい

  • 主人公のアイ子はじめ、まともじゃない人ばかり出てきた。

    容赦ない設定と展開はさすが桐野さんだなあって感じだけど、心理描写が少ないのが物足りなかった。アイ子も思考が苦手、場当たり的なところは自覚があるようだから仕方がないのか。

    途中から出てくるお婆ちゃん達も相まって意外とドタバタした印象。後味は悪いけどそこまで暗い感じになならなかった。

    面白くて一気に読んだけど期待していた程ではなかった。

    元保育士・元園児で結婚したカップルが個人的に気持ち悪かったなぁ。気持ち悪いけど早々に退場になったのは少し寂しかった。

  • 場末の売春窟「ヌカルミハウス」で生まれ育ったアイ子の物語。

    真梨幸子の小説かと途中で何度も錯覚するくらいの嫌な感じ。話の中に善人が一人も出てこない、全員が顔をしかめたくなるような歪んだ人ばかり。でも、こんな風に育ったら歪むに決まってるよね…と納得。「なんなんだ、こいつは」と思い続けた主人公のアイ子が最後には少し可哀想に感じる。

  • いやぁ〜全く救いがない話。
    同情も感情移入もない。
    ここまで徹底されると、むしろ清々しいな。

  • ひところ「アイデンティティ」とか「ルーツ」とかが気になった。
    流行らなくても厳然と存在している言葉ではあったのだが。

    その存在証明がおぼつかなく生まれてきてしまったら、穏やかな精神で生きていかれまい。
    つまり両親も判らず、愛情もかけられず、いじめ抜かれて育つとどうなるかという、実験的小説のようであり、リアルととってもいいのだ。

    現代における凄まじい事件の裏側かもしれない。私は事実のパッチワークだと思った。

    あらすじはアイ子という主人公が両親も知らず、戸籍も作られず「ヌカルミハウス」という娼婦の置屋(売春宿)で幼いときを過ごし、後に施設に移るのだが、もうそのときには精神がすさんでいたことがわかってくるのだ。


    私は、女の顔をした悪魔を一人知ってるのです。その女のしたことを考えるだけで、ぞっとします。
    彼女の本当の名前が何というのか、今現在、何という名前を名乗っているのかは知りませんけど、もちろん彼女はまだ生存していて、人を騙し続けています。
    そして、へいぜんと人を殺し続けています。(帯より)


    主人公のルーツがわかるかどうかのアイデンティティ探しもさることながら、その悪へ向かっていくエネルギーの凄まじさ、破壊力。

    この怒りは何事だろうかと思う、こうなると主人公にではなく作者にぶつけて読み解くだけでなく、なお自分に問いたくなる。

    悪とはなにか、存在とはなにか。ここにはかかれていない、事実があるだけ。
    重たい、わかったような振りはできない。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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