聞き屋与平 江戸夜咄草

著者 :
  • 集英社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087748109

感想・レビュー・書評

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  • しみじみした時代物でした。代金は志だけの聞き屋稼業を隠居後の仕事にしている与平、人それぞれに単に聞いて欲しいだけの何かがあり与平は淡々と聞いてあげるだけの 言わば歩く懺悔室を続ける。そしてやはり与平自身も言うに言えない事実を抱える身だったことが明らかになるけど亡くなった後を与平の内儀が引き継いで行く♪

  • 与平の家族のできごとと共に、聞き屋に来る人の問わず語りが織り込まれる。最近、疲れ気味なので、しみじみと年末に読むにはちょうどよいお話でした。

  • 薬種屋「仁寿堂」は、父親が長く番頭をやっていた店だった。前の当主が遊びに走り、店を省みなくなっていつ潰れてもおかしくはなかった。そんな折の貰い火の火事だった。仁寿堂は全焼、なけなしの金が入った財布を取りに戻った当主は火に巻かれて焼け死んだ。

    父親と与平は二代に渡って、当主の妻から店名を譲り受け死に物狂いで立て直した。

    息子たちに店を譲り隠居となった与平は「聞き屋」を始める。占いではないので、答えを出すのではなくただ話を聞いてやるのだった。

    そんな与平に悪い噂のある岡っ引きの長兵衛や、夜鷹や、誰にも相手をされない人、誰かに話を聞いてもらいたい人など、繁盛とは言えないがポツリポツリと客がくるのであった。

    与平の周りの人々を中心に、話が進む。誰にも言えない、言わなかった闇を与平も持っているのであった。

  • 3ヶ月に1本のゆったりとした連載。
    設定がユニーク。
    これといったストーリーはないが、ここちよく読めた。
    4回程度のドラマで見たい。

  • 聞き屋という思い付きが秀逸。

  • 爽やかな後味のいい話でした。
    この作者の本、面白そうなので何冊か読んでみよう。

  • やっぱり蕎麦が食べたくなる。
    宇江佐作品は、自分的に大外れがない。
    缶読できなかったのは一冊だけ。今んとこ。

  • 占いでも人生指南でもなく、ただ、人の話を聞くだけ、という与平。

    大店の隠居で生活の心配はないながら、なんか訳ありの過去を持っているのかいないのか。商売というよりは、与平自身の心の張りとして、夜にひっそり、椅子と机を出す風情が好ましい。
    人は誰でも何かを人に語りたくなる時があるんだろうな、と思う。アドバイスを求めるわけではなく、褒めてもらいたいわけでもなく、ただ、うんうん、と聞いてもらい、また、時には、ふっと親身な言葉をかけてもらえたらそれだけでしばらくは元気で働けるという・・・。

    私はこんなおしゃべりだから、ネットでも実生活でも、お腹の中に何かを溜めるということはほとんどないのだけれど、それでも一番弱い部分はそっと取ってある気がしている。そんな話を与平に聞いてもらえたら、うんうん、わかるよ、と頭の一つでも撫でてもらえたら、と思ってしまったお話でした。

    • そよかぜさん
      じゅんさん、やっとこちらに引越しできました。引き続きよろしくお願いします。
      ガチガチに固まった心が、話を聞いてもらうだけでふっとほどけてい...
      じゅんさん、やっとこちらに引越しできました。引き続きよろしくお願いします。
      ガチガチに固まった心が、話を聞いてもらうだけでふっとほどけていくことってあると思います。
      宇江佐さん、それを小説にされたのでしょうか。未読なので、読んでみたいです。
      2011/07/20
    • じゅんさん
      >そよかぜ様 たなぞう閉鎖でうろたえてしまいましたが、^_^; なんとか無事に移れそうでよかったです。またこちらでもおしゃべりできると嬉しい...
      >そよかぜ様 たなぞう閉鎖でうろたえてしまいましたが、^_^; なんとか無事に移れそうでよかったです。またこちらでもおしゃべりできると嬉しいです!
      話を聞くだけの商売って成り立つの?と思いながら読み始めたお話でしたが、意外に山あり、谷あり、そして優しさあり、と楽しめましたよ。(*^_^*) よかったらどうぞ、でございます。
      2011/07/20
  • 両国広小路の米沢町の薬種屋「仁寿堂」の主人を引退した与平は,
    路上で他人の話を聞く「聞き屋」という商売を始める。
    一話完結のエピソードと並行して,与平の過去が明かされてゆく。

    特に盛り上がるようなところはないが,風情がある。

  • 日暮れの両国広小路。商家の裏手口から男が現れる。深編み笠に、着物の上には黒い被布。置き行灯をのせた机と腰掛け二つ。一つは男が使い、一つは客のためのもの。男は黙って話を聞く。ただ聞くだけだ。が…。おもわず語ってしまう胸のうち。誰かに聞いて欲しかったこの話。江戸・両国。人の心の機微を描く連作時代小説。

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著者プロフィール

1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞を受賞。江戸の市井人情を細やかに描いて人気を博す。著書に『十日えびす』 『ほら吹き茂平』『高砂』(すべて祥伝社文庫)他多数。15年11月逝去。

「2023年 『おぅねぇすてぃ <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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