映画篇

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087753806

感想・レビュー・書評

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  • なんていい本なんだぁー!!!!!!!!
    勧めてくれた、にぃーちゃん、本当にありがとお
    この本を読んだら、人の優しさ(本性・素)がいっぱいで、
    すごくすごーく温かい気持ちになります
    けん坊最高やでっ!!

  • 金城一紀は当代随一の語り手ではないかと思う。

    「映画」を物語のモチーフとした連作集である。五編の物語それぞれが、わずかずつ絡み合っている。登場人物も、ひとつの物語の主要人物が別の物語の通行人で出てきたりする。しかし各々の短編の持っている「色彩」は、それぞれに違っていて、この作家の多様な面を知ることができる。
    小説にはだいたい「ここがキモ!」みたいな個所があるものだが、金城一紀の作品でそれを感じたことはあまりない。ストーリー運びと場面ごとの情景描写が一体となって読む者の気持ちをかき立て、感動を呼ぶ。

    読者を暗澹たる気分にさせたり、やたら扇情的な表現が巷に溢れている中で、この五編は安心して文章に身をゆだねることができる。そして暖かで優しい結末。お薦めの一冊である。あ、でも映画の知識がある程度ないと、充分には楽しめないかも。

    例によって印象に残った文を抜き書き。

    “子供は余計な心配なんてしなくていいんだよ。子供はね、好きな食べ物と、大人になったらなりたいものと、好きな女の子のことだけ考えてればいいんだよ。わかった?”

    子どもが余計な心配ばかりして未来に希望を持てなくなっている現代の社会って…。

  • 映画はいいですよね。気分転換にも、がっつり感情移入するもよし。昔ほど食い入るように映画見なくなりましたが、子供の頃は金曜ロードショーなんかでいい映画入ると一週間楽しみにして過ごしていたのを思い出します。レンタルもそんなに発達していない時代でしたからTVで見られるのは貴重でした。
    昔はデートと言えば映画でした。見終わった後で語り合うのも楽しかったですね。
    一人で見に行く映画も良かったです。大人の階段を登ったような気がしたものでした。

    そんな自分の映画体験をちくちく刺激してくれる連作集です。
    各話で主人公たちが公民館での無料上映会を見に行くのですが、その無料上映会の経緯が最終話になっておりまして、これが何とも感動的なのであります。各話も魅力的なのですが、なんといっても最終話の全体を包み込む幸福感がたまらんです。

  • Today, I'll introduce the book named ‘映画篇’ by Kazuki Kaneshiro.
    It consists of 5 different stories after movies, including only one violent story.
    In beginning, you’ll see a handmade poster for free screening ‘Roman Holiday’, but I wonder why, because there is no story it. But this why wonderful.
    I learned to know all main characters live in same town, and them saw tried go movie with their important person. In last story, character was producer Holiday’.
    I bet want watch many movies you read book.

  • 何度読んでも、素敵なお話。
    読むたびにに、また違った想いになる作品。

  • 映画が軸の話。ローマの休日は観てないなぁ。

  • いくつかの映画に関連付けた物語を描いた短編集。

    別々のストーリにも所々、絶妙な繋がりがあり、ページの最初に現れる『ローマの休日』の上映会のポスターは、この本を最後まで読んだ後にもう一度見ると、最初に見たときとはまた違った味わいがあります。

    『ローマの休日』はビデオでしか観たことがなく、
    是非一度、映画館で観てみたいものです。

  • 再読だけど、前回以上に感動した気がする…。
    最高。大好き。

    「太陽がいっぱい」
    龍一はもう居ないんだね。でも、私の中では龍一は生きていて、宮古島で幸せに暮らしている。
    くそったれな現実を物語の力で変えてやる。いともたやすく変えてやる。それは希望になって、私たちが生きていける意味にもなるのかも、とかそういうことを思った。
    本当に、想像したように、私たちは世界を変えていけるのかも。

    「恋のためらい」
    純愛すぎて可愛くて切なくて最高だった。
    男の子って、好きな子を守りたいって思うのかな。
    「俺、おまえが俺をいやになるまで、おまえのそばにいるよ」
    って最高のプロポーズかも。
    あと、お父さんが人を殺してしまったことに苦しんでいた赤木が「おまえを傷つけようとする奴が現れたら、俺がそいつを殺してやるよ。おまえのこと、そうやって守るよ」と言ったのは本当に…本当に深くて重い言葉だと思う。

    「愛の泉」
    やっぱり最高だ…鳥越一族最高に素敵だ…。
    テツの成長がイケメンすぎていい…。主人公はこうでなくては。もうカッコいいー!!ケン坊みたいにちょっとおバカで、お金はしっかり貯めてて、勉強はまあそこそこで(といっても地頭は良いはずだと思ってる)、機転が利いて、人想いな最高にカッコいい男の子だよ…!
    浜石教授の「いい目をしてるねえ。でも両親からもらったまんまだね。勉強したら、もっといい目になるよ」が印象的。
    そう、きっと彼はこれからもっとカッコよくなるんだよ…!!

    1200のホールを満タンにしてしまう鳥越一族の孫たちの力…すごい。カッコいい。何事も損得含めて考えてしまっていたけど、そういうのを抜きにして行動している眩しさに泣きました。最高。大好き。

    浜石教授の言葉は本当すごい。
    「君が人を好きになった時に取るべき最善の方法は、その人のことをきちんと知ろうと目を凝らし、耳を澄ますことだ。そうすると、君はその人が自分の思っていたよりも単純でないことに気づく」
    知ったふり、わかったふりをすると、相手は新しい顔を見せてくれなくなるし、自分の停滞も始まるんだって。
    深い…

    でも本当にすごいのはおばあちゃん。
    おっぱい吸うか?の一言でかおるを救い出したんだから。
    (吸ったのかな…)

    最後、区民会館に龍一が来たのだと信じてます。
    結果亡くなってしまったのだけど、それからは全く違った日々を送ったのだと信じてます。

  • とにかく最終話が抜群に良い。鳥越ファミリーが素敵過ぎ、周りのキャラもいい感じ。

  • 「太陽がいっぱい」
    『SOS』を聞き取れない、それは悲しいこと。またそれを聞き取ってもらえないのも苦しいこと。龍一は裏社会に足を踏み入れながらも、しかし最後には宮古島で平和に暮らす。主人公も小説家と言う夢を叶え、再会を果たす。
    出てくる映画をほとんど見たことない。
    たぶん、題名の映画と何かリンクするものがあるんだろうな。

    「ドラゴン怒りの鉄拳」
    連れ合いの死と薬害事件に向き合えず引きこもっている。でも、レンタルビデオ店の電話から始まり、鳴海により癒され?徐々に準備が出来ていく。
    ドラゴン怒りの鉄拳よりもタンロン怒りの鉄槌が観たい。鳴海、頑張れ!

    「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくはトゥルー・ロマンス」
    それぞれの理由から学校内で孤立化した二人が、ダメパパから大金を強奪し、逃走。赤木はいつでも石岡が日常に戻れるよう、強奪時も主動者になり、大金には手を出さず自分の金を使う。いつのまにか好きになってたんだね。終わりの部分、ほっこり。

    「ペイルライダー」
    おばちゃんライダー、スゴい。8年の間、復讐のために生きてきたんだな。

    「愛の泉」
    王道「ローマの休日」。前の4作品にも出てくる区民会館の上映会が、連れ合いをなくし元気のないおばあちゃんを励ますために孫達が奔走して行われたものだとは。


    本も映画も良いものって、人の心に残って、時には人生に影響を与えるものなんだなー。

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著者プロフィール

1968年埼玉生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1988年「レヴォリューションNo.3」で第66回小説現代」新人賞を受賞。2000年『GO』で第123回直木賞を受賞。

「2020年 『映画篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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