- Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091670700
作品紹介・あらすじ
萩尾望都 本格SF、衝撃の完結巻!!
---きみたちは分水嶺を越えなきゃいけない!!
2033年3月末のある朝、世界が2つに分かれてしまった。
18歳未満の子供達だけが取り残された世界、”AWAY”と、
大人たちのいる世界、”HOME”。
子供だけが残されたAWAYで、中学生の一紀と高校生の大介達は
生きるために懸命だった。
----そして現れた「白い少年」。
子供達に伝えられた衝撃の「世界の秘密」とは---!?
【編集担当からのおすすめ情報】
世界が大人と子供の世界に分かたれるという
SFの世界でありながら、作中の子供達が直面する問題は
今を生きる私達が考えなければならないことでもあります。
萩尾望都先生が問う「分水嶺」を我々は越えられるのか。
この本が皆様の考えの一助になれば幸いです。
感想・レビュー・書評
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コミックスの発売がこんなにも待ち遠しかった作品は久しぶりでした。予想の上を行く展開に、脳みそ痺れっぱなし。読み終えた後は、現代の地球が抱える様々な問題の一つ一つをリアルに感じて、しばし呆然としてしまった。
世界が分断される前は無邪気で普通の中学生だったはずの一紀の変化が一番印象に残った。幼い子の面倒を甲斐甲斐しく見る一方、重責に耐えかね不平不満を爆発させる上級生に戸惑い、その板挟みで己の感情に蓋をするしかない。アダルトチルドレン化している…とちょっと心配になるほど、前半の一紀はとにかく大人。小さい子達の葬式の際、一紀の発案で谷川俊太郎の詩を朗読する場面では涙があふれた。まだ14歳くらいなのに、一紀には母性すら感じた。
展開を急いだ感は否めないけど、実際のところはどうなんだろう?連載予定が途中で変わったかもしれないけど(別誌での連載もあったし)、最初から2巻分と決めていたと聞いても納得はできるかな。ストーリーに、目につくような綻びは見当たらなかったし。壮大な構想なだけに、話を広げ過ぎたら収拾付かなくなりそうだしね。敢えて描き過ぎず、読む側の想像力に委ねてくれている気もした。 ただ、たくさんの登場人物が出てくるから、あの人をもっと見たかった、このエピソードを膨らませて欲しかった、というところはあって…そういう点では勿体なかったかも。いつか番外編を読みたい気もする。
それにしても、この作品が抱えるテーマの重さに、うまく言葉が出てこない。未来に警鐘を鳴らす作品は数あれど、久々に現実感をもってゾクッとさせられた気がする。とはいっても決して悲観的になっているだけではなく、やはり明るい未来への鍵は子供なんだなと改めて思う。そして自分自身も、できるだけ柔軟な大人でありたい…と切に思う。分水嶺は突然やってくる。突然ではなく、気付いてないだけかもしれない。今を大事にしつつ、これからにつなぐために、できることをしなければいけないなと感じさせられる、深い作品でした。 -
萩尾SFには全て「生殖」がからんでいる、という説を立てている。『11人いる!』しかり『銀の三角』しかり。
『AWAY』も、その傾向が色濃く感じられる。ただ、原案『お召し』は未読につき、軽々に断定できない。 -
よげんか。
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18歳未満の子供達だけがパラレルワールドに隔離された世界を描く第2巻。どんどん月日が経って、もう息子世代の話になってて驚くなど。
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2巻完結ということで、「世界の秘密」が早く知りたくて一気読みしたけど…終わり方がちょっと不完全なような。小説だったらあの終わり方でもいいのかもしれないけど、あたかも続きがあるような打ち切りENDぽいコマ割りが。でもあえてそうしたのか?登場人物がいっぱいでわさわさしてたけど、安定の河津くんがいろんな意味で主人公っぽいw
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原案は小松左京「お召し」。18歳未満の子供たちが存在するAWAYと、大人たちのHOMEに隔てられたパラレルワールドの話。SFなのに他人事と思えない説得力があるのは、東日本大震災をはじめとした多くの災害を見てきた時代だからだろうか。「世界の秘密」として語られる中で、「自分が正しいと思う意見を他人に伝え、理解してもらうことの難しさ」を語る部分は本当に毎日悩んでいる自分と重なって深く胸に響いた。決してすっきりとした結末ではなく、いつまでもしこりのように残り続ける作品。