遠くにありて (小学館文庫 こB 4)

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  • 小学館
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本棚登録 : 29
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091923646

作品紹介・あらすじ

▼第1話/田園のユーウツ▼第2話/秘密▼第3話/夢▼第4話/田舎のおばさん▼第5話/天高し▼第6話/欲得雑炊▼第7話/ざらめ雪▼第8話/いつか王子さまが▼第9話/放浪▼第10話/明けの春▼第11話/国境の雲▼第12話/節句▼第13話/十七歳▼第14話/結婚しねか▼第15話/嫁の条件▼第16話/おぼろ月夜▼第17話/ゆく春くる春▼第18話/アルバム▼第19話/まわり道かえり道●主な登場人物/中山朝生(東京の大学を卒業後、実家のそばの私立高校に赴任した女性。東京に戻ることを夢見ている)、田中さん(朝生の下宿に同居している大家さん。70過ぎのおばあさんで、朝生を孫のように大事にしている)、香織(大学時代の朝生の同級生。東京の小さな編集プロダクションに勤めている)、紀子(大学時代の朝生の同級生。丸の内の大手商社に就職した)、西崎(朝生の高校の同級生。東京から戻り、実家の酒屋を手伝っている)●あらすじ /東京の大学を卒業し、実家のそばにある私立高校に赴任した中山朝生。彼女は本来マスコミ志望だったが、入社試験に落ちて仕方なく教師の道を選んだのだった。久しぶりに戻ってきた故郷の「田舎っぽさ」に馴染めない彼女は、東京に戻ることを心に誓うが……(第1話)。

感想・レビュー・書評

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  • 近藤ようこの現代もの。初出は1987年から1990年連載というバブル期だが、そんな中、東京の大学に行ったがマスコミ就職を果たせず、遠くにありて思うはずの郷里に帰って仕方なく教師である父親のコネで教職(私立女子高の国語教師)に就き、機会あらば東京に戻ってマスコミの仕事をしたいとじたばたする女性の地味~なお話。
    巻末エッセイを書いている一条さゆりが近藤作品について言う、「決して明るいとは言えない絵柄やテーマなのに、決して陰鬱になる事なく、むしろすがすがしい読後感を覚える」という評がこの作品にもピッタリ。刺さり方も「ずしんと来るよりは、むしろ、じいいんと胸の奥底がしびれる感じに近い。」というのも、そのとおりだった。ただ、一条は、近藤作品を読んでも、泣きも大笑いもしないそうだが、私はほぼずっと泣いていた。
    主人公の下宿の大家さんに一番感動したかな。

  • 東京でのマスコミの就職に夢破れて、父のコネで地元の高校に就職した朝生。お金貯めたらすぐにやめてやる、東京で夢よもう一度、と思っていたが、大家さんとの関係、高校の同級生と親しむうちに、悩み、ぶつかり、最後には…と。家族は解体するけど再構成もする。悩んだ時間も無駄じゃない。息を詰めてその過程を追ってしまった、濃密な読後感。手元に置きたい一冊に。

  • 東京で学生生活を送り、地元で就職した女性の心の機微がとてもうまく描かれているけれど、そういう話が好きかといわれれば好きではない。

  • 同じ悩みをもつ人が読んだら勇気もらえるだろうな〜。

  • ゆっくり進む田舎の空気。東京への憧れ、田舎へのコンプレックスよく書けてます。
    淡々としていますが共感の持てる話。
    機をてらわらずにこう言うシンプルなものを書くことが重要。

  • ヘタに「お前らあきらめなければいいことあるよ!頑張れよ!!」ていうテンションで驀進する自己啓発系のまんがよりかはこういうのを読んだほうがはるかに気力がわきます、ザ・北風と太陽 単に年のせい?(笑)

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著者プロフィール

1957年新潟市生まれ。漫画家。国学院大学文学部卒。大学在学中にデビュー。「見晴らしガ丘にて」で第15回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。折ロ民俗学や中世文学への造詣が深く、安吾や漱石作品の漫画化にも取り組む。作品は「水鏡綺譚」「説経小栗判官」「ルームメイツ」「恋スル古事記」「戦争と一人の女」「死者の書」「夢十夜」ほか多数。第18回文化庁メディア芸術祭大賞受賞。

「2021年 『兄帰る 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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