月と六ペンス (地球人ライブラリー 18)

  • 小学館
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092510180

作品紹介・あらすじ

「ぼくは描かなければならないんだ。そうするしかないんだ」妻子とともに平凡に暮らしていた株式仲買人のストリックランドは、絵を描きたいがためだけに40歳にして突然ロンドンの家を出た。芸術の都パリで、彼はとりつかれたように描きまくる。自分の絵を理解してくれるただひとりの友人の妻を寝取り、自殺に追い込んでも罪のかけらもない。「あの女は素晴らしいからだをしていたんで、俺は裸を描きたくなった。描き終えたら、興味がなくなっちまったんだ」やがて、自分の魂を南洋の島タヒチに見つけ、パリも捨てて、その地に同化していく。病におかされながらも死ぬまで描きつづけていく。「タヒチの女」で有名な、フランスの後期印象派の画家ゴーギャンにヒントを得て書かれたモームの傑作。美術への造詣の深い芥川賞作家による新訳が、芸術家の苦悩を描いた小説というだけではない、モームの鋭い人間観察眼と社会風刺の視点をためて浮き彫りにする。小説の醍醐味を存分に満喫できる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 簡潔でユーモアがあって面白く読んだ。
    夢と賃金。

  • 紙幅の関係でいくつかの場面が割愛されています、とどこかで知りました。ちゃんと訳せよ。船長の話がないぞ。

  • 何のために描くの

    何のために船を漕いでいるの、大海の中であなたはただひとり
    だって舟を漕ぐ手を止めたなら、猛烈な日差しと泥のような波に 飲まれてあっというまに藻屑となる
    何者であるか、なんなのか ただ生存本能が赴くまま、島をさがして舟を漕ぐように 何者であるか、何者かになるためだけに絵を描く
    絵の具は、流れ切った血の跡だ

  • 久しぶりに外国現代を読みました。
    やっぱり私には読みづらい書物でした。

    表紙のキャッチコピーにも騙された感じがしました。

    何処が鋭い人間観察なのか…
    十代私には理解できないものでした。

  • 短めの話だったのですぐ読めた!解説の方が仰るとおり、淡々と物語が進むのにすごく惹きつけられる。メリハリというか何で何で?って次を読みたいと思わせる文体とお話だなあと。翻訳者さんとの相性も良かったのかも。
    あと「愛する者の死の床で、美しくけなげにふるまおうという女性の情熱には、いつも少々ゾッとさせられる」という箇所がすごく印象に残った。
    主人公の思いなのか作者が常に感じているところなのか、ともかく「なんでそう思うんだろう?」としばらく考え込んでしまったんだけど、後々の文を読んでなるほどこういう考えかと。
    そういう感情自体想像の範疇外だったので、男性が見る女性像の一端がわかって興味深かった。

  • 京都に題名と同じ本屋さんがあって、なんかロマンチックな感じがしたので前から読んでみたいと思っていた。でも、字が小さい本が多くて、これはわりと大きい字なのでやっと読めるわ、という感じ。

    あとモーム、って名前にもひかれた。なんか可愛くないですか。モームって。モーム。。。

    訳者の名前、何回か聞いたことある。でも原作を省略した部分もあるというのは少し残念。

    内容は、題名ほどロマンチックではなく、むしろ人間の弱さや汚さを淡々と描いている感じ。ストリックランドほど非道な人はいないだろうけど、「ぼく」やストリックランド夫人は結構現実にいそう。ストルーフェへのもどかしさ、哀れさ、滑稽さを誘う描写はさすが。
    私はストリックランドのようなワルがなぜモテるのか、まだ女心が理解できません・・・。

  • 文章が簡潔でわかりやすい。

    とても読みやすいのに、的を得ていて、心に届く言葉が随所にちりばめられている。

    わたしは、モームという作家は知らず、ゴーギャンをモデルにした作品ということに惹かれて本を手に取った。あとがきにも書いてあったが、あくまでゴーギャンの生涯の要素を土台にした作品である。画家の人格も起こった事件も、登場人物も実際のゴーギャンとはまったく違っていたらしい。

    この小説の面白いところは、ストーリーそのものではなく、人物の批判や、物事の捉え方の描写にあると思う。たとえば、ストリックランドの妻の人物像はすばらしい。善良で、したたかで、か弱く見えて、とても強い。

    このすばらしい表現力を持つモームという作家にとても興味を持ったので、また別の本を読んでみたいと思った。

  • 読書完了日2007年06月09日。突然ですが文学作品を読もう!ということでこの本を手に取った次第。この本が文学作品に当たるかどうかもよく分からないけれど(私は海外文学に大変疎いので)題名が素敵だったので読んでみた。読むまで内容も知らずこの本が画家ゴーギャンの話であることも全然知らなかった。絵画鑑賞も好きなくせに、無知とは恐ろしい…。楽しむ娯楽ではなく考える娯楽としてはいいんじゃないかなーと思う一冊。

  • 至って普通のリーマンだった
    オヤジさしかかり冴えない中年男ストリックランドが
    奥さんと子供を残してある日突然パリへ姿をくらませる
    彼の目的(欲望)はそれでまでやったこともなかった絵を描くこと
    ただそれだけで
    それ以外のことにはほとんどおかまいなし!
    ついでに恩人の妻を略奪しちゃって
    そのあげくその女も見殺し状態で
    タヒチに旅立って、なお絵を描きつづける
    そんな不良オヤジに注目しつづける”ぼく”が語る物語


    実在した画家、ゴーギャンがモデルになっていて
    読んだあとゴーギャンの絵がありありと浮かんでくるよーな気がします


    なにがハッピーでアンハッピーかってのは
    ほんと人それぞれに違うてことをありありとここに見た

    何の苦労もなく
    安定幸せ中流階級に属してて
    社会的地位もあり
    いったい何の不服があんのか?ていうような状態から
    いきなりすべてを投げ打って
    はたからみたら裏切り者、浮浪者同然、笑いもの状態になって
    初めて自分が「生きてるぜ!」って思えるような人生に出合えたりするかもしれないのだよ
    人によってはさ。

    で、このストリックランドはなんせ絵が一番大事だから
    女の幸せとか一切考えないよーな
    一緒にいても幸せになれないかもしれない男No.1なんだけど
    女の方はつれないワイルドな不良オヤジにもーイチコロ

    男子諸君モテたいなら
    やっぱワイルドなワルでしょー!
    (ただのアホな頭もワルじゃだめだよ、でも。)

    そして女性の皆さん
    旦那を手のひらでコントロールしながら
    「素敵な奥さん」的な幸せをゲットしたいなら
    間違ってもワイルドなワルは選ばないよ−に!

    とりあえずこれ読んだらもう
    「負け犬」とかSo what?

    自分が生きてるぜって思える人生送れたら
    なんだってどうだっていい
    生きてるって思えない人生だったら
    どんなに社会的にまっとーで
    ステイタスありまくりだろうが
    まったくもってなんだってありえない

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