冬の宿 (P+D BOOKS)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 14
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093524254

作品紹介・あらすじ

映画化もされた戦前のベストセラー作品

「私にとっては、霧島家の貧寒で乱雑な空気だけが身を置くべき場所となっていた。泥水の中でなければ落ちついて棲むことのできないある種の魚たちのように……」
大学生の〈私〉は、学校にも学友ともなじめず、下宿していた叔父一家ともしっくりいかずに、貸間と貼り紙のあった霧島家の6畳間を借りることになった。
ところがその主人・嘉門は自分勝手な暴れ者で、幼いふたりの子を抱えたクリスチャンの妻・まつ子を泣かせてばかり。しかし〈私〉はなぜか嘉門を嫌いになれず――。
原節子出演で映画化もされたベストセラー作品。
旧制高校の同窓会を通じて、戦後の現実をシニカルに描いた「アルト・ハイデルベルヒ」を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 戦前のベストセラーらしい.どこかで書評を目にして,読んでみた.
    主人公は裕福な生まれの大学生であるが,ひょんなことから地方の名家出身で今は落ちぶれた霧島家の2階に下宿することとなる.この家の主人は絵に描いたようなダメ男で(ディケンズに出てきそう),内職で家庭を支えるその妻はキリスト教への信仰に救いを求めている.
    この霧島家にある一冬の間下宿したことを「冬の宿」というタイトルで綴っているのだが,モラトリアムでだらだら暮らしている主人公が最後に世間に復帰し,一方,霧島家はさらに転落して,両者が別れを告げるまでを描いている.まことに昭和的な小説だった.
    おまけ的に収録されていた短編「アルト・ハイテルベルヒ」はモーム的.

  • 小説久しぶりに読んだ。とんでもないDVおやじの動向にこの主人公も読者もいやでたまらないのにどうしても目が離せないっていうのはどういうわけだ。

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