越し人 芥川龍之介最後の恋人

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864749

作品紹介・あらすじ

文豪と美貌の「文学夫人」の秘められた恋

芥川龍之介が死去したのは昭和2年(1927)7月24日。死後90年の節目にあたる2017年7月に、芥川の「最後の恋人」とひそかに語られている歌人、片山廣子を主人公とした小説を刊行いたします。14歳年上の上流夫人で、アイルランド文学翻訳者としても名を知られていた廣子と芥川の軽井沢での出会い、そして情熱的な手紙のやりとり。廣子の娘と堀辰雄の成就しなかったロマンスをサイドストーリーに、誇り高く情熱を胸に秘めた「幻視者」廣子の人生を、女性作家の視点で活写する渾身の書き下ろし長編です。
芥川が「才知の上にも格闘できる女に遭遇した」(「或阿呆の一生」)と書き、菊池寛が「最もすぐれた日本女性」とその才能を絶賛した廣子は、芥川の死後世間との関わりを絶ってひっそりと生きますが、最晩年にエッセイ集と歌集を刊行して高い評価を受け、79歳で亡くなります。女性のみごとな生き方のひとつの例として、片山廣子の人生は私たちに一筋の光を当ててくれます。


【編集担当からのおすすめ情報】
芥川と片山廣子をめぐっての公開イベントを計画中です。

感想・レビュー・書評

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  • 明治生まれ、昭和初期に活躍したアイルランド文学翻訳者の片山廣子の伝記かと思い読んだが、恋愛小説の要素が多く少しがっかりだった。

    今ほど海外の情報も女性の教育もそれほどでなかった時代に、いかに高い教養を身につけ、どんな人生を送ったのか。小説は主に芥川との恋愛事情と彼の自死にまつわる心情とか子どもたちとの葛藤とか。彼女の視点なので過剰な美化と批判が多く、正直読み進めるのがしんどかった。このころの価値観ってこんな感じだったのか。

    アイルランド文学というまことにニッチな分野のパイオニアで「妖精」という言葉を生み出した人である。もっと評価されてもいいのではと思う。

  •  野茨にからまる萩の盛りかな(芥川龍之介) 大正14年に芥川龍之介と出会い、龍之介を2年長生きさせた?とされる才媛、歌人で翻訳家、14歳年上の名家、未亡人、片山廣子(松村みね子)の生涯を辿るノンフィクション。谷口桂子「越し人 芥川龍之介 最後の愛人」、2017.7発行。廣子の目に映る芥川龍之介、室生犀星、堀辰雄などから見た龍之介など、芥川龍之介を様々な角度から眺めることができました。

  •  今昔物語集とは関係がないけど、図書館にあったから読んでみた。

     あとがきを読むと、当時を知るそうそうたるメンバーに取材をされてるみたいで、こういう方々がこのころまだ生きておられたのだなと感心する。

     そういう方々に取材をして、資料も読んで、それで片山ひろ子というのはこういう人だと、作者の方がお考えの上の造型なら仕方がありません。

     けれども、なんだか獣と獣のじゃれあいみたいで、とても「才知の上にも格闘できる女」との語らいとはいえないような気がいたします。
     なんや「岩野泡鳴」的な世界。まあ大正期はこういうのが流行っていたのですかね。それはそれで書きようがあったのではと思うのですけど。

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著者プロフィール

谷口桂子

作家・俳人。1961年、三重県四日市生まれ。東京外国語大学イタリア語学科卒業。2000年3月『エイク』で小説デビュー。以降、小説やノンフィクションなどの本を出版。著書に『食と酒 吉村昭の流儀』のほか、『一寸先は光』『越し人 芥川龍之介最後の恋人』『崖っぷちパラダイス』『祇園、うっとこの話「みの家」女将、ひとり語り』『夫婦の階段』(インタビュー集)など多数。

「2022年 『吉村昭の人生作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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