ぎんなみ商店街の事件簿 Brother編: Brother編

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866910

作品紹介・あらすじ

史上初! ひとつの事件にふたつの真実 古き良き商店街で起きた不穏な事件。探偵役は四兄弟と三姉妹、事件と手がかりは同じなのに展開する推理は全く違う!? 〈Sister編〉との「両面読み」がおすすめです!ぎんなみ商店街近くに住む元太・福太・学太・良太の兄弟。母は早くに亡くなり父は海外赴任中だ。ある日、馴染みの商店に車が突っ込む事故が起きる。運転手は衝撃で焼き鳥の串が喉に刺さり即死した。事故の目撃者は末っ子で小学生の良太。だが福太と学太は良太の証言に違和感を覚えた。弟は何かを隠している? 二人は調査に乗り出すことに(第一話「桜幽霊とシェパーズ・パイ」)。中学校で手作りの楽器が壊される事件が発生。現場には墨汁がぶちまけられ焼き鳥の串が「井」の字に置かれていた。学太の所属する書道部に犯人がいるのではと疑われ、兄弟は真実を探るべく聞き込みに回る(第二話「宝石泥棒と幸福の王子」)。商店街主催の「ミステリーグルメツアー」に随行し、長男で料理人の元太は家を空けている。学太が偶然脅迫状らしきものの断片を見つけたことから、元太が誘拐事件にかかわっている可能性が浮上。台風のなか兄の足跡を追う福太たちに、ある人物が迫る!(第三話「親子喧嘩と注文の多い料理店」) 【編集担当からのおすすめ情報】 ドラマ化された『探偵が早すぎる』など、緻密なトリック構築に定評のある井上真偽さんの最新作は、ひとつの事件をふたつの面から暴くという、まさかのパラレルミステリー。もちろん〈Brother編〉だけでも楽しめますが、〈Sister編〉で明らかになる、「もうひとつの真実」で物語はさらなる進化を遂げます。このまったく新しい読書体験を、ぜひお楽しみください!

感想・レビュー・書評

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  • 亡き母の想いを胸に四兄弟が事件に挑む!兄弟の絆が愛おしいBrother編 #ぎんなみ商店街の事件簿

    ■あらすじ
    ぎんなみ商店街近くに住む四人の兄弟。彼らは母親を既に亡くし、父は海外単身赴任中で四人で暮らしている。そんな彼らが街で発生した事件に挑む、連作短編ミステリー。

    亡き母への想いが常に背景にありながらも、個性あふれる四人兄弟が力を合わせて日々暮らしていく物語。本作Brother編は同タイトルとSister編と関連しながら進行していきます。本書一冊でも楽しめますが、真の魅力を味わいたいのであれば、両方とも読みましょう。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    男性ならではの優しさと弱さ、そして兄弟の絆が描かれているBrother編。
    母親の思い出や記憶が少ない男子が、手を取り合って生きている姿は、見ていて本当に切ない。私も甘えん坊だったので、母親対するする想いが痛いほどわかります。

    しかし決して暗く悲観的にはならないのは、きっと兄弟それぞれが大切に思いあっているんでしょうね。彼らを応援せずにはいられませんでした。

    そしてのキャラクターも四者四様で、魅力的な奴らばかり。イチ推しは三男坊の学太で、利発な頭脳で頼りになる存在。でも後半からSister編のメンバーと絡みが増えてくると、徐々に思春期の感情が見え隠れするところが可愛いですね。

    ●桜幽霊とシェパーズ・パイ
    四男良太が近くの商店に自動車が突っ込んだ事故の目撃者となってしまった。彼はそこで母の幽霊を見たというのだが…

    事件の真相よりも、とにもかくにも兄弟愛に溢れまくる一編。胸が熱くなりました。

    ●宝石泥棒と幸福の王子
    学太が所属している書道部の部室で、展示されていた作品が壊されてしまった。さらにかつて亡き母のアクセサリーの事件とも関連し…

    次々展開する推理が複雑で面白いし、意外性のある真相もGOODですね。男性の純朴さが感じられる作品でした。

    ●親子喧嘩と注文の多い料理店
    福田が拾った本から、誘拐の脅迫状らしき記述を発見。その脅迫状は、ミステリーツアーの料理人として参加していた元太が関わっている可能性があって…

    Sister編と背景は同じなのに、プロットが全然違うのに驚かされる。こちらもサスペンス風味で進行、そして急展開に衝撃です。やっぱり女性よりも男性のほうが、母親には弱いんだなぁとシミジミと感じました。

    ■ぜっさん推しポイント
    我が家の子どもは二人とも男の子。
    本書の兄弟のように仲良しではないですが、お互いに尊敬しているところもあり、時にはライバルでもあり、よい関係性だと思います。

    Brother編では、亡き母が常に物語の中心に存在しています。やっぱり男の子にとって、母親の存在は偉大ですね。子どもたちの為にも、私も夫として、妻を大切にしなきゃと思いました。

  • 驚きました。
    同じ事件なのに、こんなに違う物語になるとは!
    こちらは男ばかりの四人兄弟。
    小学二年生の末っ子が赤ちゃんの時に母親が亡くなっていて、父も海外に単身赴任。社会人の長男、高校生の次男、中学生の三男、そして小二の末っ子四人で暮らしている。
    そんな背景もあるので、Sister編に比べるとポップな感じは薄まっていて、事件に対しても謎を解くというよりは、どうしてこんなことが起きてしまったのか、どんな気持ちでこんなことをしてしまったのか、に重点が置かれているような気がしました。なので、事件が起きたからといって犯人を見つけようとしていないのです!三姉妹の方が謎を解いてやるぞーという感じでしたね。
    そして、同じ登場人物が見る人によってこんなにも違って見えるのが驚きでした。
    中高生がこの2冊を読んで、多角的なものの見方ができるようになるといいなと思います。

  •  「Brother 編」では、木暮家の四兄弟、元太(フレンチレストラン勤務 24歳)・福太(高2)・学太(中2)・良太(小2)が活躍します。四兄弟の母は既に他界し、父は海外主張中。ボケ具合や明るさは姉妹編に軍配が上がりますが、四兄弟の関係性がよく、互いに思いやる心優しい結束を見せてくれます。
     事件解決の再調査へ向けた男の子目線(客観事実に基づく理路整然的な発想)が特徴でしょうか。

     2篇に登場する姉妹・兄弟のどちらが頭脳明晰だとか、推理が優れているだとかは問題ではありませんね。それは愚問というものです。
     同じ事件でも、アプローチが違うと印象が変わるだけでなく、解決の行方まで左右する二面性の妙を体験できました。まさに序文の通りです。

     一つの事象を、様々な側面から捉え分析したり、異なった立場から見て考えを広げたりと、知らぬ間にこの多面的・多角的思考をしている自分がいました。この辺が著者のねらいなのでしょうね。
     これらのものの見方や考え方は、幅広くかつ深く追究することへつながり、生きていく上で役立つのだろうと思いました。よい読書体験になりました。

     並行読書を更に進めるかって? うーん、どうでしょう‥。私の性格からして、やっぱり本作が特別なんだという気がします。
     読書は、自己啓発とか◯◯のためとか、必要に迫られてすることもあるでしょうが、やっぱり単純に楽しいからする! と言い切りたいです。

    • こっとんさん
      本とコさん、こんにちは♪
      いつもありがとうございます(о´∀`о)
      この本、並行して読め!ってやつですよね。
      息子も読みたいということで図書...
      本とコさん、こんにちは♪
      いつもありがとうございます(о´∀`о)
      この本、並行して読め!ってやつですよね。
      息子も読みたいということで図書館で予約しているのですが、手元に届く時期が微妙にズレそう( ˙-˙ ; )
      2冊いっぺんに手元にあったとしても息子と私で違う方を読んであとで交換こ…と思っていたので、なんだか読み方を迷うなぁ(。>﹏<)
      でも、本とコさんのレビューを読んで絶対面白いぞ!というのは分かったので読むのを楽しみにしています(*^^*)
      2023/11/06
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      こっとんさん、コメントありがとうございます♪
      本好きの息子さんがいていいですね。
      親子で読後の感想談義にも、この2冊はいいかも‥
      読み方もそ...
      こっとんさん、コメントありがとうございます♪
      本好きの息子さんがいていいですね。
      親子で読後の感想談義にも、この2冊はいいかも‥
      読み方もそれぞれでいいと思いますよ。
      実際に交互読みしていた私も、ん?と一方を読み返し
      たりしました。
      一冊読み切って、兄弟・姉妹の人物像を落とし込む
      のもありかと、今は思います(^^)
      2023/11/06
  • 3つの事件が解決したが何か引っ掛かりがどの事件にもありシスター編が気になる。あとは母の言葉で世の中には良い人なんかいないという言葉が新鮮で心にグッときた

  • 後になったが、続けて読んだこちらは木暮家。
    母は亡くなっていて父は海外赴任中、こちらは長男・元太(24歳)次男・福太(高2)三男・学太(中2)四男・良太(小2)の四兄弟である。

    亡き母が本好きだったのと長男・元太がプロの料理人であるせいか、絵本のことや料理が絡んでくる。
    同じ3編だがまったく違う推理になっていくのが面白い。
    主に福太と学太が中心に謎を探っていく。


    第一話 桜幽霊とジェパーズ・パイ〜事故の目撃者が四男の良太だったってことに驚いた。

    第二話 宝石泥棒と幸福の王子〜壊された作品に亡き母のレジンが使われてた…

    第三話 親子喧嘩と注文の多い料理店〜こちらは長男が気になるところ。

    ここでも商店街のドン・ジュエリー神山が登場するが、三姉妹ほど口出しせずに少し距離があったのは四兄弟の亡き母との間に自分の娘の問題があったからだとわかる。
    三話がいちばん重くて複雑な事件だったとこちらのbrother編ではっきりする。



    なんだろうね、経験したことのない感じ。
    同じ事件なのにどのくらいの関わり方なのか、どのくらい影響を受けたのかによって四兄弟と三姉妹の捉え方が違うってことに驚く。

    どちらが好みか…悩むところ。




  • 初読み作家さん、井上真偽さん。この方は男性?だと思うけれど・・・・
    Brother編とSister編、どちらを先に読む方が楽しめるか?Sister編はこれから
    読むことになっている。

    登場する四兄弟、読んでいてとても微笑ましく思う。(^▽^)
    長男元太24才、調理師をしている。
    次男福太高2、三男学太中2、四男良太
    小2。父親は海外赴任中。母親は良太が
    一才の時に亡くなった。
    元気に頑張る、幸福に、学ぶ、良心、と
    絵本作家だった母親が絵本からとって
    付けた名前だ。名前の通り、学太は秀才
    良太は嘘をつかないという。

    三話の事件の中で、学校で起きた事件が
    ある。これは、“商店街の事件簿”では
    ないなぁ~と思ってしまった。
    三話目が一番良い!商店街のおばさんが
    いいスパイスを効かせてくれている。

    兄弟の頭の中のお袋。
    末っ子良太は“オレ、困ったことがあると、頭の中の母ちゃんに相談するんだ”
    と、言う。良太は母親を覚えていない。
    その言葉を聞いた兄弟は、オレもオレも
    と言い出す。――お袋、死んでまで――
    ――頼むから、ずっとうるさく
    いてくれよ、お袋。


    2024、3、6 読了

    • 湖永さん
      アールグレイさん こんばんは。

      ほぼ同時に読みましたね。
      私は、こちらのbrother編が後になりました。
      sister編とはまた違う雰囲...
      アールグレイさん こんばんは。

      ほぼ同時に読みましたね。
      私は、こちらのbrother編が後になりました。
      sister編とはまた違う雰囲気で、不思議な気持ちになりますね。
      このような読書体験は初めてなので面白いです。
      井上真偽さんは、「アリアドネの声」を読んでますが全く違った感じです。
      上手く表現出来ず、もどかしいのですが機会があれば是非。

      2024/03/07
    • アールグレイさん
      こんばんはm(._.)m
      湖永さん、遅くに失礼

      私は、先程Sister編を読み始めたところです。
      表紙は、二冊を並べるといい感じです。Br...
      こんばんはm(._.)m
      湖永さん、遅くに失礼

      私は、先程Sister編を読み始めたところです。
      表紙は、二冊を並べるといい感じです。Brother編、兄弟がとても気に入りました。★3にしようかと思いましたが、兄弟にひとつで★4になりました。
      2024/03/07
    • 湖永さん
      アールグレイさん おはようございます。

      同じ事件なのにこんなふうになるんだという2つの物語ですが四兄弟と三姉妹どちらも良かったです。
      これ...
      アールグレイさん おはようございます。

      同じ事件なのにこんなふうになるんだという2つの物語ですが四兄弟と三姉妹どちらも良かったです。
      これって読み方の順番を変えたら後の方が★の評価変わるのかしら…。


      2024/03/08
  • もう1冊Sistar編が同じ事件と手がかりで違う真相、という面白い試みなので、そちらを読むと印象変わるかもしれないですね。

    こちらだけを読んだ時点での感想は、特にすごい事件が起こるでもなく、驚くような真相もないのに、違和感だけ満載でした。

    「ん?」とか「えー?」と思うところが多くて入り込めなかった。
    正直同じ感じでもう1冊はキツイ。
    でも、もしかしたら2冊あってひとつの作品かもしれないという期待をこめて頑張って読みます。

  • 商店街でおきる事件を四兄弟が解決するお話。
    なぜ全て焼き鳥が絡むんでしょう?
    Sister編を読んでみますが、こじつけミステリー

  • 元気、幸福、学力、良心・・・手に入りそうで入らない。人は誰しも我が身が一番可愛いって、私の哲学と同じだ。無気力、不幸、無学、悪意・・・嫌悪しながらも陥ってしまいがち。事件が起きなきゃ気付かない。

  • 2023/11/13読了
    #井上真偽作品

    ぎんなみ商店街に住む4兄弟が
    身の回りに起こる日常の謎を解く。
    兄弟巻と姉妹巻があり、同じ物語を
    違う視点で見るというおもしろげな試み。
    正直物語は起伏に乏しく物足りなさがあるのと
    片面だけでは伏線が回収しきれてないのか、
    重要人物ぽい人の素性が明かされないままとか、
    モヤっと感が残るところが多い。
    姉妹巻の方も読めばスッキリ腹落ちするのだろうか。

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著者プロフィール

神奈川県出身。東京大学卒業。『恋と禁忌の述語論理』で第51回メフィスト賞を受賞。
第2作『その可能性はすでに考えた』は、恩田陸氏、麻耶雄嵩氏、辻真先氏、評論家諸氏などから大絶賛を受ける。同作は、2016年度第16回本格ミステリ大賞候補に選ばれた他、各ミステリ・ランキングを席捲。
続編『聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた』でも「2017本格ミステリ・ベスト10」第1位を獲得した他、「ミステリが読みたい!2017年版」『このミステリーがすごい!  2017年版』「週刊文春ミステリーベスト10 2016年」にランクイン。さらに2017年度第17回本格ミステリ大賞候補と「読者に勧める黄金の本格ミステリー」に選ばれる。
また同年「言の葉の子ら」が第70回日本推理作家協会賞短編部門の候補作に。
他の著書に『探偵が早すぎる』(講談社タイガ)がある。

「2018年 『恋と禁忌の述語論理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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