ダチョウの卵で、人類を救います! : アトピー、新型インフルエンザ、HIVも撃墜する夢の抗体発見秘
- 小学館 (2012年6月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093882484
作品紹介・あらすじ
ダチョウの卵が、人類の救世主になるワケ!
新型インフルエンザが猛威をふるった2009年、ダチョウ抗体入りマスクが空前のヒットとなり、一躍注目されたダチョウの卵。今年は、花粉症を防ぐ抗体が出来て、春の花粉の飛翔時期に大変な話題となりました。現在約500羽のダチョウを飼育し研究を続ける、京都府立大学・塚本康浩博士の研究とダチョウ抗体の驚異の力を一冊に。
新型インフルエンザ抗体からO157抗体、虫歯菌抗体、ノロウィルス抗体、HIV抗体の開発。皮膚炎の治療、ニキビ治療など、様々な抗体が日々研究開発されています。癌の転移を防ぐ力があることも分かってきました。
そしてこの春、アトピー性皮膚炎の大きな原因である黄色ブドウ球菌の抗体が出来、抗体入り化粧品が発売されました。アトピー患者は、症状の自覚がある人を含めると1200万人を超えると言われています。まさに、アトピー手苦しむ人たちの救世主! また、約3,400万人もの花粉症患者へのさらなる朗報としては、花粉アレルゲンが粘膜に付着するのを防ぐスプレーも商品化されています。
この3年間のダチョウ博士の抗体開発物語・・・まさに人類を救う、新たな「ダチョウパワー」を追います。
【編集担当からのおすすめ情報】
既にアトピー性皮膚炎の原因である黄色ブドウ球菌の抗体によって、炎症やかゆみを抑える抗体入り化粧品が商品化され、口コミで本当に悩んでいる方たちの間に広がっています。多くの人が悩む病気の救世主になる抗体を次々と開発したいと、ダチョウと格闘するダチョウ博士・塚本康浩教授の姿は、これから社会に出る若者や学者の卵にも、大きなビジネス・チャンスをつかみたい人にも読んでもらいたい一冊です。
感想・レビュー・書評
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ある番組で著者を拝見し、魅力溢れる人柄に
やられてしまった…。笑
ヘルメットして
捕獲棒持って
教授自らダチョウを
必死に追いかける姿に爆笑。(しかもすぐに転んでしまう)
飾らないところがとても素敵です。
獣医の世界は
いつまでも憧れです。 -
「ダチョウの卵で人類を救います」(塚本康浩 著)▶︎鳥類で最大のダチョウ 身長2.4m体重150kg。時速60kmで走る。卵は1.5kgでその黄身は世界最大の細胞。目玉は直径5cm重さ50g。ただし残念なことに脳の重さは40g。▶︎グループで暇になると、となりのダチョウの尻の羽根をついばむ。でも気づかない。血が出てその匂いからカラスがつつき、肉がえぐられても気が付かない鈍感さ。でも1ヶ月後には新しい皮膚が再生している。▶︎このダチョウの卵を利用して、アトピー・インフルエンザ・HIV・コロナウィルスの抗体が製品化されている。▶︎まさに「鋭きも鈍きも共に捨て難し。錐と槌とに使い分けなば。」(大分の儒学者 広瀬淡窓)
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ダチョウの卵からさまざまなる抗体ワクチンを取れることを開発した研究者の物語。ダチョウは非常に生命力が強いことに気づいたことから出発していた。インフルエンザだけでなく、アトピーや花粉症、そして癌にまで効果のある抗体を作り出そうとしている。コロナ禍でもある現在、救世主となるワクチンを生み出すのではと思う。
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著者は、大学で動物学の教授をしている。子供の頃から鳥好きで、いろいろな鳥を飼っているうちに、もっと変わった鳥は…と接するうちに、ダチョウに行きついた。
図体はでかいけれど、脳はネコくらいしかない。一応群れているけれど、全く秩序なんてものはなく、無鉄砲に走りまわり、運悪く崖の突端に行きついたら、びっくりしてパニックになり、一歩も動けなくなってしまったり…と、とにかくアホな鳥であるらしい。
著者がダチョウを観察していて気付いたこと。
仲間に羽を引き抜かれ、出血しても全く痛がらない。それどころか、血の臭いでカラスが飛んできて、肉をついばんでもどこ吹く風。その傷跡も、放っておいても自然治癒する。
ということは、ものすごく強力な免疫力と再生能力をもっているのだろう。その強力な抗体の力を人間にも利用できるのではないか?
研究によって生み出されたものは…
ダチョウ抗体を配合したアトピー用化粧品
インフルエンザウイルス用の、ダチョウ抗体マスク・空気清浄機の抗体フィルター
などなど。
こうしたベンチャービジネスは、人と違ったところに目を付けることが大切なのだということを実感。
確かに人類を救うかもしれない研究なのだけれど、「ボクってすごいでしょ!」という自慢がチラホラと感じられて、面白さが半減する。
今後の研究としては、ガンやHIVにもダチョウ抗体で挑んでいこうとしているそうなので、期待しましょう! -
生命力の強いダチョウは、「抗体」を作りだす能力が高いうえ、ウサギ・マウスが作ることができない抗体をも作りだすことができる。
また大きな卵を年に80〜100個も生むことから、抗体の大量生産にも向いているという。
ダチョウでHIVやアトピー、インフルエンザが治るかもしれない、そんな未来の医薬の可能性を追う。 -
ダチョウから抗体を作る研究。
特に卵が大きく、ニワトリの卵の30倍ほどあるので、大量に抗体を作れる。
例えば、アトピーの治療。直接の原因は肌の感想と炎症によるかゆみで、原因は特定されていないのだが、その過程で黄色ブドウ球菌が繁殖してかゆみの元となることが分かっている。だから、それを塗布した薬剤で殺菌することで、自然治癒を助ける仕組み。
中々面白い技術だと思います。
・ダチョウは、それまでの鳥に対する知見を根底から覆す、常識破りの鳥だった。そのことが僕にはショックだった。子供の頃から鳥を身近に見てきたし、専門家としてもそれなりに研究を積んできた。そんな僕の知識が、まるで通用しない相手だったのだ。
一般には鳥はきれい好きな動物として知られている。スズメもインコも、毎日せっせと身づくろいをする。寝る前に水浴びする鳥も多い。体を清潔に保ち、病原菌を増殖させないようにすることが、身の安全につながる、と本能的に知っているのだろう。
ところが、ダチョウは体についた汚れにまったく頓着しない。汚れたら汚れっぱなしで、体に糞をつけたまま平気で走っている。
「こんな不潔な鳥がいていいものか」と僕はうめいた。
しかも大きいからといって賢いわけでもない。いつも何も考えずに右へ左へと動き回っている。まれにどんなきまぐれからかわからないが、崖の頂上へ一気に登りつめるダチョウがいる。そして頂上に着いてから、突然、パニックに襲われる。足がすくんで、動かなくなってしまうのだ。鳴き声を出せない鳥だから、仲間の助けを呼ぶこともできない。
僕は、こんなふうに遭難したダチョウを、何羽助けたかわからない。人間の言葉を真似るインコのほうが、よっぽど注意深いし、賢いと言わざるをえない。
・あるイギリスの動物学者が、ダチョウには「誘拐本能がある」と発表していた。それは、こういうものだ。
アフリカのサバンナで、ダチョウの群れと群れが出会うと、集団を率いるリーダーのオスどうしが争う。決着がつくと、負けたほうは群れから離れる。そして勝ったほうのオスが、負けた側のメスや子供を奪い、育てるのだという。これを、その動物学者は「ダチョウの家族誘拐本能」と名づけた。
だが、これまで見てきたように、そもそもダチョウの集団にはリーダーがいないし、自分たちが、家族を作っているなどという意識はないだろう。オスどうしが喧嘩することはあるし、負けたオスがすごすごとどこかに逃げるのも目撃されよう。
しかしメスや子供のダチョウに群れの意識はないはずだ。オスどうしが喧嘩して、わあわあ騒いでいるうちに、もともと自分がどっちの集団に属していたのか、わからなくなる。その結果、喧嘩が終わったあとに、ひとつの集団に生まれ変わっているだけだ。そのくらいダチョウというのは、アホな動物なのである。 -
ダチョウの可能性を見つけて実現した
ストーリーを開西口調で面白く読むことが
できました。著者のダテョウ愛を感じました。 -
ダチョウの驚異的生命力に目をつけ、抗体を取り出して活用する等といった話でした。ずいぶん規格外な鳥なんだな~、と感じました(゚O゚)