ダチョウの卵で、人類を救います アトピー、新型インフルエンザ、HIVも撃墜する夢の抗体発見秘話 [Kindle]

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  • 鳥類の研究者によるダチョウの卵を使った研究を紹介する本。タイトルを見た時はそんな都合のいい抗体あるのかと思ったが、内容を読んで理解した。一つの最強の抗体があるのではなく、それぞれに適した抗体を作れるという話だった。むしろそれが抗体を使う利点でもある。

    ダチョウというのは鳥類としては頑丈な生物らしく、ちょっとやそっとの怪我では死なないらしい。さらにその頑丈さを支えているのが抗体生成能力である。病原菌やウィルスに対抗する抗体は人間含め他の生物も持っているが、ダチョウは特に抗体を作る能力に長けている。さらにダチョウは卵を産むのが良い。抗体は卵にも含まれるからである。これによってダチョウを抗体生成器として使うことができるわけだ。しかもマウスのような哺乳類では反応せず、抗体が作れないタイプにも対応できる。

    さらに都合のいいことに、ダチョウは既に家畜として飼われている。この日本においてでもだ。おかげで著者はすでにダチョウ由来の抗体を使った製品を開発し、本書執筆時点で販売している。およそ10年が経った現在でも販売していたので、ちゃんと売れているのだろう。ダチョウはせいぜい食料としての役割しかないと思っていたが、むしろこっちの方が主目的になるのではないかと思う。とはいえダチョウ由来の抗体商品が一般化しているようにも思えないので、何かしら今でも課題があるのだろうとは思う。

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著者プロフィール

京都府立大学学長・獣医学博士
1968年、京都府生まれ。1994年、大阪府立大学農学部獣医学科卒業。カナダ・ゲルフ大学獣医学部客員研究員。1999年、ダチョウ牧場「オーストリッチ神戸」のダチョウ主治医に就任し、本格的なダチョウおよびダチョウ抗体の研究を始める。 2008年京都府立大学大学院生命環境科学研究科教授、2020年4月京都府立大学学長に就任。
超大型鳥類であるダチョウを用いた新規有用抗体の低コスト・大量作製法の開発。および、がん細胞における細胞接着分子の機能解明とその臨床応用化、高病原性鳥インフルエンザ防御用素材の開発を研究。2008年6月、京都府立大学発ベンチャー「オーストリッチファーマ株式会社」を設立。ダチョウの卵から抽出した抗体を用いて新型インフルエンザ予防のためにマスクを開発。以後もダチョウ抗体を利用したさまざまな研究(ガン予防・美容など)に取り組む。
著書に『ダチョウ力』(朝日新聞出版)、『ダチョウの卵で、人類を救います』(小学館)などがある。

「2021年 『ダチョウ博士の人畜無害のすゝめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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