- Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093882811
作品紹介・あらすじ
2013年大河ドラマ『八重の桜』ヒロインの知られざる「生きがい」に迫る!真の人生の始まりは、茶道との出会いにあった。新島八重の茶会と茶道具、直筆の点前覚書。
感想・レビュー・書評
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<襄亡き後の八重の人生を長きに渡って支えたもの>
2013年大河ドラマの主人公は新島八重である。
この比較的知られていなかった人物は、会津に生まれ、戊辰戦争では鉄砲を手戦いに臨み、その後、京都に移り住んだ後、新島襄と結婚、襄が同志社を創設するにあたって妻として助力した女性である。
ひと言で紹介すれば、同志社創設者の妻、であろうか。
大河ドラマでは、この後、襄との日々に重点が置かれるのかもしれないが、彼らの結婚生活は14年とさほど長くはなかった。八重46歳の年に、襄が心臓病のために亡くなるからである。しかし残された八重は88年の生涯を送る。
故郷会津を遠く離れた京都で、夫亡き後、八重はどのように過ごしたのか。
篤志看護婦としても活躍したのだが、八重にとって大きな心の支えとなったのは茶道だったという。
元々、小堀遠州に連なる流派の心得は多少あったようだが、50歳の年に裏千家に入門した後、破格の速さで許状を取得する。当時、経済的に困窮していた家元を助け、教室を開いて生徒を導き、学校茶道の普及にも力を尽くし、襄と過ごした洋風の自宅にはめ込み式の茶室を造り、しばしば茶会を催し、また茶友の茶会にも出掛けた。
本書はそうした八重と茶道のつながりを解説し、ゆかりの品々を写真で紹介している。
前半では、茶道に出会うまでの人生もコンパクトに解説されているので、大河ドラマの予習本ともなっている。
八重が残した几帳面な稽古日記を見ると、いかに熱心に稽古に打ち込んでいたかが窺える。
茶友たちにはその体型から「肥満刀自」と呼ばれていたりしたようである。
おおらかで向上心があり温かい人柄であったことが忍ばれる。
どんなお点前だったのか、もう見ることは叶わないが、武道にも長けていた人だけに、骨太で鷹揚な雰囲気だっただろうか。
お茶の先生は老齢でも矍鑠としている人が多い、なんて話をそういえば聞いたことがある。いろいろな人に会い、話をし、手を動かす機会が多いわけだから、そういう傾向はあるかもしれないなと思う。
八重は亡くなる前日まで、茶会に出掛けていたのだという。
ドラマの八重がどのような生涯を送るのか、楽しみに見ていきたい。
*著者は茶道研究者。NHK教育の茶道番組にも解説で出演することがある。
*新島旧邸は予約の上、見学可。これは一度行ってみよう。
*八重のゆかりで、福島と京都の高校の茶道部員たちが交流したりもしている。
http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20121214000080
京と福島、八重つなぐ(京都新聞)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
茶道も八重たんもまた新たな一面を知ったな~