絶望している暇はない: 「左手のピアニスト」の超前向き思考

著者 :
  • 小学館
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093885577

作品紹介・あらすじ

奇跡のピアニストが奏でる35の言葉

“左手のピアニスト”として知られる舘野泉。80歳を超える今も、国内外で年間50回近くのコンサートを行う現役の奏者である。

舘野泉の身に異変が起こったのは、2002年1月のことだ。在住するフィンランド・ヘルシンキでのリサイタル中、脳溢血で倒れ、右手の自由を失ってしまう。
しかしわずか2年のち、左手だけで演奏を行うスタイルで復帰を遂げたのだ。

『目の前に大海原が現れ、うねり、ぶつかり、音が香り、咲き、爆ぜて飛沫をあげているような、そんな感覚になりました。ピアノに向かうと、左手一本で弾いているのに、音が立ち上がってきた。僕の前に、「左手の音楽」という新しい世界が開けてきました。
自分はこれでまた、変わらず音楽ができる。僕を閉じ込めていた厚い氷が融け、一瞬にして光溢れる世界に戻って来たのです』(本書より)

舘野泉は、どんなときも絶望しない。むしろ、不自由や困難があっても、それは自分の知らないこと――つまり、新しい体験だから面白いのだという。
長期に及んだリハビリですら心の底から楽しんだと語る、舘野泉の言葉は、常に前向きで、新しい世界に対する好奇心にあふれている。


【編集担当からのおすすめ情報】
何があっても絶望しない。病を得て右手の自由を失っても、その状況すら楽しんでしまう舘野泉は、人生の達人。
困難に直面したとき、人生に迷ったとき、悲しみに打ちのめされそうなとき、大事なものを失ったとき、舘野泉の奏でる35の言葉は、きっとあなたの力になるはずです。

感想・レビュー・書評

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  • お金、名誉、そんな物には目も触れず、自分の好きな事をやり通す芯の強さを感じました。

  • ピアニストをやっていて片手が使えなくなったら相当絶望すると思うのだが、この館野さんという人にはそういう悲壮感が本当にないみたいで驚倒。正直、宇宙人感はあるものの、こういう人も実際に本当にいるんだという知識は何かのときに助けになりそう。興味深い。

  • 2002年に脳溢血で倒れ、右半身の自由を失った舘野泉さん。
    ピアニストとして右手を失うことは致命的な出来事で、普通であれば精神的ショックが大きい。
    でも、舘野さんは落ち込まなかった。病気で奪われたものは右半身だけ。他はなにも変わらなかったと言う。
    病気をする前もそのあとも変わらない。
    舘野さんがそうであったのは、彼の生き方。いい意味でこだわりがない。そして新しいこと、未知への領域へ足を踏み入れるのを恐れない開拓精神ももっていたからだと本書を読んで感じた。
    好きなものを長年仕事にしていると、大なり小なりその人のこだわり、「こうじゃなきゃダメだ」という部分が滲み出てくる。
    でも、舘野さんにはそれがない。
    本当に音楽が好きで、好きなことをしている間は「生きている」感覚をずっと失わなかったからこそ、右手を失っても、じゃあ左手の音楽をやってみようと切り替えることができた。
    本書では、そのことをなんでもないことのようにさらりと書いてあるが、これを長年貫くには、強くてしなやかな軸を持っていないとできない。
    はじめは「好きだから」と始めた仕事も、いつの間にか好きではなくなったり、好きの優先度が安定や役職より下になってしまった人たちを何人も見てきたので、この人の軸の強さには驚きと同時に、私も舘野さんのようでありたいと思いました。


  • この本を読んだ最初の感想は、「自由」と「寝かせる」が好きな舘野さんって「"リアルスナフキン"やん!」でした。

    舘野泉さんは大河ドラマ「義経」で左手だけの演奏でオープニング曲を演奏された在フィンランドのピアニストさんです。

    私は演奏から入って魅了された人間ですが、この自伝的作品を読んで、舘野さんのことがより好きになりました。

    ・「新しいことは素敵!」と全てを受け入れられるポジティブさ
    ・大事なご縁は寝かせて待つ(=私は勝手に「春待ち」と呼んでます 笑)謙虚さ
    ・自分の「心」の声を信じる誠実さ

    全部共感できるし、尊敬できるポイント。
    そんな舘野さんの魅力をエッセイのような軽いタッチでまとめられた本でした。

    その中でも印象的だったのが、
    「嫌なことが近寄ってこないのは、いつも楽しいことばかり探しているから」

    これは年を経るごとに意識しておきたいな、と思った言葉です。読む人一人一人に言葉のギフトが詰まっている本。

  • 「今、生き生きとしている。そのことのほうがよほど大事」この言葉が、とても印象的でした。生き生きと生きていくために、やりたいと思ったことをするために、「自分のやりたい」を大切にしたいと思った一冊。

  • 2002年プロのピアニストがリサイタル中に脳溢血を起こし右半身の自由を失ってしまった。

    ピアノは両手で弾くもの、という常識を超え左手のピアニストとして80歳を超える今も活躍中。

    著者の言葉「右手を奪われたんじゃない、左手の音楽を与えられたんです」は心に深く刺さりました。

    良書です。

  • 脳溢血の後に右半身が不自由になったピアニストのエッセイ。左手のための協奏曲に精力的に取り組むが、そこに気負いや悲愴感はない。何事も心の向くまま、飾らず気取らず自然体の生き方に、心地よく共感できる。

  •  半身不随から奇跡の復帰を遂げた左手のピアニストが奏でる35の言葉。本書の【はじめ】には、こう綴られている。「復活は奇跡ではない。苦難の道のりでもない。絶望もない。悲嘆もない。何かを失ったのでもない。両手で弾いていた自分も、左手で弾いている自分も、変わらない自分。あるがままを受け入れ、あるがままを楽しんでいる」
     内容的には、ちょっと物足りなさを感じるが、読みやすい。

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著者プロフィール

ピアニスト。1936年東京生まれ。
領域に捉われず、分野にこだわらず、常に新鮮な視点で演奏芸術の可能性を広げ、不動の地位を築いた。2002年に脳溢血で倒れ右半身不随となるも、しなやかにその運命を受けとめ、「左手のピアニスト」として活動を再開。尽きることのない情熱を、一層音楽の探求に傾け、独自のジャンルを切り開いた。“舘野泉の左手”のために捧げられた作品は、10ヶ国の作曲家により、100曲を超える。2023年は数え年で88歳を迎え、「米寿記念演奏会」全国ツアーを行う。もはや「左手」のことわりなど必要ない、身体を超える境地に至った「真の巨匠」の風格は、揺るぎない信念とひたむきな姿がもたらす、最大の魅力である。

「2023年 『ハイクポホヤの光と風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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