泣きながら、呼んだ人 (小学館文庫 か 14-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 142
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094060430

作品紹介・あらすじ

母娘を描いた感動の家族小説。待望の文庫化

多くの読者を感動に包んだ小説『泣きながら、呼んだ人』。待望の文庫化です。
作者は、「人間描写の達人」と評される加藤元。
物語は、4名の女性を主人公に、ロンド形式で進んでいきます。
母とわかり合えない気持ちのまま先立たれてしまったハルカ。幼い頃から自分と母を仲良し母娘と信じてきた妊婦の菜摘。小さな頃からすべての基準が母親にあり、疎ましく思いつつもどこかで手を離されるのを怖れている千晶。女としての母の側面を大人になっても受け入れられず、母を赦すことができない芙由子。
彼女たちを軸に、その兄妹、夫、父親、義母、義父、友人、子供たちの様々な目線、エピソードが加わります。きっと誰かに、またはどこかしらに共感せずにいられない、心にじんわりとしみわたる家族小説となっています。特に女性には必読の書。
家族と上手につきあえている人もどうもうまくつきあえない人も、すべての読者たちの心に響く、ハートウォーミングな傑作です。ところどころ、くすりと笑わせる筆致も見事。そして読後には、温かな涙が心を潤すこと必至です。



【編集担当からのおすすめ情報】
「親への恨みつらみなんて、永遠に届かない片思いみたいなもの」
---本書を読んでいると、心に刺さる言葉にたくさん出くわします。
ただじんわりと泣きたい人、心が傷ついて癒されたくなったとき、心身ともに疲れがたまっているとき……。心の鉛がすっととけるような、優しく泣ける物語です。

感想・レビュー・書評

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  • 切っても切れない縁だからこそ、拗れたり誤解を招いたりすることもあるし、お互い素直になれないこともあるし。
    だから他人との距離感よりも、身内の距離感のほうがきっと難しかったりするんだろうな。なんてことを思いながら読んだ一冊でした。

  • 気がつくとポロリと温かい涙が溢れている…そんな小説。

  • 母親と娘の関係が軸になった四編のストーリー。四編の登場人物が重なります。
    母と娘ってとても近い関係だけど、お互いに口には出さない秘密もあったりするんですよね。

  • 四名の女性を主人公に、母と娘の互いの思いを中心として家族の在り方を描く連作小説。
    母と娘の関係は、男には理解し難い部分が多分にある。近親者であり同性であり人生の先輩後輩であるが故に、共感する部分と反感する部分と。本作では、その微妙な人間模様を巧みなさじ加減で美しい物語に仕上げている。タイトルの意味を知ったとき、この作家さんは只者ではないと思った。
    また、書店員・松本大介さんの解説はプロの方以上の名解説です。

  • いろんな親子があるんだよね。外側からわからないけど…。母と娘同性どうし良い所もあればなかなか難しいところもある。心配してないようで一番心配してくれてたり…ありがたい存在です。

  • 母と娘、あるいは祖母と母と娘そして「家」を描いた短篇集。
    私の中での評価の基準に(連作でない)短篇集では「その先が読みたくなる短編」と「作品として完結していると感じる短編」があり、この本は後者である。読み進むうちにこれが連作であることが判るのだが、それでも各短編はきちんと完結している。
    母と娘の言わなくていいのに言ってしまう関係、判ってると思って敢えて言わずに過ごしてしまった関係。それらが絶妙なさじ加減で描かれる。
    各短編、ラストの数行の鮮やかさに舌を巻いた。

  • 2015.1.17

  • 母と上手く関われない私には、うんうんと納得したり、そんなものかね…と考えたり色々な思いが交差した。姉妹が各々相手の方が恵まれてると思っていたら…とか、母と娘が反発しあいながらも結局は相手を心配してたり…何処の家庭にもありえる話に苦笑い。そして「かつて誰かに愛されたと言う過去があるから、誰かと手を携えて生きていく未来を信じられる」に泣く。人との関わりは有難いが難しい…

  • 母と娘。あまりにも近い存在だからこそ、その距離を測るのに失敗するとお互いに深く傷つく。
    今流行りの一卵性母娘も、母娘憎悪も、距離をつかめないが故のゆがんだ関係なのかも。お互いの中に自分を見る。えてして自分の嫌な面であって、だから同化するか憎んで離れるか。ちょうどいい関係を保てるようになるのはある程度の年齢になってからか。自分自身が母になり子どもを育てるときの揺れを経験すれば、そこに理解が生まれるんだろう。こころが形を作り始めるころ、いつもそばにいてそっと包み込んでいてくれた、そんな記憶があれば、きっといつか分かり合える。やっぱり、母と娘だから。
    そして解説がすばらしい。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ、東京育ち。日本大学芸術学部文芸学科中退。日本推理作家協会会員。2009年、『山姫抄』(講談社)で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー。『泣きながら、呼んだ人』(小学館)が盛岡のさわや書店が主催する「さわベス」1位を獲得。2011年に刊行した『嫁の遺言』(講談社)が多くの書店員の熱い支持を受けベストセラーに。その他に『蛇の道行』(講談社)、『四月一日亭ものがたり』(ポプラ社)、『ひかげ旅館へいらっしゃい』(早川書房)、『ごめん。』(集英社)など。昨年刊行した『カスタード』(実業之日本社)は奇跡と癒しの物語として多くの読者を勇気づけ、本作はその続編にあたる。不器用だけど温かな人情あふれる物語には、幅広い世代にファンが多い。

「2022年 『ロータス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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