ひなた弁当 (小学館文庫 や 2-14)

著者 :
  • 小学館
3.73
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本棚登録 : 835
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063318

作品紹介・あらすじ

逆境に陥った中年サラリーマンの復活物語

王崎ホームの芦溝良郎は、50歳を前に会社からリストラされた。再就職先を人材派遣会社から紹介されたが、どこも長く働くことが出来ない。予備校生の娘の手前もあって、いままで通りに家を出る毎日だった。ある日、公園のベンチに座った良郎は、ドングリ拾いをしている子どもを見て、自分も拾って調理してみる。「食えるのなら、食ってみようかな」。調理して食べられることがわかった良郎は、続いて野草の採取と魚釣りへと行動の範囲が広がった。食材を無料で入手して家で調理しながら、良郎が向かったのは、サラリーマン時代に食べていた弁当屋のいわくらだった……。
同じリストラ仲間の姿に元気づけられ、一度は途方に暮れた中年サラリーマンが、自らの夢を叶えて仕事を始め、おおいなる復活を遂げる。
逆境に陥った主人公を次第に応援したくなる、心温まる感動小説!

【編集担当からのおすすめ情報】
中公文庫版になかった、著者の「あとがき」が入ります。

感想・レビュー・書評

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  • 大人のファンタジー。

    この作品を30代の時に読んでも面白くなかったかもしれない。自分が主人公の年齢と近いため、共感するかは別として、その心情はよく理解できたのだと思う。

    本作を読む時に注意しなくてはならないのは、色々と突っ込んではいけないという事。
    そんなに都合良く大株主と知り合いになるかよとか、引きこもりが立ち直ったら父親が新聞記者でコラムに掲載ってどんだけ都合のいい設定だよとか、そういう無粋な突っ込みはNGだ。
    何故ならこれはリストラにあった冴えない中年が成功する御伽話でありファンタジーなのだから。

    間違っても読者諸氏は、もし自分がリストラにあったらドングリを拾うところから始めようなどと思わないように。

  • 押しが弱い住宅販売営業マンが50歳を目前にリストラされる。再就職もままならず、野生の草や魚を採集し、隠された料理の才能が目覚めて弁当屋を始めて、メディアにも取り上げられて、あれよあれよの大成功。
    いかにも日本人が好きなストーリーで、そんなに現実はうまくいくまいと思いつつも、こんな人生があってもいいかなとほっこり思わせてくれる一冊でした。

  • 読みやすくておもしろかった。
    リストラは酷いなあと思いながら読んでいきましたが、最後は元気な気分になりました。
    主人公かだんだん強くなっていく姿がカッコよかったです。

    小さい頃からどんぐりが沢山落ちているのを見ると、このどんぐり食べられないのかなあと、ずっと思っていました。食べられるのですね。
    どんぐり食べてみたいです。

    • mokamocaさん
      「民宿ひなた屋」も
      お勧めです☺️
      「民宿ひなた屋」も
      お勧めです☺️
      2023/03/12
    • 岳東さん
      ホントですか。
      情報ありがとうございます♪
      町の図書館には無さそうなので、隣接市の図書館で探してみますね^_^
      ホントですか。
      情報ありがとうございます♪
      町の図書館には無さそうなので、隣接市の図書館で探してみますね^_^
      2023/03/12
    • mokamocaさん
      ぜひぜひ!
      ぜひぜひ!
      2023/03/12
  • リストラから再就職までのシーンは切実でに胸が痛くなった。その後のどんぐりから野草採取や釣り、料理までは、場面転換があまりに大きく現実離れかも。お弁当屋さんを始めてからの展開は出来過ぎ。ハッピーエンドで爽快なテンポ感の小説で、楽しく読むことが出来ました。

  • 人生何があるかわからないなぁ。
    「幸か不幸かーー」
    どう受け止めるかは自分次第なのかもしれない。そう思える一冊でした。

    リストラにあってずっと仕事が見つからなかった良郎だが、公園でのふとした思いつきから事態は思わぬ展開を見せる!

    釣りのことを自分が教えてもらって嬉しかったように、今度は人に教えてあげる良郎。親切の連鎖が嬉しい♪
    知らない人=不審者 じゃなくて、こういう触れ合いがもっと普通にあふれる世の中だったら良いのになぁと思った。
    良郎がどんどん新しいことにチャレンジしていって、それがまた楽しそうで見守っている気分の私も一緒にワクワク。
    少しずつ家族とのコミュニケーションが変化していく様子も良かった。
    とても優しくて元気がでる作品でした。

  • 他の方のレビューを見て気になったので読んでみました。

    テーマの着想が面白くて、良くこんな事思いつくなーと感じ、やっぱり作家さんって凄いんだなぁーと心から関心しました。
    あとがきに、この本を書くきっかけが書いてありましたが、着想から物語として作り上げるまでの労力って、ものすごぉく大変なのだろうしセンスが必要ですよね。
    ちょっと出来すぎ感もありましたがとても楽しく読める本でした。
    おススメです!

  • 理不尽なリストラで会社を辞めることになった芦溝良郎がひととして復活していくお話。

    生きるってサバイバルだなと思う。ひとは、元々狩猟民俗で、ごはんのために獲物を狩る必要ごある。現代で言えば、仕事をして一家を養うことがそれに当たるのかもしれません。

    何のために働くのか。誰のために働くのか。リストラで去っていくひともいれば、リストラされたことで新たに出会うひともいるかもしれない。大切なのは、仕事ではなく、もしてや過労死でもなく生きてお金を稼ぐこと。

    良郎は運がよかったのかもしれないし、才能に気付くきっかけがあったかもしれないけど、仕事以外のことに目を向けることも大切なんだ思いました。

    強くなければ生きられない。優しくなければ生きている価値がない。

  • どんどん後半に向けて、上手く流れていき安心して読めました。
    お弁当のメニューにイマイチ食指が動かず、あまり魅力のある食材ではなかったことが残念でした。

  • 私の父親から本を借りて読みました。
    私も精神的にしんどくて会社辞めたばっかりで精神弱っていたせいか、家族と仕事を再構築していく過程にちょっとうるっときた。

    でも私は旦那さんを責めたりしたくないなー。
    たとえリストラされても。
    自分の強みを見つけて、お弁当屋さんで働いて
    イキイキする主人公はまぶしい。
    いま好きな仕事で働いてる人なんて少ないだろうからなおさら。

    現実はなかなか上手くいかないだろうけど
    私も強く生きていきたいなぁと思いました。

  • 50歳目前にして会社をリストラされたサラリーマンが職探しに翻弄する中で、いままで自分でも気づいていなかった自分の才能を見つけて再起する物語。

    本の前半では、会社に忠誠を誓って長年まじめに働き続け会社と相思相愛だと思っていたのに、あっさりクビを切られたシーン(しかも上司に裏切られたり)だとか、職を失って家に居ようとしたら奥さんから「家にいると、娘がなんで平日に家にいるのかと訝しむし近所の目もあるから外に出ていって」と言われ、仕事もないのに平日は毎日スーツを着て公園やら図書館を徘徊するシーンだとか、同じサラリーマンとして、現実味のある全く笑えないシーンが続きます。
    でも、本の後半では見事に大逆転を果たしてくれるので読んでいて爽快です。

    この本、現実味と人間味のあるドラマ仕立ての物語でもありながら、実はビジネス系自己啓発本としても読めるのではないかと思いました。自分と会社との距離感だとか、自分が「本当に」好きなこと、やりたいことは何なのか、それをなぜ行動にうつさないのかだとか、残業で夜中まで家に帰れないサラリーマン時代に自分は子どもに対して何をしているのか(何をしていないのか)といった、会社で勤める自分の人生について考えさせられる物語でもありました。

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