- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094063998
感想・レビュー・書評
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久しぶりの柚木麻子さん作品。舞台は80年代〜90年代初頭の東京。「座るだけで3万円」と言われる銀座の高級鮨店に、故郷に帰ることを決意し退職前に上司に連れられてきた年若い会社員の青子の10年間を描いた物語。フィクションだが、ちょっとしたことや偶然の出会いがきっかけで人の人生が大きく変わることはあるのだろうなぁと感じた。青子も、端から見れば高飛車なOLというイメージで片付けられかねないが、当時の価値観に屈することなく、自分で悩み手探りで人生を進んでいく様子が描かれていた。その後、青子はどうなったのだろう。自ら選んだ環境で納得のいく人生を歩んでいると良いと思った。
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最後の終わり方、良かったです。
お鮨を握る手を、素敵と思う気持ちも、
カウンターで見つめてしまう気持ちも、
どちらも分かりすぎる。
お鮨はやっぱり特別で格別で
暖簾をくぐる時から、気持ちが高揚するのも激しく共感。
握る側にはなったことはないですが、
あの特別な食べ物を、
数秒で作り上げる手と、
美味しくするための、お客様には見えないたくさんの努力と。
バブル期の加速していく高揚感と、
女性として若いことが価値として重要だった時代。
いまの時代の女性は、少しずつでも生きやすくなってるかも、
と再認識しました。
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花金とか万札持ってタクシー止めるとか知らない世代だけど、文章が読みやすく長さもちょうど良くて楽しむことができた
大きな目標を持って仕事する青子に羨ましさを感じたし、いつか鮨屋じゃなくても喫茶店でも常連になりたくなるような素敵なお店を見つけたい
辛いことがあった時、「おかえりなさい」って楽になるよなぁ -
寿司職人に恋するOLの話。
きらびやかな80年代、不況生まれの私にとってはまさにファンタジー。価値観の違いに驚きつつ、恋愛感情はとても共感できた。
激動の人生だから、次の展開が気になって仕方ない。時代のせいだけじゃなく、青子の蝶のようにはらりと居場所を変えることができる生き様のせいでもある。この身軽さ、変化の恐れなさは現代人が失っているものだと思う。
それからエネルギー。時代に溢れる景気の良さも、恋い焦がれる青子の気持ちもエネルギッシュ。魅力的だと思った。
柚木麻子さんの言いたいことって、「それでも生きる」ことだと思う。報われない、それでも生きる。将来が不安、それでも生きる。これは柚木麻子さんの他の小説にも通ずるメッセージだと思う。そんな力強さが我々読者を励ましてくれていると感じる。 -
美しくて刹那的な物語
たった一度の出会いが運命を変えること
一人を思い続けてそのためだけに必死に生きること
ぬぐいきれない孤独や、手にしたものの感触がない日々を駆け抜ける青子の姿が眩しくて読了後は胸にじんわりとした温かさが残った。
個人的には出会いから不動産会社に転職しただキラキラした片思いの中で生きていたあたりの描写が非常に好きでした。
今度銀座一丁目で降りて浸りたい。 -
いつもながら 食べ物描写は秀逸。おすしが食べたくなる〜。しかも切ない。どちらかが 勇気を出して カウンターって壁を乗り越えてたら どうだったのかなぁ。でも まぁわかるけど。こういう関係から踏み出すって 勇気いるもんなぁ。大切に思えば思うほど 乗り越える壁も高くなるしね。こんな切ない恋 若い頃あったなぁ。きっとみんな 思いあたる思い出あるんじゃないかなぁ。
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バブル時代の東京で生き抜くOLと鮨という
設定が面白い。
仕事に恋に奮闘する主人公に共感したりしなかったり…でしたが最後は清々しい終わり方でよかった。
お鮨の描写が秀逸!お鮨が食べたくなる。
ミキと青子の友情が好きでした。
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アッコちゃんシリーズ、『BUTTER』に続き5作品目だが、著者が描く美食と女性の成長物語にハマりそう。女性の成長をよく書かれている飛鳥井さんも好きだが、飛鳥井さんはさっぱり、柚木さんはねっとりという感じ。
バブルで日本中が浮かれていた頃、高級鮨店の味と板前の手に魅了された青子が不動産の会社で活躍し、鮨店に通い詰める。確かに男性の、特に職人さんの手に惚れるという気持ちはよくわかるが、ここまで手にフォーカスした小説は珍しいのでは?恋愛感情は抱くものの発展することはなく、手で心を通わせる2人に少し憧れる。 -
お鮨食べたくなった。
パートナーがいる、いないとか、家庭がある、ないとか、そんな枠じゃなくて、1人の人間もして、何を大切にしたいかを考えて生きていきたいと思った。