上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫) (小学館文庫 た 35-1)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094066616

感想・レビュー・書評

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  • それぞれの展開は結構伏線があるのでなんとなく想像通りのとこに落ち着くけど、各エピソードがいい感じに配置されていて、上流階級の人々の生活を覗き見るワクワク感と相まって全く飽きずに読める。
    いろんな難題にぶち当たるけど、主人公の性格もあって過度にウエットにならずに話が展開するのも読みやすい。

  • 百貨店の外商、普段ぜんぜん馴染みのない世界だ……。
    そんなほとんどの読者が具体的にイメージできない業界の様子が、他業種出身の主人公の目線で描かれてるから無理なく感情移入できるのが面白いなー。
    ラストもほっこりする終わり方で、シリーズの続きも読みたくなった!

  • 本に出てくるメインのお金持ちの人々は、富裕層、と言う言葉じゃなくて上流階級という言葉がふさわしいなあと思う。
    上流階級の方にモノを売る、というある意味特殊な仕事。自分がなったことのない立場の方にしっかり寄り添う静緒は、言い方が悪いかもしれないけど「センスがある」人だなと思う。
    静緒が色々考えてモノを売ったり、難題を突破していくのが読んでいてとても気持ちがいい。大好き。

    静緒と桝屋の絶妙なバランス関係が好き〜!好きすぎて何回も読み返してもう表紙は擦り切れまくってますが、これからも何回も読むと思います笑

  • 表紙が可愛くてパケ買い?したものの、長いこと積読だったこちらを読了!

    百貨店の世界、外商の世界、知らないことばかりだったので単純に読んでて新しい発見しかなくて面白かったです。単に物を売るだけじゃなくて、サービスも売る、お客様に頼まれれば何でもやる、マスカレードホテルで出てきた、ホテルコルテシアのホテルマンみたいだなあなんて思いました。

    主人公の鮫島静緒はバリバリのキャリアウーマンで、めっちゃ仕事できるんだけど、人間らしいところもたくさんあってつい応援したくなるキャラ。最初は嫌いだった桝家との関係が徐々に変化していく感じもよき。この2人の掛け合いが物語の中で1番好きだったな。

    様々なお客さんの無理難題を解決していく中で、感動的なストーリーもあり。読み終わった後は心があったかくなるお話でした。大変なこともたくさんあるけど仕事頑張ろうとも思えました。笑

    そして百貨店に行って買い物したくなる。
    売上が厳しいと言われている百貨店ですが、将来もなくならないでほしいなあと思います。
    続編も知らないうちに3冊出てた!!!読んでみたい!

  • 外商の世界、面白かった。
    枡家がちょっと気になる。

    ただ文章は読みにくい気がしたな

  • 百貨店の外商の話。
    バリバリ働く仕事の話。面白かった。
    普段知ることのない上流階級。百貨店は夢の世界。そこの最上級のサービスをするために働くのが外商。
    こんなことまでお願い出来るのかと同時にこんなこと頼む人がいるのかと思う。尽きることのない仕事、それに思考を巡らせているのが楽しく仕事を頑張っている姿が読んでいて気持ちいい。

  • 高級地域にある百貨店の外商が舞台。
    もちろん私は縁のない世界ですがちょっと覗き見くらいはしたいなと思わせられました。

    外商を使う人たちはこんなふうにポンポンと大金使うのかなぁ。

  • 読み終わるとデパートに行ってみたくなる。そんな一冊。外商の世界とは人々に夢を与える華やかな世界でありつつ、単に『お金持ち』(←禁句)に高いものを売りつけてノルマ達成などという甘い世界ではなく(相手は目の肥えた紳士淑女、たまにヤクザ)、大げさでなく相手の人生に一生寄り添うことに、いやそのまた子孫までのお付き合いとなる。冠婚葬祭に孫のオモチャや家のリフォーム。現代でいうコンシェルジュサービスの元祖なんだなあと、外商エンタメを楽しめました。

  • 再読

    上流階級へ出向き、お客様のご要望に応じた商品を提案する百貨店の外商
    見たことも聞いたこともない秘密の世界をのぞき見出来て面白い!

    主人公は製菓専門学校卒の元バイヤーという変わった経歴を持つ鮫島静緒(37)
    彼女は自分を見込んでくれた伝説の外商員、葉鳥士朗の後継者となるべく日々奔走している
    男性が多い富久丸百貨店の外商員の中で珍しい女性として、菓子業界への伝手を使い、元バイヤーの知識を使い、様々な手段を使ってお客様に喜んでお金を使ってもらい、ノルマをこなす日々

    この話は出てくる登場人物がほんとみな個性的で面白い!
    キャラクターがご都合主義ではなく、ちゃんと血肉のある人物になっているのがそれぞれのエピソードから感じられる

    その中でも、細く巻いた傘を常にステッキ代わりに持つ紳士、葉鳥さんは別格で格好がよい。
    ラストのデパート屋上の遊園地
    キラキラした情景が目に浮かぶ


    『百貨店ていうハコの中で他店と同じ商品を売るためには、お客さんにこっちを選んでもらうしかない。だけどその判断基準は、老舗の包装紙とかそういうものを省けば、ぶっちゃけ販売員のサービスだけでしょ。その販売員の価値も、結局のところ日ごろから積み上げていくしかない』

    静緒のお客さんの中でも特に気難しやの鶴さん、見栄っ張りの彼女にはクリスマスに超有名パティシエのバースデーケーキを所望されたけれど、何とか奇策をひねり出し、別のパティシエのもので満足をしてもらうことが出来た

    『高価でスペシャルなバースデーケーキとはいえ、ケーキ一つ用意しても十数万の仕事だ。このために時間を割いてかけずり回って、鶴さんの怒号を浴びてストレスを溜めて…。本来であればわりに合わない仕事だろう。そんなことをするよりも宝石の一つでも売れ、そう邑智に言われるのもしかたがないかもしれない。
    けれど、お金で買えない何かを手に入れた実感はあった。永遠に続く魔法ではないけれど、鶴さんはきっと恩に着てくださるだろう。今日のためにさまざまな手を尽くしたことは、将来静緒が本当に困った時の助けになるかもしれない』

    静緒の仕事のスタンスは外商員としては規格外なのかもしれないけれど
    ネットが普及し、消費のやり方が変わっていく時代
    百貨店はきっと静緒のような人が必要になるのだろう


    ところでお客様の一人に清家弥栄子様という六麓荘に住む名家のお嬢様(年齢は50前くらい)がいる

    『私は生まれた時から富久丸さんにすべて揃えて頂きました。産着もお宮参りもお食い初めも七五三も、入学式も十三参りも、お誕生日会や習い事の発表会や十九のお祝い。成人式。結婚式も出産もほんとうに何から何まで、私の人生は葉鳥さんと…、富久丸さんとともにありました。
    私がいなくなっても、富久丸さんがいつもと同じようにしてくださいね。私や妹に葉鳥さんがしてくださったように、娘や孫たちに…。娘たちは今時の子供で、外商さんでものを買うなんて時代遅れだと思っているようで、私もあまりすすめなかったのだけれど、いまになって少し悔やんでいます。
    どうぞこれから訪れるたくさんの幸福や、もちろん辛い時や苦しい時も手助けをしてやってください。皆が親戚やお友達にめぐまれてよい人生を歩めるように、節々の記念日に。』

    私はもちろん上流階級のお付き合いというものは実体験は全くなく
    この物語を通して、こういう世界をのぞき見、想像するだけだけれど
    世の中には外商を必要とするおうちがあって、
    その人たちのために奔走する人たちがいるのだろうなぁ

  • 女性が働くことに一生懸命になることを肯定してくれるような作品。いろいろなエピソードがあるが、いい意味で頭を使わす読めるので、さくさく読める作品。

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著者プロフィール

1976年兵庫県生まれ。2000年『マグダミリア三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞しデビュー。主な著作に「トッカン」シリーズ、「上流階級 富久丸百貨店外商部」シリーズ、『メサイア 警備局特別公安五係』、『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』、『マル合の下僕』、「カーリー」シリーズ、『剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎』、『主君 井伊の赤鬼・直政伝』(文藝春秋)など。2013年『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。漫画原作も多数。

「2023年 『忘らるる物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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