DASPA 吉良大介 (小学館文庫 え 8-3)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 76
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094067934

作品紹介・あらすじ

警察キャリア官僚が国家の危機に立ち向かう

DASPA(ダスパ)――国家防衛安全保障会議。テロをはじめ国家の非常事態に的確に対応するため、内閣府に設置された各省庁からの選抜精鋭チーム。
吉良大介――警察庁警備局出身、要となるインテリジェンス班サブチェアマンに抜擢されたキャリア官僚。「日本をバージョンアップする」が口癖の長身イケメンのこの男、仕事はできるが女性に弱い。
DASPAのスタートを目前に控えた日、中目黒のマンションでひとりの白人男性が毒殺された。その目的は? 背後で蠢くものとは? 人気シリーズ『巡査長 真行寺弘道』とリンクする著者渾身の書き下ろし痛快エンターテインメント小説。



【編集担当からのおすすめ情報】
一度読んだら、とまらない! 話題作『エアー2.0』の著者が贈る最新書き下ろし小説。人気シリーズ「巡査長 真行寺弘道」と同時進行するもうひとつの物語がスタートします。

新シリーズ『DASPA 吉良大介』の第一作をお届けいたします。本作の主人公である吉良大介という名前に覚えのある読者もおられるかもしれません。『巡査長 真行寺弘道』シリーズの第一話で登場し、その後も折に触れて口に上っていた人物が主人公として難事件に向き合います。
真行寺が組織の束縛を嫌って気ままに振る舞うために、昇進試験を受けず、個人的な快楽の中に生きがいを見出そうとする(なかなかそうもいかないのでありますが)のに対し、吉良は積極的に組織に働きかけ、大きな仕事の中に人生の意味を求めるという対照的な人物です。しかし、両者ともに、’人間であることとは’という大きな問題意識を持ちながら、悪戦苦闘するという点では共通しているのかもしれません。
本作品で僕の小説と出会った方は是非「別の話」である『巡査長 真行寺弘道』もお手にとっていただければと存じます。真行寺シリーズの読者で、たまたまこの「あとがき」を先にパラパラとめくっておられる読者のかたは、なおいっそう本作品を楽しんでいただけることをお約束いたします。
(著者「あとがき」より)

感想・レビュー・書評

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  • 榎本憲男『DASPA 吉良大介』小学館文庫。

    文庫書き下ろし。日本のインテリジェンスの危機をテーマに描いた警察小説。プロローグに描かれたハッキングによるサイバー・テロの物語が続くのかと思ったのだが、本編ではさらに面白いストーリーが展開する。

    通称DASPAと呼ばれる新たに発足した内閣府の国家防衛安全保障会議のメンバーに召集された警察庁警備局出身のキャリア官僚・吉良大介はインテリジェンス班サブチェアマンに抜擢される。DASPA発足の直前に中目黒のマンションでアメリカ人が殺害される。調査に乗り出した吉良はこのアメリカ人がロシアの二重スパイで神経毒により殺害されたことを掴む。事件の背後にあるものは……

    作中に『巡査長 真行寺道弘』に描かれた衆議院議員の尾関一郎の殺害事件が描かれ、ハッカーの黒木良平らしき男も吉良大介の知人として登場し、さらには真行寺道弘も登場する。あとがきには吉良大介が『巡査長 真行寺道弘』に登場していたとあったが、失念していたようだ。

    本体価格820円
    ★★★★★

  • 新シリーズにして、真行寺弘道シリーズともリンクしている作品です。尾関議員が登場していますので、時間軸としては真行寺シリーズの第一弾の頃の話しということになりますね。あとがきによれば、真行寺~のほうにも吉良が登場していたようですが、さすがに忘れてしまっていて…。

    さて、作品はというと新たに発足するDASPAのインテリジェンス班のサブチェアマンに抜擢された主人公吉良が活躍する物語で、エンタテインメント小説というべき部類のものなのですが、スパイ防止法など国際政治的な色合いの強い内容を扱っているせいか、(自分の不勉強もあり)イマイチにはピンとこない部分ありました。そのため、星の数もちょっと控えめ…。

    主人公である吉良はというと、警察官僚の中枢ともいえる立場にありながら少々ハメを外した立ち回りもあるとはいえ、やはり国を守るスタンスを貫く正統派な人物といえるでしょう。その点、真行寺と比較してしまうと、どこかおもしろみに欠ける気がいたします。女関係で失敗してしまう点は愛すべきキャラといえますが、その一方でキレ者な面もあって、と、なんだか現時点ではつかみどころがない、評価に悩むキャラです。新シリーズということですので、続編に期待。

  • DASPAシリーズ第一弾は、巡査長真行寺弘道シリーズの1作目とリンクする内容。こちらは、吉良大介の目線で語られる。

    真行寺弘道シリーズでチラッと登場した長身でイケメン、バイオリンも嗜むエリート警察官僚・吉良大介。国のために働き、日本を良くすることを本気で考える姿に官僚として完璧な姿を想像していた。
    この作品では彼の意外な弱点、女性に弱いところが露呈。ハニートラップにかかったり、真行寺の上司である水野にもキツく当たられたり、女性関係の受難が続く。

    それでも吉良の青臭いまでの国家観には、個人の自由を何よりも大事にする真行寺よりも個人的に共感する。
    作品では現実より先にスパイ防止法案が委員会を通るのだけど、そこに仕組まれた免責条項が最後の山場。
    日本という国は自分の足で立っているのか?一人前の大人の国と言えるのか?大きな命題を投げかける。それでも吉良たちが抵抗し、最後の最後で少しだけ将来に希望を繋いだことが救い。

    様々なことを考えさせられる作品。
    さて、現実はどうなっていくのか。

  • 巡査長シリーズに出る吉良は、印象として登場する意味がちょっとわからないと感じていたのだけれど、平行した物語という形態は面白いかもしれない。

  •  単なるエンタメではなく、考えるためのエンタメ。
     思想的な立場とは関係なしに。

  • 10月-10。3.5点。
    自衛隊やら、警察やら、厚労省やらが集まった国家的インテリジェンス部署。
    警察官僚の主人公が、部署横断的に動く。最初の事件は、日本で殺害されたロシア人。

    真行寺が出てきたり、黒木が出てきたり。スピード感あり、スパイらしいだまし合い、日本的な縄張り意識あり。
    盛りだくさんだけど、上手くまとめた。さすがの作者。

    あとがきによると、真行寺シリーズと絡みながら進んでいくらしい。楽しみだ。

  • ”巡査長真行寺”と登場人物が被る警察官僚が活躍するエンタメ

    パラレルワールドの警察ものぐらいに割り切って楽しむ

  • めぐるましく動くエンターティメント。まさかの、真行寺さんの同窓会じゃないよね?コロナの今だからめちゃリアルだし、厚労省知ってるよね?みたいに読む手が止まらなかった。理屈抜きで楽しめた作品。真行寺さんを知ってるからこその生きた作品。

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著者プロフィール

一九五九年和歌山県生まれ。大学卒業後、西武セゾングループの文化事業部に勤務。その後東京テアトルにて映画事業に携わる。劇場支配人、番組編成担当、プロデューサー等を務め、退社。二〇一一年、監督デビュー作「見えないほどの遠くの空を」の公開と同時に、同作の小説を発表。一六年『エアー2・0』が大藪春彦賞候補となる。他の著書に「巡査長真行寺弘道」「DASPA吉良大介」シリーズなどがある。

「2022年 『アクション 捜査一課 刈谷杏奈の事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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