警部ヴィスティング 悪意 (小学館文庫 ホ 2-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094070910

作品紹介・あらすじ

英訳北欧ミステリ最高賞受賞作、第3弾! 2021年「このミステリーがすごい!」海外編第7位、2019年英訳北欧ミステリ最高賞「ペトローナ賞」受賞の、国内外で大人気のミステリ「警部ヴィスティング コールドケース・シリーズ」第3弾をお届けする。二人の女性に対する暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男が、第三の殺人を告白した。殺害した二人の女性と同時期に失踪したもう一人も自分が殺したという。21年の禁固刑を言い渡されていたその男トム・ケルは、死体を遺棄した場所を自供する見返りに、世界一人道的だと言われるハルデン刑務所への移送を要求した。ケルが供述した遺棄現場はラルヴィク警察の所轄区域内だった。主任警部ヴィリアム・ヴィスティングらが厳重な警備態勢を敷くなか、国際犯罪捜査局のアドリアン・スティレルや弁護士とともに、ケルが現場に到着した。ケルには手錠と足枷がつけられていたが、二度も転んだため足枷が外された。自由を得たケルが一瞬の隙をついて走り出すと、直後手榴弾が爆発した。多数の警察官が負傷し混乱する中、ケルは姿を消す。爆風に吹き飛ばされる直前にヴィスティングが見たのは、森へと走り去るケルだった。過去に残虐な犯罪を繰り返してきたケルには、アザー・ワン──共犯者がいるとされていた。今回の逃亡にもその人物が関与したと確信した警察は、二人の行方を追い始めた。 【編集担当からのおすすめ情報】 2022年3月、WOWOWで北欧サスペンス「刑事ヴィスティング~殺人鬼の足跡~」の放映が決まった。「刑事ヴァランダー」以降、北欧で最も人気のある警察物の一つである「ヴィスティング」シリーズの本邦初の映像公開とともに、本作を発表する。

感想・レビュー・書評

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  • 捕まった犯罪者が余罪を告白すると言って現場で逃走するっていうのはストーリーとしていくつかあるけど、これも結構な荒唐無稽な感じ。
    そこからの話しで結局は共犯者が弁護士だったってオチはどうなのか?
    北欧の風景や季節の陰鬱さとか美しいビジュアルが映像向きだと思う。
    そういう楽しみ方をすれば有りなストーリかな、と思いながら読んだ。

    作品紹介・あらすじ
    英訳北欧ミステリ最高賞受賞作、第3弾! 2021年「このミステリーがすごい!」海外編第7位、2019年英訳北欧ミステリ最高賞「ペトローナ賞」受賞の、国内外で大人気のミステリ「警部ヴィスティング コールドケース・シリーズ」第3弾をお届けする。二人の女性に対する暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男が、第三の殺人を告白した。殺害した二人の女性と同時期に失踪したもう一人も自分が殺したという。21年の禁固刑を言い渡されていたその男トム・ケルは、死体を遺棄した場所を自供する見返りに、世界一人道的だと言われるハルデン刑務所への移送を要求した。ケルが供述した遺棄現場はラルヴィク警察の所轄区域内だった。主任警部ヴィリアム・ヴィスティングらが厳重な警備態勢を敷くなか、国際犯罪捜査局のアドリアン・スティレルや弁護士とともに、ケルが現場に到着した。ケルには手錠と足枷がつけられていたが、二度も転んだため足枷が外された。自由を得たケルが一瞬の隙をついて走り出すと、直後手榴弾が爆発した。多数の警察官が負傷し混乱する中、ケルは姿を消す。爆風に吹き飛ばされる直前にヴィスティングが見たのは、森へと走り去るケルだった。過去に残虐な犯罪を繰り返してきたケルには、アザー・ワン──共犯者がいるとされていた。今回の逃亡にもその人物が関与したと確信した警察は、二人の行方を追い始めた。 【編集担当からのおすすめ情報】 2022年3月、WOWOWで北欧サスペンス「刑事ヴィスティング~殺人鬼の足跡~」の放映が決まった。「刑事ヴァランダー」以降、北欧で最も人気のある警察物の一つである「ヴィスティング」シリーズの本邦初の映像公開とともに、本作を発表する。

  • ノルウェーの警察小説、ヴィスティング警部シリーズのコールド・ケース・カルテット3作目。

    今回は少し違う雰囲気で物語が始まる。2人の女性への暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男トム・ケルが、第3の犯罪を告白。自供の裏付けのため、刑務所から搬送し、死体を遺棄したという現場を確認させることになった。しかし、当日の警備を任されたヴィスティングやスティレルたちの目をすり抜け、共犯者アザー・ワンの手引きで、ケルはまんまと逃走してしまう。ケルはどこにいるのか、アザー・ワンとは果たして誰なのか。警備体制の不備を指摘され、内部調査の対象となったヴィスティングは苦しい立場に置かれ、自身も己のとった行動を自責する。

    人間の悪意を大きなテーマとして、物語は過去シリーズ中でも動きの大きい作品となっている。娘のリーネがやはり重要な役割を果たすが、本作ではいつも以上に暴走気味。今回、リーネを捜査に巻き込んだのは、なんと未解決捜査班クリポスの曲者スティレル。どうやら2人の距離が少し縮まりつつあるらしい。
    しかし毎度ながら、身内のマスコミ関係者を捜査班に加えるのは不思議で仕方がない。ノルウェーではOKなのだろうか。周囲もまたリーネの越権行為には甘い。リーネを巻き込んだスティレルにヴィスティングが「どうしてリーネなんだ」と詰問するシーンがあるが、今まで散々一般人のリーネに捜査機密を漏洩してきたヴィスティングにそれを言う資格はないのでは…。

    悪意というタイトルについては、そのテーマをもう少し深掘りしてほしかった。コールドケース4作目の訳出を待ちたい。

  • マーレンの論文とヴァルベルグの悪意についての考えが、根底にある。およそ、三種類あるようだ。
    それを二つにわける、ひとつはそれを自覚してる権力の側にひそむ。ひとつを二つにわけたものには、馴らされたものと、直情型なものがある。この小説では、もてあそぶというナルシシズムゆえの愛の対極にある犯罪を追う。ヴィスティングも責任問題で組織にもてあそばれながら解決してゆく。若いスティレルは手堅く責任をのがれる。ハンメルとリーネ、スティレル、ヴィスティングのグループでマーレンを助けだす。

  • 警部ヴェスティングシリーズ第3作目。
    あらすじ
     複数の女性に対する暴行殺人死体遺棄の罪で服役中の男トム・ケル。彼はは3人目の被害者の殺害を認め、埋めた場所に案内すると言う。現場には、ヴィスティング、撮影スタッフとして娘のリーネ、国家犯罪捜査局捜査官のスティレルが同行する。ところがトム・ケルは地雷?手爆弾を用意し逃げおおせた。スティレルはどうやらトム・ケルの共犯者を探すつもりらしく、少しの間トム・ケルを泳がせようとしていた。しかしそれも裏をかかれ、トム・ケルの居場所は分からなくなる。ヴェスティングは一連の指揮をとっていた責任を問われ、因縁の相手、ノールブーが内部調査に入る。捜査チームは手榴弾の入手経路、トム・ケルファンの女性、弁護士などを捜査していくが、トム・ケルは遺体で発見されてしまう。さらに爆発で負傷した女性警官ドッケンが共犯者と思われる人物に連れ去られてしまう。ヴェスティングたちは、別の受刑者の携帯電話が事件に関係していることを知り、それを入手できたのが弁護士タンケだということに行き当たる。タンケはこれまで性犯罪者の弁護を多く手がけてきたが、それは自分の嗜好によるものだったのだ。リーネはそうと知らずに、タンケの取材をしていたが、ヴェスティング達が到着し、監禁されていたドッケンも救出される。

    感想
     これまでの2作とは違って、爆発から起こった。アクションな展開で意外。しかもなかなか犯人は捕まらないし、読み始めはあんまりにも後手後手後手に回るヴェススティングたちがもどかしく、「そりゃ責任問題にもなるよなー」とは思った。しかし、この事件は思ったよりも範囲が広く、女性に対する事件だけではなく、放火事件や、携わった小悪人の殺害事件なども重なり、トム・ケルの異常性だけでなく、共犯者の計画性もよく表れている。着実に丁寧に事件を捜査する様子が書かれているのは、作者がノルウェー警察元上級調査官ということでかなりしっかりしたキャリアを持っているからだろう。警察署内の改編統合・合併などの様子も書かれているが、しつこくなく、それぞれの捜査官も程よくキャラが立っていて面白い。何してもこれでヴェスティング、リーネ、スティレル、女性捜査官ドッケン?と四人が揃ったので次の作品もどうなるのか楽しみ。

  •  本書は、連続少女強姦殺人の凶悪犯の逃走という、まるで大団円のようなシーンで最初の100ページが費やされる。最初から手に汗握る設定である。凶悪犯に付き添い、割りを食う役が、我らが主人公ヴィスティングであり、撮影役を請け負うフリーランスの記者であり娘でもあるリーネが、共に冒頭の一大アクションに巻き込まれるという仕掛けである。

     何者かにより、予め計画されたこの闘争劇には、スタン・トルネード弾までが使用され、複数の警察官の重症者も出る。責任問題と事件の収束と、どちらの責任をも双肩に背負うことになったヴィスティングは、世間の耳目を集めるスキャンダラスな脱獄ショーに続く悪夢のような時間を過ごすことになる。

     事件が起こり、誰が犯人かを見極め、解決に至るという、いわゆるミステリーの定番から大きく外れ、本書はいきなりアクション小説としてのスタートを切り、それらの緊張感を伴うままに、過去事件の真相を掘削するという荒療治を行う、緊張感に満ち満ちた力作なのだ。

     もちろん巻置く能わずのノンストップ・ストーリーなので、最後の最後まで、真相に辿り着くための迷路は続く。緊張を緩めることなく読まされてしまう超娯楽作品の仕上がりと言えよう。

     巻末解説にもある通り、現役捜査官であった作者ならばこそ、およそあり得なさそうなアクションと緊張の連続シーンを、リアリズムとして描き切ることができるメリットは大きいように思う。

     下手をしたら子供騙しに陥りがちなトリッキー過ぎる事件とその行方についても、警察捜査の経験という固い地盤を持つ作者だからこそ、説得力のあるプロットに落とし込めているように思う。

     父と娘と、さらにその幼い孫娘と、だれもが見えない危険に曝されながらのリスキー・ホームドラマの要素を巻追う毎に高めながら、本書でもスリリングなエンディングや、意外な真犯人という結末等々、いつもながらのドラマティックな盛り上げぶりで、安定のエンターテインメントを作り出している。

     映像化してほしいほどにスリリングなアクション作品なので、今後のヴィスティング・シリーズの躍動ぶりにさらに期待したい。本書でも、切れ切れの捜査官スティレルと彼を中心としたハイテクな捜査ぶりには、捜査小説の現代性どころか未来をも感じる。

     また、とりわけスマホやその他オンライン機器、カメラ、動画解析技術等々、ハイテク機器が事件捜査に与える影響や効果は、より加速しているように思われる。今年はWOWOWでも『CSIヴェガス』の新ドラマが始まったが、科学捜査の技術スピードは速い。捜査新技術の作品への導入も1970年生まれの比較的若手作者であるホルストならではの特権と言えるかもしれない。未解決事件四部作最終作にも期待する。

  • 趣きは前2作と異なるけど、余韻はいい感じ。
    (1番最初のハヤカワ・ミステリのはあんまし記憶にないもんで)

  • 二人の女性に対する暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男が、第三の殺人を告白した。殺害した二人の女性と同時期に失踪したもう一人も自分が殺したという。
    21年の禁固刑を言い渡されていたその男トム・ケルは、死体を遺棄した場所を自供する見返りに、世界一人道的だと言われるハルデン刑務所への移送を要求した。

    ケルが供述した遺棄現場はラルヴィク警察の所轄区域内だった。主任警部ヴィリアム・ヴィスティングらが厳重な警備態勢を敷くなか、国際犯罪捜査局のアドリアン・スティレルや弁護士とともに、ケルが現場に到着した。

    ケルには手錠と足枷がつけられていたが、二度も転んだため足枷が外された。自由を得たケルが一瞬の隙をついて走り出すと、直後手榴弾が爆発した。多数の警察官が負傷し混乱する中、ケルは姿を消す。
    爆風に吹き飛ばされる直前にヴィスティングが見たのは、森へと走り去るケルだった。

    過去に残虐な犯罪を繰り返してきたケルには、アザー・ワン──共犯者がいるとされていた。今回の逃亡にもその人物が関与したと確信した警察は、二人の行方を追い始めた。

    今回はテンポのよいアクション編。今後も楽しみだが、まずは未翻訳分を出していただきたい。

  • こちらの話が時系列で先だったのに疑念の方を先に読んでしまい、答え合わせ的な部分もあったけれど、疑念を読んでいたので警察を誘導するような事例にヴィスティングが違和感を持って行動しているのがわかったし、アザーワンが頭がよく社会的地位がありそうと言うので、じゃ誰なの?え、あの人?って二転三転するのも面白かった。このシリーズ、全部読みたいなあ。

  •  ノルウェー警察ヴィスティング警部ものの4冊目。原文では14作目ということだが、邦訳されているのは4冊しかないようだ。いつものように娘でジャーナリストのリーネも事件にかかわるが、今回は最後を除いてあまりリーネ側の見せ場はない。犯罪現場へ護送中の囚人に逃亡されたことから、その追跡捜査がはじまる。ヴィスティングは責任を問われて任務を解かれるものの、独自の調査と洞察力で事件を解決してゆく。元になっている事件は凄惨だが、物語が始まってからは大きな起伏もなく、坦々と進行する。後半は逃亡を介助したアザー・ワンという正体不明の共犯者はいったい何者かという大きな謎が中心主題となって展開し、あっと驚く真相かと思いきやさらに一転というどんでん返しで幕となる。どちらかというと重厚で地味な印象のシリーズにしては異色の展開で、一般受けしそう。

  • 図書館で。
    情報提供をエサに囚人を刑務所から出す…という冒頭の辺りで、まぁこれはコイツが逃げ出さないと話が始まらないんだろうな、とは思いましたが。思った通りだとちょっと残念な気持ちになりますねぇ。

    最終的にリーナが襲われてオワリ、みたいな展開が多くてちょっと辟易してます。前回読んだ鍵穴も今回も、リーナだけじゃなくてまだ幼い子供も怖い思いをしている訳だし。警官は二人組で動くんだから彼女も少し考えた方が良いんじゃないの?と思いながら読み終えました。

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