教場X 刑事指導官・風間公親 (小学館文庫 な 17-6)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072044

作品紹介・あらすじ

鬼教官・風間公親、殺人現場に再臨場! ●第1話 硝薬の裁き益野紳佑の妻才佳は、半年前、車にはねられ亡くなった。事故の唯一の目撃者は娘の麗馨だった。警察は幼い麗馨の証言を採用せず、犯人とされた男は不起訴となっていた。●第2話 妄信の果て大学四年生の戸森研策は、地元新聞社から内定を得た。ゼミ論文の単位が取得できれば卒業も確定する。前途洋々の戸森のもとへ、担当教授から突然の連絡が入る。●第3話 橋上の残影経理事務の仕事をしている篠木瑤子は、十年前に恋人を自死により失っている。その死の原因となった男は刑期を終え、娑婆でのうのうと暮らしていた。●第4話 孤独の胞衣短大生の萱場千寿留は工芸家の浦真幹夫と関係を持ち、妊娠した。浦真は中絶費用を渡し、海外に旅立ったが、千寿留は新しい生命の誕生を待ちわびていた。●第5話 闇中の白霧名越研弥は、闇サイト経由で違法な薬物や商品を仕入れ、莫大な冨を得た。そろそろ足を洗いたいのだが、相棒の小田島澄葉を説得できずにいた。●第6話 仏罰の報い著名な有機化学者である清家総一郎は実験中の事故で両目に劇薬を浴び、一線を退いた。隠棲生活を送る清家の悩みの種は、娘・紗季の夫の素行だった。 【編集担当からのおすすめ情報】 シリーズ100万部突破!二度の大型スペシャルドラマ化で日本中を熱狂させた「教場」シリーズ最新作にして最高傑作!「捜査では、犯人のみならず刑事も追い詰められる。導きと成長の物語をぜひご堪能あれ」--長岡弘樹犯人(ホシ)を落とせないなら、警察学校からやり直せ。

感想・レビュー・書評

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  • 「教場」シリーズの5冊目。
    物語の時系列的に言うと「教場0」と「教場」の間となり、右目が義眼となった後にも続く“風間道場”での6つのお話。

    もはやキムタクの顔を思い浮かべることなく読むことが出来ず、ドラマのほうはやや低調みたいだが、こちらはまずまず面白く読むことが出来た。
    「教場0」の感想に『どのお話も風間が最初から全てお見通しのところがなんだが』と書いたがそこは相変わらず、捜査の進展も証拠が見つかるのもちょっとうまく行き過ぎというところはあるが、撒かれたネタの回収はフェアでそれぞれのお話は良く練られていたとは思う。
    最終話では、みたび平優羽子が登場したり十崎の存在が仄めかされ続けたりで、最後まで緊迫感が保たれたが、結局十崎は登場せずちょっと肩透かし。その代わりに一枚の紙が出てきてうまいこと「教場」へと続く、てか。

  • 教場シリーズおもしろい。
    短編だから読みやすいし。
    風間教官は渋くてカッコいいし。

    みんな殺したくて殺すわけじゃないよなぁとしみじみ。
    今回は殺される方にも理由があったシリーズ。
    ドラマまだ観てないのだけど、この本からもドラマになっているのかな。

  • 時系列的には『教場0』に続く話であり、刑事指導官風間公親が若手刑事を指導する6話からなる。
    風間の目的は、犯人逮捕だけでなく、後進の育成が本当の狙い。それゆえ、答えを教えず解決に繋がるヒントを、それとなく示すのみ。
    犯人の視点で事件が語られ、その現場に風間たちが臨場する。
    いわば倒叙ミステリーの一典型。風間が気づいた隠蔽工作等を、新米刑事とともに読者も探り当てることになる。
    テレビドラマ化が予定されており、「観る前に読む」ことにしたが、やはり風間公親には木村拓哉の顔が浮かんでしまう(笑)。

  • 長岡弘樹『教場X 刑事指導官・風間公親』小学館文庫。

    シリーズ第5作。6話を収録。

    新人刑事の中から経験3ヶ月程度の者を1名選び、風間公親が3ヶ月間みっちり指導する風間道場で新人刑事が捜査した事件の顛末を描く。いずれの短編も犯人は始めから明らかにされているのだが、まるで風間が最初から犯行の全貌を知っていたかのようなストーリー展開が続く。

    そして、全編に漂う千枚通しを凶器にした通り魔の影。かつて、風間の右目を奪った通り魔は未だ犯行を続けているのだ。果たして……

    風間公親を描いたと思われる表紙イラストはドラマで主役を務める木村拓哉に似ているのは、コマーシャリズムの1つということか。

    『第一話 硝薬の裁き』。風間道場の門下生である鐘羅路子は証拠を掴み、被疑者を追い込むことが出来るのか。益野紳佑の妻・才佳は、半年前、車にはねられ亡くなる。事故の唯一の目撃者である娘の麗馨の証言を警察は採用せず、犯人とされた男は不起訴となっていた。何度も男に謝罪を求めていた益野はついに自作の改造銃で男を射殺する。★★★★★

    『第二話 妄信の果て』。こちらも犯人は始めから明らかになっているが、どうやって嫌疑を固めようというのか。なるほどと思ったのは市販の地図に無断転用防止のトラップが仕掛けられているということ。全く知らなかった。地元新聞社から内定を得た大学4年生の戸森研策は担当教授からゼミ論文の単位を認めない旨の連絡を受ける。慌てて、教授の家に駆け付けた戸森は誤って教授を転落死させてしまう。風間公親の指導を受ける下津木崇人は戸森の犯行を証明しようとする。★★★★★

    『第三話 橋上の残影』。余りにも偶然が重なり、偶然により犯人が確定してしまうのには少し興醒め。ある事件をきっかけに恋人を自死で失った過去を持つ篠木瑤子は原因を作った男を通り魔殺人に見せかけて刺殺する。風間道場の中込兼児は殺害された男の身元と犯人を特定しようと捜査する。★★★★

    『第四話 孤独の胞衣』。犯人の犯行を証明したのは何と……なかなかの謎解き。工芸家の浦真幹夫と関係を持ち、妊娠した短大生の萱場千寿留は出産を決意する。浦真に呼び出された千寿留は子供を奪われそうになり、逆上して浦真を殺害してしまう。風間道場の隼田聖子は極めて証拠の少ない殺人事件の捜査を行う。★★★★★

    『第五話 闇中の白霧』。互いに相手を殺害しようとする男女の犯罪者コンビ。自業自得といったところか。名越研弥は相棒の小田島澄葉と共に闇サイト経由で違法な薬物や商品を仕入れ、莫大な冨を得た。そろそろ足を洗おうとした名越だったが澄葉は同意せず、澄葉が邪魔になった名越は澄葉を毒殺する。折下、毒により苦しみながら倒れる澄葉を目撃したのは風間道場の紙谷朋浩だった。★★★★★

    『第六話 仏罰の報い』。最終話。風間公親が教場で指導官になった理由が明らかになる。著名な有機化学者の清家総一郎は実験中の事故で両目に劇薬を浴び、失明したことから一線を退いた。隠遁生活を送る清家は娘に暴力を繰り返す元詐欺師の夫を千枚通しで殺害する。風間は事件現場に既に風間道場を卒業している平優羽子を呼び出す。★★★★★

    本体価格780円
    ★★★★★



  • 風間が警察学校に異動になる前の殺人事件の短編集。

    被害者は殺されるのも天罰、と思える程の悪人ばかりで、思わず犯人に同情してしまう。
    しかしながら、風間にはそういった雑念は皆無で理路整然と後輩警察官を事件解決へと導いていく。

  • 風間さんがいれば、
    未解決事件などなくなるのではと
    思わせるぐらいの万能さ。

    ただし、完全な通り魔的な犯行は、
    難しいのかな?



    本書から、警察学校編に
    繋がっていくんですね。

  • 風間さんがどうしても木村拓哉になってしまいますね。

  • 警察学校教官になる前、刑事指導官・風間公親。
    新人刑事の指導にあたる風間。
    風間は新人刑事にヒントを与えるだけ。
    わからなければ、『交番勤務に戻るか』と。
    新人刑事が事件の謎をとき、犯人を追い詰めていく。

    厳しくも、常に新人刑事に寄り添う風間。

    『硝薬の裁き』娘を苦しめている相手を刑務所におくってやりたい。娘のアレルギーの原因は…

    『盲信の果て』不純物の一致で証明するカンニングの法則盲信は命取り。それくらいのことで…
    だろうなと…

    『橋上の残影』犯罪の現場での予想外のハプニング。そんなことある?被害者が…

    『孤独の胎衣』産まれたばかりの赤ちゃんに火傷痕が。そんなタイミングで…

    『闇中の白霧』ウィルソンの霧箱、裏切りと騙し合い。体内の放射性物質… タイミングがよすぎる…

    『仏罰の報い』父と娘。娘のために視力を…

    風間のもう一方の目を狙う通り魔・十崎は…
    最後まで姿は見せず…

    十崎は捕まるのだろうか…

  • 風間は全能神のように見える。

  • 短編集で読みやすい。

    犯人は完全犯罪をしているかのように感じるのに、鬼教官の風間公親は瞬時にそれを見破る。
    その観察眼がヤバすぎる!面白かった!
    もう次の「教場」待ち!早く読みたい!

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著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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