口福のレシピ (小学館文庫 は 25-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 983
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072242

作品紹介・あらすじ

隠し味のルーツをめぐる「食」の家族小説 留季子の実家は、江戸時代から続く老舗の料理学校「品川料理学園」。いずれは継ぐものという周囲からの圧迫に耐えられず、大学卒業後はSEとして企業に就職した。しかし、食べることも料理をすることももともと大好きな留希子。SNSでレシピを発信しているうちに、料理研究家としての仕事も舞い込むようになる。アプリ開発会社と組み、大型連休に向けた簡単でおいしい献立レシピの企画を立ち上げるが、留季子の思いと、忙しい女性たちの現状はいつの間にか乖離し、アプリ制作は難航した。一方、昭和二年の品川料理教習所の台所では、女中奉公に来て半年のしずえが西洋野菜の白芹(セロリー)と格闘していた。どのように調理すれば美味しく食べてもらえるのか。しずえは、蕗と同じように小さく切って、少量の油で炒め、醤油と味醂、砂糖で炒りつけた。留希子としずえ、二人をつなぐ一皿の料理の隠し味をめぐる「食」の家族小説。巻末に、著者の原田ひ香さんと料理家・飛田和緒さんの対談を特別収録。 【編集担当からのおすすめ情報】 『一橋桐子(76)の犯罪日記』、『三千円の使いかた』が連続ドラマ化。お金、家事、住宅、仕事……。「生活」を描き、ヒット作を連発する著者が、家庭料理の歴史に挑んだ意欲作。待望の文庫化です。

感想・レビュー・書評

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  • 過去と現代、二つの時を行き来しながら進む物語。

    過去(昭和初期)の主人公しずえが、白芹(しろせり)のこしらえ方を文章にしようと苦戦している。
    この冒頭の場面がすごく良くて、ぐぐっと心を持っていかれる。

    現代の主人公は、料理研究家の留季子。
    同居人の風花との食卓は、とっても美味しそう。
    春から初夏にかけての季節が描かれているので、ちょうど今にぴったり。
    早速試したい料理がたくさん登場する。

    読み進めるにつれ、少しずつ交差する二つの時代。
    私、こういうのが大好きなので、たまりません。

    ひとつの料理が、人と人を繋いでいく。
    たとえ一人の食事でも、同じレシピを見て、同じ料理を食べている人がどこかにいると思うと、温かい気持ちになりますね。

    この作品の中心にあるのは「豚肉の生姜焼き」
    一体どれだけの読者が、生姜焼きを食べたくなったことか(笑)

    他に作中の料理で試したいのは、「春菊蕎麦」
    ちょっと大人な感じですよね?
    オリーブオイル・蕎麦つゆ・軽く塩をした生の春菊。
    どんな味でしょう。

    食べ物のことばかり書きましたが、レシピ本ではありません(笑)
    壮大な、家族の歴史を描いた物語です。


    この本は、いるかさんに教えて頂きました。
    ありがとうございます♪
    巻末に料理家の飛田和緒さんと原田ひ香さんの対談が掲載されています。
    これも興味深いですよ。

    • aoi-soraさん
      まっちゃん、お疲れさま^⁠_⁠^
      面白かったよー
      作中に出てきた「春菊蕎麦」食べてみたの。
      合ってるか分からないけど、多分こんなん??
      って...
      まっちゃん、お疲れさま^⁠_⁠^
      面白かったよー
      作中に出てきた「春菊蕎麦」食べてみたの。
      合ってるか分からないけど、多分こんなん??
      って感じに作ってみてさ
      美味しかったの(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)
      まっちゃんも読んだら、色々食べたくなるよ!
      ね?いるかさん(^_-)-☆
      2023/03/16
    • いるかさん
      aoi-soraさん まっちゃん こんばんは。。。

      まっちゃんも絶対いろいろ食べたくなるはず。。。
      これは自分でつくらなければって。...
      aoi-soraさん まっちゃん こんばんは。。。

      まっちゃんも絶対いろいろ食べたくなるはず。。。
      これは自分でつくらなければって。。

      生姜焼きも絶対やってみなきゃ。
      まっちゃん レビュー楽しみにしていますが、マイペースでお願いしますね~。
      2023/03/16
    • 松子さん
      うわぁ、楽しみっ(≧∀≦)
      はやく届いてほしぃ〜♡
      うわぁ、楽しみっ(≧∀≦)
      はやく届いてほしぃ〜♡
      2023/03/16
  • 「昭和と令和 隠し味がつなぐ感動の家族小説」
    文庫本の帯に書いてありました。

    その家の味というか味付けや作り方というのは、自然と親から子へ、また、その次へと繋がっていくのだろうと思います。
    私も母から受け継いだものはあるのだろうと思います。
    この作品は、そんな家族で受け継がれていった料理の話でした。
    時代背景もあって、少し入り組んだ家庭の事情などが描かれていますが、とにかく作品に出てくる料理がとても美味しそうで真似したくなるものがたくさんありました。
    料理をしているところを読み直して、ノートに書き出そうかなと思っています。

  • 料理をしたくなる本
    生姜焼きはまず作った
    春菊は、やってみたくなってメモとった

    食事を摂ること
    食事をつくること
    レシピの存在
    時代と、その人個人によって
    意味は異なってくるけど
    みんなあっていい。

    親子のつながりが
    最後がもうちょっと、
    どうにかすっきりしんものかなと思うけど、
    そんなにうまくいかないよな
    っていうのがまたいい

  • 留希子が作る料理が、季節感がありどれもおいしそうで、気軽に作れそうな感じだった。
    骨酒、竹の子、春菊、冷や汁、生姜焼き、梅仕事、スープなど。

    生姜焼きをめぐっての過去の出来事も、順に語られ、その時代の考え方に巻き込まれた女性の在り方が、なんとも言えなかった。しずえさんのような考え方の人がいて、どれだけの人が助けられたのだろうかと思う。昔の女性の我慢の上に成り立った事柄が、どれほどあったんだろうかということも考えさせられた。

  • 読んでると料理したくなるし食べたくなる。原田さんのお食事系の小説は読むとお腹が空いてきます。自分と料理のルーツとは…。面白く読みやすかったです。

  • 美味しそうなお料理がいっぱい出てきます。
    そこは楽しかったです。

    戦前の女性は本当に大変だったんだなぁと、切なくなりました。

  • 学園の基となるレシピを作った時代と現代とが交互に登場して物語は進んでいく。昔も今も美味しそうなレシピが沢山出てきて楽しい。激動の時代を生きた人々、今を生きる人たち、どちらにしても世間に流されることなく、きちんと自分と向き合って自分が納得してそれぞれ進んでいける強さが羨ましくもあり勇気が貰えた。留希子と坂崎さんの関係はいいなあ!

  • 時代とともに変わりゆく食事とその作り方。昔は
    奉公に出て、お料理などの基礎を教わり、家人の好みに合ったお料理を提供しつつ、掃除や針仕事に励む日々。今は女性も社会進出して組織の中で揉まれつつ仕事に励み、料理はレシピサイトを見ながら手軽に美味しい物を作る日々。どちらも苦労や悩みもあるけど、それぞれ仕事に誇りも持っている。そんな背景を料理や家業の品川料理学園のエピソードに載せながら展開していく話は、最後に心震わせるものがあった。

  • 老舗の料理学校を実家に持つ留季子の現代と、名家の女中として働くしずえの過去。二つとの物語が交差して少しずつ重なっていく。ラストに向けて胸がきゅっと締め付けられました。甘さと辛さの味加減が抜群で、同著者作「彼女の家計簿」を彷彿とさせる雰囲気を感じました。美味しそうなレシピもたくさん。読んでいるとおなかが空いてきます。

  • 原田ひ香さんらしさあふれる一冊。

    あるレシピをめぐり、そのレシビの過去を遡ることにより、自分たちの家系が紐解かれ、そのことで、祖母、娘、孫の関係が少しずつ変化していく。

    戦前と現在が交互に出てくるのでどのように繋がるのだろうと気になりながら読んだ。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2005年『リトルプリンセス2号』で、第34回「NHK創作ラジオドラマ大賞」を受賞。07年『はじまらないティータイム』で、第31回「すばる文学賞」受賞。他の著書に、『母親ウエスタン』『復讐屋成海慶介の事件簿』『ラジオ・ガガガ』『幸福レシピ』『一橋桐子(76)の犯罪日記』『ランチ酒』「三人屋」シリーズ等がある。

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