懲役病棟 (小学館文庫 か 46-3)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072600

感想・レビュー・書評

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  • あの人とは違うって決めつけがちだけど、そこの線引きは紙一重だしいつ自分が向こう側になるかも分からない。
    どこまで裏側を想像しながら生きてけば良いんだろうかと考えさせられる。

  • 病棟シリーズの第三弾。神田川病院の医師である太田香織は部長から半年間、女子刑務所に行ってほしいと言われた。医師会の持ち回りだから断れないと病院長直々に言われたらしい。他の医師のあてもなく、特別手当と借り上げマンションの特典もあるというので、半年だけ我慢したらいいと思っていくことにした。行くことにしたら後輩のルミ子から、役に立つからこれを使ってくださいと古びた聴診器を渡された。自分の最新式があるのになあと思ったが、部長が、騙されたと思って使ってみたらいいじゃないかという。う~ん、なんか裏があるのかな?そしてその聴診器は…。

  • 病棟シリーズの第3弾。今度は女性刑務所でのお話。
    相手の心が読み取れる聴診器は、前回に引き続き同じだけど、主人公になる女医さんが異なる。
    なぜ、刑務所に入る事になってしまったのかのお話を交えて、なんとなく解決させていく。
    刑務所に収監されている人はたくさん居るだろうに、たまたま診察してもらった人だけが助けてもらえる。
    見てもらえなかった人たちが可哀想だね。
    だから、このシリーズはまだまだ続きそうな気がする。

  • 病棟シリーズ第三弾
    主人公で医師の太田香織が、女子刑務所に行って、例の当てた人の心の内が分かる聴診器を使って、何人か出てくる囚人たちにおせっかいを焼いていく話。
    女子刑務所の中の様子や、囚人たちがそこに入るまでの様々な経緯、晴れて釈放となった後の話、特に一度刑務所に入ると身元引受人がいないとか、経済的な理由とかで、なかなか更生への道が難しい話とか興味深く読みました。
    そして本書の何よりも熱いのが、冤罪被害に遭われた村木厚子さんが解説を書いていることです。物語の描写のリアルさについて語ってくれていて、本書の厚みを増す役割を担ってくれていると思います。

  • 現在の女子刑務所のリアルが書かれている。彼女たちは犯罪者であり被害者でもある。罪を犯してしまったのは境遇、環境の影響が大きい。再犯を繰り返すのは女子や弱者。社会のリアルも浮き彫りになる。本書を通して、時代が変わろうとしていることが感じられて明るい気持ちで読了。

  • 軽くてよみやすい
    人生ままならないけど生きるならやっぱ幸せになりたいってみんな思ってる

    どうしようもない時に手を差し伸べてくれるのがどんなにありがたいか 
    タイミングとか運とかもあるほんとに貴重
    母子像があることに対する記述はすごいよかった
    その通りだと思った

  • 病棟シリーズ第三弾!
    無関係な世界と思いきや とても身近な問題であることに衝撃を受けました

    刑務所の生活
    犯罪の理由
    出所後など リアリティさを感じます

    不思議な聴診器の登場や
    女医と看護師のやりとりなどはコミカルでクスッと笑ってしまう場面も

    全体的に明るく楽しめる作品です☺️
    あるひとつのことを除いては…

  • 女子刑務所にお馴染み神田川病院の医師が派遣されるお話。

    派遣されたのは、暴走族経験のある香織先生と肝っ玉母さん看護師まりえさん。もう、ピッタリ。

    2人は人情味溢れた診察で、家族問題にも首を突っ込み、受刑者のこれからの人生を方向づけていく。

    たまたま恵まれた部屋仲間で、例の聴診器があったから、そして小説の世界だからだけれど、ハッピーエンドで、爽快。

    でも現実は厳しい。
    舅や教育長みたいな、自分が諸悪の根源という自覚のない凝り固まった人物が、改心しないまま被害者意識でいることが、悔しい。

  • 前作に引き続き、暖かくて人情ある素敵なストーリーでした。

    病気だけでなく、精神的な部分までも診てくれるお医者さんがいてくれたら助かる人沢山いると思います。
    病気は精神的な面が大部分ですから。
    香織先生のようなおせっかいまで焼くような先生も昭和の昔はいたような気がします。

    これは続編あるのかな?と思うような終わり方でしたね。
    秋月さんはその後どうなったのでしょう?

  • 解説の村木厚子氏が言った通り、「罪を犯す人のリアル」「刑務所の中のリアル」「世間のリアル」を体現しつつ、聴診器を通して心や声が聞こえる、という荒唐無稽な設定が面白い。
    いちいち、誰の視点と題うって話しが進む書き方はあまり好きにはなれなかったが次第に入り込んでしまった。特に夫のDVに苦しめられ殺害してしまった美帆の章はで活躍する清水谷先生のお父さんはアッパレ、すっきりしました。

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著者プロフィール

1959(昭和34)年、兵庫県生れ。明治大学文学部卒。2005(平成17)年、「竜巻ガール」で小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。結婚難、高齢化と介護、住宅の老朽化などの社会問題や、現実に在り得たかもしれない世界を題材にした小説で知られる。著書に『リセット』『結婚相手は抽選で』『七十歳死亡法案、可決』『ニュータウンは黄昏れて』『夫のカノジョ』『あなたの人生、片づけます』『老後の資金がありません』『後悔病棟』『嫁をやめる日』『女たちの避難所』『四十歳、未婚出産』などがある。

「2023年 『うちの父が運転をやめません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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