9月9日9時9分 (小学館文庫 い 55-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 107
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094072891

作品紹介・あらすじ

家族と愛をめぐる難題に挑む鮮烈な傑作長編 タイ・バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、通学中の痴漢や思いやりに欠ける日本の日常に馴染めず、心細さを感じていた。家に帰れば、理解あるやさしい両親と大好きな姉が漣を心配してくれている。だが、姉は離婚をしてから、人が変わってしまった。そんななか、高校の渡り廊下で出会った先輩に、漣の心は一瞬で囚われてしまう。やっと見つけた自分の居場所に、高まる気持ちを抑えることができない漣だったが、あるとき漣は、彼との恋が漣の家族を傷つけるものであることに気がついてしまう。大切な家族のために、別れるべきなのかもしれない。でも、自分の幸せを優先することは、そんなにいけないことなのだろうか。漣は家族と自分の幸せのため、新たな未来を探す覚悟を決める。初恋と青春を捧げ、漣が導き出した答えとは……。バンコクに住んでいた著者が描くタイの描写は圧巻! 気鋭の作家が、高校生のみずみずしい視点で家族と愛をめぐる難題に挑む傑作長編、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の少女は、父親の転勤に伴いバンコクで中学まで生活して帰国。忙しない日本になかなか馴染めない。
    バンコクでの観光でない生活感がうまいなと思っていましたら一木さんバンコクにお住まいとか。

    少女の姉が元夫のDV(精神的肉体的経済的!)で精神的に追い詰められて離婚。
    それを知らなかった少女は元夫の弟に恋してしまう。DVについて知った後でも なかなか彼のことを諦めきれない。少女の家族は当然大反対。
    DVに堕ちていく状況、共依存となっていく恐怖、別れるための裁判と その後の精神的打撃を濃厚に読める。
    そして、他のDV系の小説と違うところは DVを病気として認識して 更生プログラムや施設の存在に言及して 加害者の将来にも意識しているところ。
    少女は 自分の恋の為でなく 姉の幸せ 元夫の未来までより良い方向へと動き出す。

    一木さんは、初版印税を更生施設に寄付するとしている。それは、一木さん自身も厚生の必要性 加害者である人達への救済も考えているということなのかな
    果たして 被害を受けた人と家族はどこまで受け入れるか。病気と性格の区別はあるのか。
    難解な問題提示です。


  • 「推してけ! 推してけ!」第4回 ◆『9月9日9時9分』(一木けい・著) | 小説丸(2021/03/13)
    https://shosetsu-maru.com/review/oshiteke/04

    一木けい『9月9日9時9分』 | 小説丸(2021/03/12)
    https://shosetsu-maru.com/yomimono/essay/9999

    〝愛〟とは何かを問い続ける「一木けい」の新たな代表作!!『9月9日9時9分』|株式会社小学館のプレスリリース(2021年3月23日)
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001074.000013640.html

    9月9日9時9分 | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09407289
    (単行本)
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09386609

  • 主人公の姉が夫からDVを受け離婚し、その時の傷を抱えて生きている
    主人公が好きになった相手が姉の元夫の弟で本人たち以外祝福できない状況…
    DVやら痴漢やらタイトルからは想像つかない重い話だった

  • 禁じられた恋みたいなシリアスリアルな感じだと思ってたら、わりとメンタル面の話が多くてしんどかった。
    、キツイもんはきつい。1度壊れた心は治らない。、でも生きていくしかない。
    人生って大変だよね。、ほんとに。
    読んでて重たくなった。でも最後は少し救われたのかな。
    何もかも捨てて愛に生きるなんて出来ない。

  • 漣が好きになった人は、姉の別れた旦那の弟だった。
    彼と付き合うことは、自分の家族を不幸にすると悩む漣。
    漣の彼氏の朋温がいいやつで、私も好きになってしまいそうだった。
    登場人物の中で米陀さんがいいやつだと思った。米陀さんは、自分がたくさん傷ついてきたからこそ、他人を思いやれる人。漣は私も同じなのだが、幸せな家族があるからこそ、他人の痛みに気づくのが遅れてしまうタイプ。自分がどんな境遇であっても、周りの人のことを想い、幸せを願う気持ちは大事にしたいと思った。
    解説を高知東生が書いているが、これもなかなかよかった。おすすめの本

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著者プロフィール

1979年福岡県生まれ。東京都立大学卒。2016年「西国疾走少女」で第15回「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞。2018年、受賞作を収録した『1ミリの後悔もない、はずがない』(新潮文庫)でデビュー。他の著書に『愛を知らない』『全部ゆるせたらいいのに』『9月9日9時9分』がある。

「2022年 『悪と無垢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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