- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094205015
感想・レビュー・書評
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斉藤由貴が二十代前半の時に出版した、小説&エッセイ。今から30年前になるが、本書の単行本を買ったのは私が高3のとき。瑞々しい表現が印象的で、言葉の一つ一つが宝物のように感じられた。「幸せのビブリオン」(ビブリオン=小冊子)というタイトルも大好きで、受験勉強も佳境の、心が最も張りつめていた時…息抜きに手に取ったからこそ余計に、当時の私には胸に響いた。
最近自分の中で斉藤由貴リバイバルで、昔心を震わせたあのエッセイを、どうしても読みたくなった。既に絶版である作品、今回は文庫で手に入れられて大喜びである。
とはいえ、アラフィフの私が二十代の由貴ちゃんの文章を読んで、当時のように感動できるか若干不安ではあったが…若さゆえの青臭さや背伸び感も含め、何だか愛おしく感じられた。その背伸び感を差し引いても、言葉選びの美しさや独特の世界観には今も十分魅了される。特に、トイレットペーパー、重箱、包丁など、身近な物を擬人化したショートショートの章「日陰者のワルツ」は素晴らしかった。軽やかで、さらりと残酷で…ユーモアとペーソスのバランスが絶妙。表現者として稀有な才能を感じさせる作品だ。
今回文庫をゲットできて嬉しかったのは、文庫用に書き下ろし作品と文庫版あとがきが収録されていたこと。単行本発売から数年を経て色々経験を重ねたことが窺える、翳りを帯びた作風もまたよかった。そして、素敵な刺繍の表紙は内藤(現・ひびの)こづえさん!
かつて大好きだった本にまた出会えて、新たに感動できて、胸がいっぱいである。斉藤さん、また本を出してくれないだろうか。彼女の感性がとても好きだなと今回改めて思えた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
わたしの斉藤由貴好きを決定的にしたエッセイ収録。
その昔、少女小説誌『季刊コバルト』で連載されていたエッセイ。ここでは『水のロンド』という章にまとめられています。
少女時代の、繊細で傷つきやすい心を捉えて離さなかったエッセイです。
当時、わたしは確か、中学1年生。もう20年以上も前のことです。
もうとっくに当時の彼女の年齢も越しました。
この本自体は、幸せな感じに仕上がっています。
表紙の刺繍も好き。