悪魔のりんご

著者 :
  • 小学館
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感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784097260011

感想・レビュー・書評

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  • 宇野亜喜良さん繋がりで、こちらも載せておこう。
    以前こちらに載せたことのある【日本の神話】の著者さんでもある「舟崎克彦さん」の文章に、宇野亜喜良さんが挿絵をつけたもの。
    舞台は木枯らしの吹きすさぶ荒野。表紙の背景に描かれているのはラクダである。
    年老いた悪魔と、母親とはぐれたジプシーの少女が登場するという、国籍不明のお話。
    絵の持つ雰囲気もあって、全体にふわふわと不思議さがつきまとうが、お話そのものはとても温かい。

    老いて魔力も薄れた腹ペコの悪魔が、母親とはぐれたと言うジプシーの少女と出会う。
    面白いのは、この悪魔の内面の葛藤。
    少女を食べてしまいたい欲望と思いやりとの間で心がせめぎ会うのだ。
    まぁ、悪魔も神様の使いなのだから、困ったときは神様に相談もするのだろう。
    それだけ、この少女の優しさにほだされてしまったというわけ。
    激しい葛藤のあまり、選択を少女に委ねるべく、悪魔は毒りんごに姿を変える。
    ところが少女は空腹を耐えしのんで、悪魔が帰るのを待っている・・

    おや?宇野さんの悪戯かなと思う箇所がいくつもある。
    荷物をひとつも持っていないのに、タンバリンだけ持っている少女。
    そもそも、ジプシーの子が彷徨う砂漠ってどこ?
    そんな場所で、たわわにりんごが実るものか。ところが、実るんである。
    悪魔が流した涙が泉になり、その泉のほとりに育ったりんごの木には、たくさんの実が実るというのだ。母親と無事に再会した少女は、その泉のほとりで暮らし、幸せな家族を持つ。
    悪魔は、りんごの木になれて後悔などしていないことだろう。
    そして少女は、大人になっても悪魔を待っているという。
    本当に、読めば読むほど不思議なお話。
    前述した【きつねのぼんおどり】とはまた違った、宇野さんの幻想的で魅力あふれる絵に、ちょっぴり酔いそうになる。
    ラストの1ページの文章と挿絵が微妙にミスマッチな気がするが、他の方の意見も聞いてみたいな。

    約10分。高学年くらいからの方が理解しやすいかも。
    寺山修二さんがお元気だったら、このお話を喜ばれたのかもしれないな、なんて。
    第13回(2007年 ) 日本絵本賞受賞の一冊。

  • 素敵な絵本。切なくてあたたかい世界でした。
    お話と挿絵がぴったり。
    悪魔が鼻を杖で支えてるのはダリかと思いました。
    りんごの木、よく見なくても悪魔の顔が付いてて、少女を見守る事になったんだなと思うと心にじんわり何かが広がります。少女はおじさんを待ち続け、おじさんはどこにも行かなかったんだなぁ。。

  • いい悪魔サンでしたね。不思議な少女のせいなのかな?悪魔のりんご〜なるほどね!

  • 舟崎克彦作、宇野亜喜良絵。
    繊細ながらユーモラスな絵と、静かでロマンチックな物語が合わさった上品な絵本。

  • 画は宇野亜喜良さん。

  • 皮肉めいた愛がにじんでいて、読めば読むほど好きになった本です。
    悪魔の思う通りにはならず、悪魔の思惑などなにも知らないまま幸せを手に入れた少女。
    悪魔はこの子を食べたがっているようだけど、心の奥底では、最初から少女を愛していたのかもと思います。
    自分に言い訳して、最後はりんごになってしまった悪魔。
    純粋な誰かを思う心は、悪魔の魔法より、この世の何よりも強いと感じたお話でした。

  • 悪魔は、最後、幸せになれた。
    怖いようで、あたたかい話。

    りんごも悪魔も、設定がとても良い。

  • じわじわと、ジーンとくる。すごくいい話だった。高学年の読み聞かせにいいと思う。

  • すごくいい話だ〜〜(感涙)。ネタバレになるので深くは書きませんが、どんな悪もピュアな愛情には勝てませんね。素敵なお話にぴったりの巨匠宇野亜喜良さんの絵が独特な味わいも出しており実に素晴らしい!心が洗われます。

  • 2015.11.18

    絵がとても魅力的

    闇系の話かと思ったら、あらあらまあまあまあ な話でした。

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著者プロフィール

舟崎克彦  東京都生まれ。学習院大学卒業。白百合女子大学教授。「ぽっぺん先生」物語シリーズ(岩波書店)で路傍の石文学賞、『雨の動物園』(岩波書店)で国際アンデルセン賞を受賞。作品に「日本の神話」シリーズ(あかね書房)他多数。

「2013年 『クレヨンマジック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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