「日本の四季」がなくなる日 (小学館新書 253)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252534

作品紹介・あらすじ

異常気象の“なぜ?”を徹底的に解明!

超大型台風、集中豪雨、ドカ雪、異常に短い春と秋など、いま日本列島には“異常”があふれています。こういった、日本人の季節感覚を狂わせてしまうような異常事態はなぜ起こるのか……東京大学先端科学技術センターの中村尚教授が、その仕組みを、図をふんだんに使いながら解説。ある場所で起きた小さな変化が、ずっと離れたところに大きな影響を及ぼす、気象の世界独特のメカニズムについて徹底解明していただきます。
もちろん、日本の気候はこれからどうなっていくのかについても、季節ごとに詳しく予測。
また、「温暖化と異常気象の関係」、「数値で気象を予想する」、「温暖化が止まっている理由」など興味深い話題も満載しています。
テレビなどの気象解説だけではわからない、ディープでおもしろい世界にご案内!

【編集担当からのおすすめ情報】
「風が吹いたら桶屋が儲かる」といいます。「風が吹いたら土埃が立つので、目が悪くなる人が増える」という連想からさらに連想を重ねていって、最終的に「桶の需要が増える」という結論につなげる言葉遊びのようなものですが、気象も同じようなところがあります。大河の一滴が小さな波紋をつくり、やがて大きな気象変動に至るわけです。
そこで、気象研究の第一人者に、「風から桶に至る道筋」を、丁寧に解説していただきました。
テレビの天気予報に飽き足りない方、「最近の天気はどうなっているんだ」とお怒りの方、この本でぜひクールダウンを。

感想・レビュー・書評

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  • 2015年の本なので時代の変化に呼応している。でも結構専門的で、文系の私にはちょっと難しいところも多かった。気象や宇宙の本は好きなんだけど、難しい。

  • 文字通り、昨今の異常気象について取り上げた一冊。

    地球温暖化によって様々な現象が起こることが予想されており、その一端を知ることがきた。

  • 気象学者が異常気象が起こる背景と地球温暖化の関係、地球規模の気候のしくみと天気予報・将来予測に関する科学者の取り組みを紹介した新書。

    もともと気候には「ゆらぎ」がある。「気候変化(Climate Change)」は、平年値とその周りの「ゆらぎ」の範囲や揺らぎ方が、ゆっくりと一方的に変化していくこと。

  • 気象庁の平年値 1981年から2010年までの平均が2020年まで使われる。

    2003年のヨーロッパの大熱波と日本の大冷夏
    2010年 ロシアの猛暑、パキスタンの大洪水、日本の猛暑

    2013年 四万十市江川崎41℃ 東京で最低が30℃

    何万年も先に氷河期は訪れるが、子ども、孫世代のことをとりあえず考えるべき

    紀元前4世紀 アリストテレス エーゲ海上空の流れ星meteor meteorologyの語源

    19世紀後半 ドイツ人気候学者 ケッペンの気候区分(熱帯、乾燥帯、温帯、亜冷帯、寒帯)

    日本 上空に偏西風(西から東へ)

    対流圏(上空ほど偏西風が強い=ジェット気流)、成層圏、中間圏、熱圏

    ジェット気流は気温差の大きな空気の境目を吹く→亜寒帯ジェット気流と亜熱帯ジェット気流

    温室効果ガス 水蒸気と二酸化炭素
    温暖化 北極海のバレンツ海、カラ海の海氷が減少→多くの熱エネルギーが大気に放出→亜寒帯ジェット気流へ影響、蛇行→日本の寒冬

    台風の発達するエネルギー源 水蒸気 27℃以上の温かい海上で発達する→日本近海の海水温が上昇していると上陸直前まで発達

    1735年 英国ハドレーが考えた大気の流れ
    大気の循環 ハドレー循環→低緯度から中緯度 フェレル循環→中緯度 極循環→極循環

    ハドレー循環 赤道付近→飽和水蒸気量が多く積乱雲→下降した空気が地表付近で貿易風になる。

    極地 極循環 冷たい空気が下降→中緯度に向かう。

    地球の自転の効果 コリオリの力

    ラニーニャ現象 貿易風が強く吹く→西部に多くの温水が押しやられる(ニューギニアあたりでは海水温30℃)→東部では冷たい海水が表面に湧き出る。

    偏西風の蛇行の原因 ロスビー波

    モンスーン(季節風) 陸地は暖まりやすい→ユーラシア大陸南部、気温上昇、低気圧→インド洋では大陸上で上昇した大気が下降するため高気圧→洋上から大陸へ向けて温かく湿った空気が流れ込む。
    日本の冬=シベリアから乾燥した季節風→対馬海流上で水蒸気→日本海側の大雪

    2012年5月つくば市 スーパーセル 竜巻
    地表が温かいところへ上空から冷たい空気→大気が不安定化、積乱雲→スーパーセル

    温暖化→海面水温上昇→空気の湿度上昇→小笠原高気圧の縁を通って高温多湿な空気が日本付近へ→大気が不安定 梅雨はしとしとと降るものという常識が過去のものになってしまうかもしれない。

    ヤマセ 凶作風(春から夏、冷たく湿った東よりの風) オホーツク海高気圧の影響→冷夏

    台風 熱帯低気圧が発生・発達には海水温27℃以上
    温暖化が進むと発生域→東で多く発生

    太平洋高気圧=中心はカリフォルニア沖の北東太平洋 小笠原高気圧=西に張り出す太平洋高気圧の西端部分に出現する高気圧・地表から上空1万mにも達する背の高い高気圧
    分かりやすくしたい気象庁の意図だが、別物

    日本の冬 シベリア高気圧 北太平洋上のアリューシャン低気圧 西高東低
    シベリアの温暖化→日本海の海水温上昇→降雪量の増加
    シベリア高気圧の弱化→春一番が早まる。
    温暖化 雪の減少→雪解け水減少→農業への影響

    1920年イギリス リチャードソンの空想天気予報工場 6時間先の天気を64,000人が一斉に計算すれば3時間で計算できる。

    アンサンブル(重奏、合唱)予報→数値予報には不確実性があることを前提に、それを逆手に取る手法・複数の初期値を設定
    気象庁サイト 異常気象早期警戒情報(月木に更新・5日後から14日後までの期間を対象に7日間平均気温の極端になる確率を発表)

    保険業界こそは気象・気候学会の最大の顧客だと述べる気候学者もいるほど
    人類が直面している地球温暖化を考えるときに、最も重要なのは問題の時間のスケールをどのくらいに設定するかである。

    フロン(無味無臭・安定で便利な化学物質)→成層圏で紫外線→塩素原子→短時間でオゾンを壊さない物質へ変化・影響小
    南極上空の成層圏の冬場、極夜(マイナス80℃)→化学変化→春に太陽が当たる時期にオゾン破壊

    北極でオゾンホールが発生しなかった原因 2011年春に初めて観測

    地球の気候系は極めて高度な複雑系であり、自然科学の対象としても超一級の魅力
    ☆異常気象だからこそ科学者が頑張るきっかけになればすばらしい

  • 門外漢で新書を読むことがこんなに大変だったのかと気づかせてくれた一冊。
    現象の説明部分等、理解できたか不明です。
    「温暖化」というとあったかくなるというイメージになるけど、そうではないということは理解した。

  • 気象の基礎から気象予報の方法論まで説明したうえで、温暖化によって予想される日本の気象変化について、わかりやすくまとめている。
    単に気温が何度か上昇する、ということではなく、海の温度の上昇に伴う水蒸気の増加により雨量が増えること、全地球の微妙なバランスの上に成り立つ四季の変化にも少なからず影響が及ぶこと等よくわかった。
    梅雨が長引き雨量も激しくなる、台風が凶暴化して進路がより東になる、冬が短く暖冬傾向になり桜が3月に咲くようになる等が予想されているようだ。

    亜寒帯の偏西風と亜熱帯の偏西風の蛇行の変化により導かれる四季の変化がすごくデリケートなもので、温暖化はこのバランスをくずすであろうこと、単純に暑くなるということだけでなく、ブロッキング高気圧のヘリを回って寒気が入ったりすると、これまでより寒い事態やドカ雪も想定されていることは、最近の天気どうなってるの?という疑問によく答えてくれた。
    また、スーパーコンピューターの力技で測定誤差や気象モデルの不完全さを補ってしまおうとする気象予測の世界の凄さを垣間見ることができた。

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