学ぶ意欲とスキルを育てる いま求められる学力向上策

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098373710

作品紹介・あらすじ

中教審、教課審の各種委員を歴任する筆者が、教えて考えさせる授業、家庭学習を含めた学習スキルの育成策など、小中高校生のための学力向上策をわかりやすく提案します。

感想・レビュー・書評

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  • 予習はした方がいいけど,予習しない子どもが多いから,授業をそこに合わせる。すると,予習していた子も,予習しなくても先生が予習なしの子に合わせて授業をしてくれるから,予習をしなくなる。なぜわかりにくいか,わからないかの原因を外に帰属するのではなく,いかに自分に帰属するか,特に基礎と応用を自分で確認していく学習スキルに帰属することが大事。

    勉強が苦手という人は往々にして当たり前のことをやっていないだけなんですが。

    「七五三」…高校生で7割,中学生で5割,小学生で3割の子が授業がわからないという目安。じゃあ大学生は?
    これを減らすのは先生の仕事か? それは授業を変えることか? それだけではダメ。予習する,疑問に思うことなど,起点が自分となる学習スキルの習得が必要。

    “予習ですべてわからないからこそ授業があるのです。”(p.141)って,やっぱり読めば読むほど,当たり前なんだよな。個性に合わせた教育が最も可能なのは家庭なのに,教育を教師を含め外部委託しているような親が増えていることが問題。

    あと,国の愚策。
    実行された策が原因なのだから,もし結果が悪ければ,その策を反省しなければダメ。改悪が続くのはもっとダメ。PDCAの能力がないヤツが政策の権限を握っていることという根本原因にたどり着かないからダメ。
    翻って,思慮深い投票行動をしない国民もダメ。


    ***
    知識は学んだ結果としての産物というだけではなく,実は「学ぶ力」「考える力」としても機能しているのです。(pp.27-28)

  • ずいぶん前の本だけど、今もそんなに古びている感じはしない。なんだろうなあ、「ゆとり」は、本来目指していたところから全然違うところに振れちゃったので失敗した印象。考え方自体は穏当なものだったんじゃないかなあ。

    最後の和田氏との対談で、和田氏が「数学は記憶だ」はちょっと言い過ぎた(誤解を招く)みたいなことを言っていて、ほお~~、と思った。

  • 市川先の、わかりやすい授業、子どもが自分から意欲的に学べる授業の作り方を解説した本。
    実践的でわかりやすかった。

  • 第一章 「学力と学習をどうとらえるか」
    学力を単なる知識・技能のみとせず、学習意欲を高く保つ力や、学んだことを更に追求・活用していく力などとしても捉える(評価のしずらい部分ではあるが)。学習することの本質は、①なりたい自己 ②なれる自己 を広げていくためと著者は答えている。

    第二章「学びの文脈づくり〜学ぶことの意味が見える課題と活動」

  • 2004年刊行。

     市川教授らしい「教えこんで考えさせる授業」を解説。
     また、家庭学習について、その習慣づけ、復習はもとより、賛否両論のある「予習」の重要性と生わかり状態で授業に臨むことの意義をうまく説明している。
     個人的にではあるが、予習不要論者は学生の力量を些か過大評価しているきらいがある。人間は一度聞いただけでは理解できないことが多いし、理解できるとしてもその範囲は限定的なのだ。

     ただし、市川教授の書籍を読んだことがあれば、本書もまた既読感が生まれるのは止むを得ないところか。

  • 児童・生徒に学ぶ意欲を持たせるにはどうしたら良いかについて認知心理学の分野から分かりやすく記述してある一冊です。特に,予習の有効性や授業方法の検討等についても触れられており,教員を目指す学生にお薦めします。さらに,「分かる」授業とは何かを悩んでいる人にとっては1つの知見になると考えます。

    *推薦者(教教)Y.K
    *所蔵情報
    https://opac.lib.utsunomiya-u.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB00365481&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • <閲覧スタッフより>
    「教えずに考えさせる」から「教えて考えさせる」へ。子どもたちの学習スキルが変わりつつあるのなら、教育方法だって見直してゆかなくてはおかしい。現代の子どものための現代の育成策を提案しています。
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    所在番号:375.1||イシ
    資料番号:10160949
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  • 学力とは何か
    学びの文脈
    教えて考えさせる授業
    家庭学習と学習スキル

  • 図書館で借りた。
    教育方法論で使用した参考文献

  •  認知心理学者で教育学者でもある市川伸一氏の本です。
     本書の発行は,2004年ですから,今のようにネコのしゃくしも「学力向上」と叫ぶちょっと前のことです。
     さすが学者だけあり,「これまでの授業や学習方法では,子どもたちがついいてこないのは当たり前だ…」という前提で話が進んでいくので,読んでいて気持ちいいです。だって現場では,勉強しないのはほとんど子どものせいになってしまうんですから…。子どものせいにしているうちは,教師の進歩はありませんからね。
     「基礎から積み上げる学び」と「基礎に降りていく学び」,「なりたい自己」と「なれる自己」など,教師として今までの実践を振り返るキーワードがあります。「教えて考えさせる」という授業のバックボーンが分かります。
     ただ時間を使うだけの問題解決学習にはおさらばしましょう。
     子どもたちが自分のノーミソを使って思わず考えたくなる場面でこそ,じっくり考え討論させればいいのですから。

  • 工事中

  • 当たり前のことなんですけどね。

    実践は難しいし、本にするのも難しい。

  • 「機能的学習環境」
    「教えて考えさえる授業」

    納得!の内容。
    どういう授業にしたいか、どういう学びの環境を作りたいかという自分の考えがぐっと深まりました。

    先生のたまごさん、是非読みましょう!

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著者プロフィール

1953年東京生まれ。東京大学文学部卒業。文学博士。現在,東京大学名誉教授,帝京大学中学校・高等学校校長。中央教育審議会教育課程部会委員として学習指導要領の改訂に関わる。専門は教育心理学。認知心理学を基盤にした個別学習支援や授業づくりなどの実践に携わっている。著書に、『考えることの科学』(中公新書)、『学ぶ意欲の心理学』(PHP新書)、『学力低下論争』(ちくま新書)、『学ぶ意欲とスキルを育てる』(小学館)、『「教えて考えさせる授業」を創る アドバンス編』(図書文化社)など。

「2023年 『これからの学力と学習支援 心理学から見た学び』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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