- Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001432
感想・レビュー・書評
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村上春樹の世界観をひしひしと感じた一冊だった。
本当に凡人には考えつかない世界だと思う。
そして長かったーーー!!!
読み終わるのに2.3週間かかってしまった〜
戦争が絡められてて描写がリアルで読んでるだけで鳥肌がたった。特に皮剥ぎボリイはえぐかった。
猫がいなくなってからよくないことが立て続けにおきて、ねじまき鳥がいなくなって、色んな人と関わりをもって、井戸の存在を知り、井戸でアザができて、最終的に想像の世界でクミコを救い出せてアザが消えて、、、
書ききれないけど全部の伏線が回収されてって気持ちよかった。けど言葉で表せないモノの存在を表現できるのって本当にすごいと思った。
この作品は何を伝えてるのだろう。
難しい!!!! -
後半は緊張感があって、一気に面白くなった。
暴力はさまざまに形を変え、私たちの人生にひそんでいる。
巻き込まれてしまうこともある。
笠原メイの立ち位置が、ちょうどあっちの世界とこっちの世界の狭間で、その手紙の違和感が、現実から離れた世界を強調しているように思った。
マルタとクレタの関係の暗示性も、実に巧みだと思う。
しかし私には、ナツメグとシナモンの協力が、どうも納得がいかない。
都合がよすぎる。
最後の未確定な、問題がの多い、傷ついた現実は、リアルでよいと感じた。
みんな、しっかりと守られて、あたたかく生きていけたらいいのに。
と願いたくなる。 -
7年ぶりの再読。
当時は、何も意味はわからない、でも何かわからないけどただただ面白い、ただただ読み進めずにはいられない、そんな気持ちで読んだ。
今回もまた、意味はわからない。でも意味を考えたい、解き明かしたいという気持ちが強くある。
それは謎を放っておけないというより、村上春樹が何を考えているのかを知りたいという欲求。
最近1Q84年を10年ぶりくらいに読み返した時に「ああ、村上春樹は善と悪の対決みたいなものを描きたいのかなあ」と思った。
その上でねじまき鳥を読んでみると、この作品も見事に綿谷昇との対決=善と悪の対決ではある。
でも、綿谷昇に象徴される悪って一体なんなのだろう。
それがわからない。
ヒントはたくさんある。
綿谷昇がお姉さんを汚したという「何か」。
ノモンハンの戦闘やシベリア抑留や新京の動物虐殺で表される「何か」。
綿谷昇によって加納クレタから引き出された「何か」。
クミコに妊娠を怖がらせた「何か」。
クミコを放蕩に走らせた「何か」。
シナモンから声を奪った夜、男が木の下に埋めた「何か」。
これらはすべてら村上春樹が描きたかった「悪なるもの」と多少の差こそあれ関わりがあると思うんだけど、それを一言で表すとなんなのだろう?
人間の暗い闇の部分?どろどろした欲望?我欲?でもそれってつまりなんなの?
その「悪なるもの」を一つの言葉で言い表そうとすること自体、間違っているというかできないことなのかもしれない。
けど春樹くんが何を悪と見做すのか、すごく知りたい。
あと純粋に、もう結婚した身としては、(より深い事情がありそうだとはいえ)クミコは男を作って出ていったのになぜ主人公は全然怒らないのか、とても不思議。
『女のいない男たち』もそうだけど、村上春樹の小説の男は妻に逃げられても全然怒らない。
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2つの世界が登場するのが村上春樹らしい。
シナモンが個人的に特に魅力的なキャラに映る。というか村上春樹作品に出てくる人物のような何か人を惹き付けるミステリアスさ、妖艶さのような魅力を出せるような人になりたい笑 -
感想を書くのが難しい。
全体を通した内容を理解するのは難しく感じるが、と言うかそれがあるといえるのかはわからないが、独立した一つ一つの話の内容は比較的テンポ良く読み進められる。
特に戦争の場面の描写はありありと鮮明で、読んでいてこんなにリアルな緊張感を感じる文書は久々で、深く心を動かされた。
村上春樹独特の文体や世界観が心地よく、読んでいて気持ちよかった。
そのため長さの割にそんなに苦ではなかった。
メタファーが非常に秀逸。 -
辻褄が合ってるようで合ってないような、最後で繋がってるような繋がってないようなそんな暗示に溢れた作品だった。ノモンハンの描写は参考文献の多さからも分かるようにとても綿密に描写されていた。ねじまき鳥はクロニクルな役割を担っていたのかな。
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当時初期から村上作品を読んでいた人達は、このねじまき鳥クロニクルでの変化に驚いたのではないかと思う。第一部から第三部にいたるまで戦争や残虐な描写が出てきた。目を覆いたくなるような場面もあった。ボリスと綿矢ノボル、間宮中尉と岡田トオル。ボリスをやれなかった間宮中尉、綿矢ノボルを追い詰め葬った岡田トオル、そして妻のクミコ。色んなものが複雑に絡み合っている小説だったなと思う。