海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001555

感想・レビュー・書評

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  • 世界観に飲み込まれているうちにいつの間にか読み終えてしまった。理解できる部分とよくわからない部分と色々でしたが、何故か没頭してしまう。中毒性のある文章がさすがでした。

  • (上巻の感想をコピペ)

    中学1年か2年の頃に図書館でたまたま手に取り、夢中になって読んだ。一度は図書館で借りて読み切って、自分でも買って読んで、何度も何度も読んだ。猫好きの私には苦しいシーンもあったけれど、私が初めて手に取った村上春樹作品で、これをきっかけに他の作品も読むようになった。

    私の通っていた中学校では当時、朝会の前に10分間読書の時間があった。ナカタさんが「うんこ」の話をしている場面を読んでいたときに隣の席の男子に覗き見されて、「お前うんこの本読んでんの?」と小声で揶揄われた記憶がある。懐かしい。思春期ですね。

    図書館で最も目につく場所へ飾ってくれた、図書館の先生に感謝。

  • ずっとずっとカフカ少年の孤独な魂を追いかけながら読んでいた。15歳の少年が本当の意味で強くなり、これから自分の旅を続けるために、必要だったこと。それがダイナミックな小説を通して語られていた。
    自分を捨てたと思い込んでいた母を求めるカフカ少年。母には母の、姉には姉の、そして父には父の選ばなくては行けない道があった。
    大島さんが男性に見えたり、ナカタさんが空っぽに見えたりしても、本質とは異なる。お椀山事件で、記憶と読み書き能力を失ってしまったのだ。人にはそれぞれの意思があり、背景があり、血が流れている。独断的偏見の目をクリアにするために、森に行き、内省的な時を過ごすべきなのかもしれない。

    一番好きな場面は最後に佐伯さんと出会う場面。
    自分が愛されていたことを感じ、自分の中に流れる血を実感すればきっとこれからも生きていける。

    この小説の面白さを際立たせたの、ナカタさんと中日ドラゴンズファンのホシノさんだろう。ホシノさんが仕事をほっぽり投げて、ナカタさんに尽くし、ナカタ化していくところがいい!
    アロハシャツのホシノさんが、大公トリオを聴き、ベートーヴェンに傾倒して、自分の半生を振り返り、石や猫に話しかけるさま。想像するだけで可笑しい。

    真っ直ぐなカフカ少年の人生に幸あれ。
    そう思いつつ、最後の頁を閉じた。

  •  田村カフカという15歳の少年とナカタさんという老人のそれぞれ物語が交互に進んでいき、少しずつ交わっていく作品。
     あっと驚くどんでん返しや伏線があるわけでもなく、衝撃のラストを迎えるわけでもない作品だが、それでも心に残る作品でした。
     最終的に、佐伯さんとさくらがカフカ少年の本当の母と姉なのかや、ナカタさんが巻き込まれた事故についての詳しいことは明かされませんでした。でもこの作品の良さはそこにあるのではないかと感じました。近頃の小説や漫画は、全てをしっかり説明している作品ばかりですが、情報を小出しにし、あとは読者の想像に任せるという形の方が作品に深みが出るように思います。

    • Mayさん
      はじめまして♪コメント失礼します^ ^

      同感です!!全てに答え合わせを出さずに、読み手に色々と残してくれる。それぞれに答えを探させて感じさ...
      はじめまして♪コメント失礼します^ ^

      同感です!!全てに答え合わせを出さずに、読み手に色々と残してくれる。それぞれに答えを探させて感じさせてくれる。これが本物だって私も思います。

      だから村上春樹さんは好きです。訳がわからなくていい。自分なりに解釈して、自分の中の経験や感情と結びつけて、色々な事を考えさせられる。これが楽しいです♪(むしろ嫌いな人はそういうところが嫌いなんだと思いますが笑)

      と同じような事を思っていたので思わずコメント失礼しました!汗
      2024/01/22
  • 下巻に突入してからは2日で読み終えた。
    伏線が回収され、同じ場所に重要な人物が集まる展開はお見事。上巻よりもかなり面白かった。
    気分が悪くなる章、良くなる章に加えて泣ける章もあり。
    ナカタさんとホシノ青年の旅は、これから先も時々ふとした瞬間に、私は何度も思い出すことになると思う。本当に2人のやり取りと行動がいつ何時も素敵すぎた。
    誰もが自分の影の半分をずっと探している。
    どんなに善良な人でも過ちを犯すことがある。同時にどんな人でも誰かを助けることができて、誰かの心の支えになれる。
    書きたいことがいっぱいあるのに言葉がうまく出てこないのがもどかしい。
    良い読書をしました。また時を置いて読み返したい

  • 読み心地も、読後感もはじめての感覚だった。
    わたしは大好きだった、!!
    それぞれが自身の考えや大切にしたいことが明確にあるからか、作中人物に愛着がわく
    大切にしたいとおもう。

  • 15歳の家出少年、田村カフカが見知らぬ土地で、見知らぬ人と出会う中で成長していくお話。
    主人公の田村カフカ視点と作中で大きな意味をもつナカタ(中盤以降は星野)視点とで交互に語られ、話の展開もほぼ時系列の順に語られるので、ストーリーを追いやすいという点で読みやすい作品ではあると感じた。
    ただ、これは少年の成長を追いかけるヒューマンドラマであって、ミステリではないので、作中で全ての謎が明かされるわけではないことには気を付けておいた方がいいとおもう(現に私も、いや解決せんのかい!と少々肩透かしを食らった)。

    中学生にとって東京都中野区から四国まで旅をするのは大冒険であり、タフさを感じられたはずだ。
    また、姉や母と歳が近いであろう、さくらや佐伯さんとの出会いは、女性が近くにいなかった父子家庭の主人公にはとても刺激的であっただろう。
    そして、ロッジでの一人暮らしや甲村図書館での日々は、思春期の男子が想像(妄想も含む)を働かせるには充分な時間と空間であったことだろう。
    そして、自己の内面とじっくり向き合い、次のステップへと踏み出していくラストはこれからの青年期への期待感を抱かせてくれたように感じた。

    一方で、ナカタさんの行動はイマイチはっきりとしないように感じた。
    幼少期の事故は何だったのか、どこまでが本当に見えていた世界なのか、使命とは何だったのか、…
    ヒントとなるエッセンスは作中にもあるのだが、何分明言はされないので、判断が難しい。
    頭が悪いもので…を理由に多くの説明が省かれており、モヤモヤした(これが村上さんの作風なのか?)。

    明言をしないことが非常に多かったのだが、それについては良し悪しはなかったように思う。
    ただ、明言をしないことがミステリでは伏線となっていることも多いが、本作では明言されている事を印象として際立たせる効果と曖昧なことを曖昧なまま受け入れさせようとする要求があった。
    この経験は、個人的には読書の幅を広げてくれたように感じた。
    その意味でも、読んでみて損はないと思う。

  • 15歳の家出少年の話か…と軽く読み始めたけど、村上春樹さんですもの。ただの家出少年の話のわけがないよね。

    今回も村上春樹ワールドにどっぷり引き込まれました。
    好きだー本当。

    アートだなぁ、この不思議な感覚。
    文章の美しさ、世界観が病みつきになる。
    彼の作品は物語を読んでいるというか、美術館の中に迷い込んでるような感じになる。(アートにも美術館にも全くもって縁はないのだけれど。笑)
    考えるより感じるというか。

    上巻を読み終わった後に、こちらで上巻のレビューを色々と読んでしまい(もちろんネタバレじゃないものだけだったが)、「ナカタさん」についてのネタバレを喰らってしまって、チクショー!レビューなんか読むんじゃなかった!と後悔しながら、そしてナカタさんに何が起こるのかをずっと頭の片隅に置いたまま読んだので、それだけが後悔…。

  • 私もカフカくんと同じ意味での強さがほしい

  • キーワードはメタファー

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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