燃ゆる頬,聖家族 (新潮文庫 ほ 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101004013

感想・レビュー・書評

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  • 大きく心を揺さぶる同性愛の物語(燃ゆる頬)。

  • 少年期、青年期と成長過程の心情のうつらうつらが
    魅力的な一冊

    現代小説に慣れてる人にはあまりオススメ出来ないかな…?

  • 古本屋で拾って積ん読していたものを読みました。堀辰雄は私の好きな太宰治と関係もある人物なので(太宰は芥川龍之介を尊敬していて、芥川に指南を受けたことのある堀に嫉妬していた)本書は堀辰雄の初期作品集です。

    宮崎駿の映画『風立ちぬ』がきっかけとなってほったらかしていたものをよんだのですが、映画を見てから読んだせいもあってか、どうもイメージがジブリの絵にひっぱられてしまった部分もあります

    しかし、『麦藁帽子』に出てくる少女の描写の繊細さなどは映画のイメージとつながる部分もあるかと思います。

    堀辰雄の自伝『風立ちぬ』を読んでいないのでなんとも言い難いですが、筆致においては件の作品とのマッチングを感じ得ます。

    堀辰雄はだいぶ昔に詩集を読んだことがあり、その印象で映画を観た時にも「堀越二郎を堀辰雄的に描きたかったのだろうか?」というのが感想だったのですが(その分これまでの作品よりジブリらしくないとも感じた)本書は小説短編集でしたので、その感想が後押しされたように感じました。

    まぁ作った本人の宮崎駿がどういう想いで映画を作ったとかはインタビューだとかを読んでないので事実は知りませんが、堀辰雄の作品を読んだ私にはそう感じられたといったところです。

    ジブリ映画の件はさておき、本書の作品群については「静謐」というのが感想です。私小説を読み慣れているせいもあるのですが、感情の起伏があまりない綺麗な作風なように思われました。場面場面が客観視で切り取られている印象でした。
    ただ、その分、少しの嫌悪や登場人物の好意が際立っていて、感情表現の多い恋愛絡みの作品(『ルウべンスの偽画』『麦藁帽子』)は抒情詩的な印象を受けました。

    感情移入するというよりも、場面場面が絵になって記憶に残るような作品が多いように思います。

著者プロフィール

東京生まれ。第一高等学校時代、生涯親交の深かった神西清(ロシア文学者・小説家)と出会う。このころ、ツルゲーネフやハウプトマンの小説や戯曲、ショーペンハウアー、ニーチェなどの哲学書に接する。1923年、19歳のころに荻原朔太郎『青猫』を耽読し、大きな影響を受ける。同時期に室生犀星を知り、犀星の紹介で師・芥川龍之介と出会う。以後、軽井沢にいた芥川を訪ね、芥川の死後も度々軽井沢へ赴く。
1925年、東京帝国大学へ入学。田端にいた萩原朔太郎を訪問。翌年に中野重治、窪川鶴次郎らと雑誌『驢馬』を創刊。同誌に堀はアポリネールやコクトーの詩を訳して掲載し、自作の小品を発表。1927年に芥川が自殺し、翌年には自身も肋膜炎を患い、生死の境をさまよう。1930年、最初の作品集『不器用な天使』を改造社より刊行。同年「聖家族」を「改造」に発表。その後は病を患い入院と静養をくり返しながらも、「美しい村」「風立ちぬ」「菜穂子」と数々の名作をうみだす。その間、詩人・立原道造との出会い、また加藤多恵との結婚があった。1940年、前年に死去した立原が戯れに編んだ『堀辰雄詩集』を山本書店よりそのまま刊行し、墓前に捧げる。1953年、春先より喀血が続き、5月28日逝去。

「2022年 『木の十字架』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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