- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101006048
感想・レビュー・書評
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1.おすすめする人
→日本文学に興味がある、太宰治を知りたい
2.内容
→太宰治が津島修二として津軽を旅した記録。
小説の途中は、風土記のような、
津軽の伝承や文化を解説することが多い。
やや退屈かと思いながら読み進めると、
津島修二の友人との他愛もない話が楽しめる。
最後の「たけ」と呼ばれる人に
会いに行く津島修二の様子は、
まるで恋人に会いに行くような気持ちを
味わわせてくれる。 -
「太宰治」というより、本名「津島修治」による、故郷の津軽の随筆。紀行文。道中記。
まあ、なんでもいいや。
なかなか楽しい話であった。
勝手なイメージだが太宰には暗くて人嫌いというものがあったが、見事にそれを覆してくれた。
親友と呼べる友、幼馴染、親戚たち、可愛らしい姪っ子まで大歓迎で太宰を迎える。
またこの人たちはホントに酒が好きだね。とにかく酒。とりあえず酒。戦時下であり、酒も配給制であったことから酒を出せない宿もあり、それを予想して自分たちで用意して持ち歩く。
そこまでして飲みたいものなのかと、正直呆れた。
ラストは太宰の育ての母ともいうべき、子守りのたけとの再会を果たす。
【「修治だ」私は笑って帽子をとった。
(中略)
修治だ、と言われて、あれ、と思ったら、それから、口がきけなくなった。運動会も何も見えなくなった。三十年ちかく、たけはお前に逢いたくて、逢えるかな、逢えないかな、とそればかり考えて暮らしていたのを、こんなにちゃんと大人になって、たけを見たくて、はるばる小泊までたずねて来てくれたかと思うと、ありがたいのだか、うれしいのだか、(中略)手かずもかかったが、愛ごくてのう、それがこんなにおとなになって、みな夢のようだ、——」】
心が暖かくなる。
そして、それだけに腹が立った。
俺は、太宰の入水自殺の原因は知らない。知りたいとも思わない。
だが、その一報をたけはどんな顔をして聞くだろう。どれだけ悲しむだろうか、と太宰は思わなかったのだろうか。
最後の瞬間までたけのことを思い出しもしなかったのだろうか。それは、酷い。あんまりだ。
おそらく何かに追い詰められて視野狭窄の状態であったろうとは思うのだが、それでも酷すぎる。
作品の最後の一文は来たる未来への皮肉に満ちていた。
【さらば読者よ、命あらばまた他日。元気で行こう。絶望するな。では、失敬。】
いやぁ~。この二、三日、私事ですがたいへんでした。
ただの風邪かと思っていたらみるみるうちに熱が上がり39度辺りを常にキープ。咳も出始め、胸の奥に妙な違和感を感じたので、これは間違いなくコロナだろう。そう確信に近い状態で近くの病院に電話を入れて診察してもらったのですが、結果、ただの風邪でした(笑)
意外とコロナにはかからない? インフルエンザですらなかった?
ま、まあ、少し複雑な気持ち。
ただの風邪であんなに苦しいならコロナになったらきっと死んでしまう(笑)
病院でもらった薬を呑んで寝てたら38度近くまで下がったのでかなり楽にはなった。
病院の薬って偉大だ。
歩くのさえキツかったのに、寝ることさえろくにできなかったのに、もうすっかり通常と変わらない。久しぶりに風呂に入ろうか。
そういえば思い出したけど、一昨年も9月に40度近い熱を出して寝込んだ。しかも間に2週間ほど空けて2回も。
だからまた、もう一度来るかもしれないな~。勘弁してほしいけど。
みなさんもお体に気を付けてお過ごしください。-
傍らに珈琲を。さん。ありがとうございますm(__)m
そうそう。
食欲が全く無くて苦労してます。
今日は、フリーズドライのコンビニ...傍らに珈琲を。さん。ありがとうございますm(__)m
そうそう。
食欲が全く無くて苦労してます。
今日は、フリーズドライのコンビニ雑炊と味噌汁と沢庵を1時間くらいかけてなんとか食べました。
とたんに汗が噴き出ました。
今日は寒くて(?)仕方なかったのに、やっぱり食物を摂るのは大切ですね~♪
考えてみたら月曜から何かを食べた記憶が……ない(笑)
ま、食べれるようになればすぐに治るでしょう♪
生姜、いいですね^^
なんとか摂れるよう考えてみます。
お気遣いありがとうございますm(__)m2023/09/14 -
2023/09/14
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2023/09/14
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梅雨明けに東北を回ろうと思っている。津軽も行くので、本棚にあった文庫本を読み始めた。太宰治ってこんな紀行文も書いていたんだな。改めて楽しく読んだ。解説を亀井勝一郎が書いているのも懐かしかった。
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太宰文学は延々と自虐が続いていくイメージがある。しかし本作『津軽』は中々に軽快に読み進めていくことができた(それでも時折り自己卑下の部分も見られるが…)読んでいる時、幾度も、「これはかの太宰が書いた文章か…?」と思った。平易な語彙と文から組み合わさる本作は絶妙なリズムを奏で、津軽の鮮やかな景色を浮かび上がらせる。優しく角のない丸い文体は、読み手を落ち着かせ、その心を穏やかにし、束の間の平穏をもたらす。まるで、それはまるで、ほんのりと温かみが残っているホッカイロで掌を包み込んでいるみたいだ。
是非とも、今度、津軽に足を運んでみたいものだ。太宰が見た津軽の景色を、私も、また、見ることができるのだろうか。 -
青森出張時に鞄に本を入れ忘れ、八戸の本屋さんを覗いた際、「津軽」の文字に惹かれて購入。 これまでの太宰さんの作品からは全体的にマイナーなベールを纏った印象を受けていたけれど、「津軽」では別人・・・?と疑いたくなるほど印象が一変した。この時の出張先は下北方面だったけれど、津軽地方の旅行記に自叙伝と風土記が織り交ぜられた内容に津軽地方を同時に訪ねた気分に浸らせていただいた。太宰さんの新たな一面を知るとともに、たっぷりと青森を旅することができる本だった。
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私は太宰治ファンではないし、走れメロスしか読んだ事ない。
今日は青森旅行2日目、これからストーブ列車に乗って、金木の斜陽館に立ち寄る予定だ。楽しみだ。
この本の最後、乳母のタケに会えてよかった。
太宰治はおぼっちゃまで、酒飲みで、ナイーブな人という印象だが、郷土の方々の温かさが彼の心の拠り所だったのかなと思った。
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津軽の旅日記
最後胸掴まれた
ぐっとくる文体
他の太宰作品とは違かった -
太宰治の作品の中では比較的明るい筆致で書かれた作品。行く先々でお酒を飲んでいるのにも関わらず、二日酔い程度で1時間も2時間も歩いているシーンもあり、酒が強い印象が深く残った。
ラストシーン、幼少期に関わりのあった女中のたけとの再開のシーンが特に良かった。希望を抱くも諦めかけていた所で、展開が変わり無事に会えたシーンは感動した。
自分を全てさらけ出して、悪い癖もダサい所も書かれていて改めて人間らしさを感じた、面白い作品だった。 -
人のつながりを軸に、昭和の津軽を描いた風土記であり、太宰が自らのルーツを確認する私小説。
現代に生きる私の個性、ともすれば現代では没個性かとも思われる人格上のニヒリズムやナルシシズムを簡単に告白してしまうのは相変わらず。ただ、いつもは見えてこない、おそらく意図的に記述を避けられている部分、太宰の人への執着や素直さが垣間見えて、面白かった。
私も青森が好きだ。港町というのもあるし、太宰が言うように、旅行者に不親切で、そこが逆に構われていない感じがして心地いい。
ただ、それもあくまで現代の、それも既に観光地化した「風景」を見ての感想である。ここでもまた、当時の津軽が生きる姿に思いを馳せるばかりだ。 -
太宰作品を大して知らないので深い考察等はできないが、現代に比べてまだまだ前時代的とされていた津軽の様子が見てとれた。太宰の郷土愛をひしひしと感じられる。
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津軽での旅行。
少し難しく、面白さに気がつけなかった。
でも太宰作品は暗いのが好きだな。 -
太宰治、久々の帰郷にして秀逸な旅行記。
津軽半島を1週間くらい時間をかけて旅をしてみたい。 -
解説にもあるが、第5節のとある人物との出来事が彼の根幹を表している。太宰の一片を文字通り垣間見れる文章であった。
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太宰の故郷、津軽を知った。
その土地に生まれた宿命かあ。故郷の歴史と、その歴史から生まれる人の性格。太宰の根幹の性格は、津軽とたけさんから形成されたのね。
太宰は津軽人の性格を時に卑しんでいるけれど、言葉とは裏腹に故郷を貴ぶ気持ちも見え隠れしていた気がする。 -
青森の地歴を解説するところは読み飛ばしてしまったが、太宰の飾らない旅風景は何やらジーンときた。ふ、と抱いたことのおる名前のつかない感情を、太宰も感じていたことを知り、安心した。
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前半の津軽でのゆかりのある地と人を尋ねる道中から最後のたけとの出会いの一節で一気に光が見える。この明るさは太宰作品とは思えないくらいの実に幸福な描写だった。
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太宰治が戦時中の津軽を歩く本です。
内容は津軽についてが半分、太宰治自身についてが半分といったところでしょうか。
津軽についての解説は、りんごの歴史が明治からとか、雪に吹かれず往来するためのコモヒの構造とか面白い部分もあるのですが、大半は説明調で引用も多くあまり面白いものではありませんでした。
一方で、太宰治の帰郷記としては、昔の知人に会う楽しさや気恥ずかしさが太宰治らしいひねくれた筆致で描かれており、これはなかなか面白いところがありました。
太宰治のファンや青森にいく予定のあるかたは、手にとってもいいのかもと思います。