漢字のいい話 (新潮文庫 あ 100-1)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101016610

作品紹介・あらすじ

「道」という文字には怖い意味がある。「女」「母」「婦」「妻」などの文字からわかる古代人の女性観は? 「為」は昔、中国に象がいた証拠! 甲骨文字の由来や筆記用具と書体の密接な関係、ローマ字に比べ「遅れた文字」とされてきた漢字が、コンピュータやスマホの時代には意外に便利で新しいことなど、日本人が日常的に使う表意文字の面白さと奥深さを、漢字学の第一人者が縦横無尽に語る。

感想・レビュー・書評

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  • 漢字は表意文字。いつも何気なく使っている漢字にも深い意味があったり、由来を聞くと聞くとなるほどと思うことが多い。

    漢字は表意文字。いつも何気なく使っている漢字にも深い意味があったり、由来を聞くと聞くとなるほどと思うことが多い。

    本書はそんな目からウロコの蘊蓄話と奥深い中国の字典(事典、辞典ではない)を探しなど、いろいろな雑誌からのより抜きのコラム等を一冊の本にまとめたもの。

    春という字がなぜ春画などエッチな意味になるのか、道という字と首の怖い関係など漢字の成り立ちは面白い。

    本書で興味深いのはワープロの普及により書けないけど読める使える漢字が格段に増えたということ。日本なら常用漢字、中国の簡体字のように、複雑な漢字は敬遠され簡略化されていく傾向にある。それがワープロを使用して読めるが書けない難しい漢字を使う傾向にあるという。「有難う御座います。」のような過剰な漢字の使用は避けたいが、それでも表意文字ならではこそ伝えられる文意がある。安易な漢字の制限よりは望ましい風潮だろう。

    表音文字を使わない中国で外来語を取り入れるための訳語も面白い。
    可口可楽、魔術霊、剣橋大学など。

    他にも中国で新婚の新郎が初夜のことを、北→比→臼と表現したり、漢字ならではの書道の魅力など。

    何気なく使う漢字の奥深い話を堪能できます。

  • 漢字のうんちく本を読みたいと思って探していたが、一番新しい文庫本で研究者による本なのでこれだと思って購入して読みました。面白かったです。コラムも秀逸。やっぱり自分も日本人のひとりとして漢字は好きなんだなあと再認識しました。

  • 漢字の第一人者が、漢字についての蘊蓄を綴った好署。
    息抜きのようなコラムが、門外漢には特に面白い。
    「漢字歳時記」では、恭賀新年が取り上げられる。この「恭」という字、現代の中国では「大便」という意味があるそうだ。これを知ったら、年賀状には使えないね(笑)。
    「色っぽい話」には、新婚初夜の夫婦についての中国の小話集が紹介されている。1日目の答えは「北」、2日目の答えは「比」、3日目の答えは「臼」。男女の向きを表しているそうだ!

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著者プロフィール

京都大学名誉教授、公益財団法人日本漢字能力検定協会漢字文化研究所所長

「2017年 『角川新字源 改訂新版 特装版 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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