薔薇盗人 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101019215

作品紹介・あらすじ

「親愛なるダディと、ぼくの大好きなメイ・プリンセス号へ」-豪華客船船長の父と少年をつなぐ寄港地への手紙。父の大切な薔薇を守る少年が告げた出来事とは-「薔薇盗人」。リストラされたカメラマンと場末のストリッパーのつかの間の、そして深い哀情「あじさい心中」。親友の死を前にして老経営者に起きた死生への惑い「死に賃」。人間の哀歓を巧みな筆致で描く、愛と涙の6短編。

感想・レビュー・書評

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  • 愛と涙の六短編。
    私にとってハズレのない浅田次郎さんの、切なさの残るストーリー。
    忘れっぽい自分が、この先忘れることはないだろうなと思うのは、最初の「あじさい心中」の二人。
    リストラされたカメラマンと、廃れた温泉街で働くストリッパー。初対面の二人が心中を決意する、そんなまさかの展開を受け入れる自分がいることに驚く。そうさせる著者の筆力にも脱帽。
    哀しみの淵にたどり着いた人の言葉は重く、その決断は強い。
    架空の人物だけど、同じような境遇の人がいることに想いを馳せて、その人たちの幸せを、自分のそれとともに願いたくなる、そんなお話でした。読めてよかった。

  • 当代随一の書き手の、珠玉の短編集。沁みる言葉とストーリー、まあ、上手すぎる!

  • 題名に惹かれて手に取りました。
    正直、少々わかりにくいものもあったのだけど。
    それは私の教養がないのか…。
    でも、浅田節炸裂の1冊でした。

  • あじさい心中は秀逸、さすがの浅田メルヘン
    薔薇盗人はその後の修羅場の匂いが辛い。嗚呼勘違い

  • 浅田次郎の短篇集。まあこれくらいの短篇集はお手のものとしたもので、全体的な密度は薄め。冒頭の「あじさい心中」は傑作だが、このレベルに到達している作品はほかになく、「ひなまつり」はできそこなった「鉄道員」だし、「死に賃」「佳人」はショートショートレベルのちょっと捻ったラストだけの短編。「薔薇盗人」も表題作にするほどの出来とは思えないなぁ。

  • 佳人と薔薇盗人のみ読みました。

  • 浅田次郎の傑作短編集。あじさい心中、死に賃、奈落、薔薇盗人など6編

  • 浅田次郎の短編集。
    比較するのは双方の作者に失礼かもしれないが、弘兼憲史の名作「人間交差点」によく似ていて、大変な境遇に置かれながらも道を外さず懸命に生きていく人間模様を描く。
    時代設定は昭和から平成初期頃だろうか、もはや今では目にすることがなくなった情景に懐かしさすら覚える。現実逃避に最適な一冊。

  • 好きな順に、あじさい心中、ひなまつり、死に賃、佳人、薔薇盗人、奈落、です。
    あじさい心中もひなまつりも、登場人物は私とは違う暮らしをされて別の苦労や不幸を味わっている心のきれいな善人たち。どちらも生活を変えようと一歩踏み出すが…。
    話の運びかたは流石、浅田節です。

  • ○あじさい心中は、人生何がどうなるか分からないと感じた。また、諦めてしまうと何もかも上手くいかなくなるなと。
    ○死に賃は世にも奇妙な物語にありそうな話。笑
    ○奈落は結局よく分からなかった。
    ○佳人は、人は見かけによらず、また、斜め上の事情があるものだなと感じた。完璧な人でも色々あるのだと思わされる。
    ○ひなまつりは感動的。やっぱり子供が一番よく分かっている。ただ、お父さんが欲しいという純粋な気持ちから、それは至極当然のことでもあるが、凄く勇気がいること。賢い子ほど我慢し自分の気持ちよりも他人の事を考えて行動する。でもやっぱりそこは子供なのである。読後は良かったなと思った。
    ○薔薇盗人は、美しい表現で描かれているが、起こっていることは、大人の関係のことばかり。
    結局美しかったのは、洋一とヘレンの愛だけ。それも全て大人のせいで奪われてしまうのが、何とも言えない。

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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