- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101025070
感想・レビュー・書評
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「侏儒の言葉」
ここまで人や世界が見てしまうと、そりゃぁ自殺したくもなるわなぁ…という感想。
「西方の人」
キリスト教的な前提知識が無きに等しいこともあり、晦渋過ぎて意味が全くわからなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芥川龍之介は作家であり、書家であり、画家であり・・・、哲学者であり・・・、まさに天才でしたね!
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2015年10月3日読了。
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『侏儒の言葉』の「批評学」は、毎度ニヤニヤしながら読む。
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伊坂幸太郎「チルドレン」にある同表題の短編に登場したので、読んでみることにした。冒頭で、彼はこう言う。
「侏儒の言葉」は必しもわたしの思想を伝えるものではない。唯わたしの思想の変化を時々窺わせるのに過ぎぬものである。一本の草よりも一すじの蔓草、――しかもその蔓草は幾すじも蔓を伸ばしているかも知れない。
言ってみれば、芸人がお題を振られて面白いことを言ってみる、それと同じだ。彼の思想を探ることも人生について考えることもせず、唯楽しむことに努めるべき一つの作品であるのだろう。 しかしそこから、私たちの思想や人生に影響を与えるのだから全くすごい。 -
『侏儒の言葉』は日常の事柄を別の視点からみた短文を収録してある。ハッとする文章あり。
『西方の人』は芥川のキリスト観を記述。難解ではあるが、解説が秀逸なため勉強になった。 -
『チルドレン』(伊坂幸太郎)で引用さてれいた本。
以下 気に入った文
文書の中にある言葉は辞書の中にある時よりも美しさを加えていなければならぬ
道徳は便宜の異名である。 左側通行と似たものである
敵意は寒気と選ぶ所はない。適度に感ずる時は爽快であり、且又健康を保つ上には何びとにも絶対に必要である
………
他にも気に入った文はあります。
ただほとんど 意味のわからなかったものばかり。知識と経験が足りないなー。
西方の人は 聖書を読んでから読み直したいと思います。 -
事をなそうとする人には、逆説が有用な警句を与える
しかし怠け者には、逆説が言い訳をもたらす
「侏儒の言葉」は、いろんな意味で芥川的だ
後世の批評を、ほとんどこれで先取りしてると言っても過言ではあるまい
「西方の人」「続西方の人」
芥川は若いころから聖書を愛読していたらしい
しかし、キリスト教の信徒というわけではなかった
彼が愛したのは、あくまでイエス・キリストとその物語で
「悲しき天才」としてのキリストに、どうものめりこんでいたフシがある
…しかし悲しき天才ということで言うならば
たとえば、イエスに洗礼を与えたバプテズマのヨハネも悲しき天才だったし
芥川に言わせれば、ゴルゴダにおいてイエスを罵った盗賊や
殺戮者バラバも同じく悲しき天才だった
キリストとは、世界変革の可能性を持って生まれ
それゆえに世間から葬られてきた「悲しき天才」たちのことであり
それは歴史上に何人も存在すると芥川は言う
それら多くのキリストたちと、イエスをはっきり区別するのは
マリアの存在であると言えるだろう
すなわち、処女の母親である
イエスは、マリアにとって必ずしも「愛の結晶」ではなかった
なにせ、行為もなにもなく、いつのまにか身ごもっていた子供なのであるから
そしてまた、自らを聖霊の子と自覚したイエスは、両親に対して冷たい態度を隠さない
そのようなイエスの家庭環境に
芥川が、自らの複雑な少年時代を重ね合わせたとしても、まったく不思議はあるまい
イエスを「古代のジャアナリスト」と呼ぶに至っては、もう完全になりきっている
しかしその夜郎自大にも見える語りは
芥川自身の、生きてゆくむなしさを吐露しているようでもあるのだった -
「道徳の与えたる恩恵は時間と労力との節約である。道徳の与えたる損害は完全なる良心の麻痺である」(修身:p11)
「軍人は小児に近いものである。英雄らしい身振りを喜んだり、所謂光栄を好んだりするのは今更此処に云う必要はない。機械的訓練を貴んだり、動物的勇気を重んじたりするのも小学校にのみ見得る現象である。殺戮を何とも思わぬなどは一層小児と選ぶところはない。殊に小児と似ているのは喇叭や軍歌に鼓舞されれば、何の為に戦うかも問わず、欣然と敵に当ることである。
この故に軍人の誇りとするものは必ず小児の玩具に似ている。緋縅の鎧や鍬形の兜は成人の趣味にかなった者ではない。勲章も―わたしには実際に不思議である。なぜ軍人は酒にも酔わずに、勲章を下げて歩かれるのであろう?」(小児:p19)
「最も賢い処世術は社会的因襲を軽蔑しながら、しかも社会的因襲と矛盾せぬ生活をすることである」(処世術:p99)
「わたしは金銭に冷淡だった。勿論食うだけには困らなかったから」(わたし:p120) -
侏儒の言葉
伊坂幸太郎のチルドレンとモダンタイムスで引用されてたので読んだ
或仕合せ者、或夜の感想、批評学、可能、言葉、悲劇…等々ハッとさせられながら読んだ。