学問 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101036267

感想・レビュー・書評

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  • 蓮華草(レンゲソウ)と読む。なかなか良い出だし。序章は女児が性に目覚める感じかな?読了。
    田舎での男女4人の成長を描いている感じ。なかなか味のある作品。心太のカリスマ性も良い。
    本の全体を表現できていないけど、まぁオモロイかな。
    ※オナニーってドイツ語なんだ。オナンという人物の名前が語源。

    最後の村田沙耶香さんの解説が素晴らしい。

  • 性と生きることはひとつのものなんだろうと思う。
    山田詠美の本は、いつもそこのとこ突きつけてくる。
    いやらしいとか、何言ってるの? あたりまえのことなのに? って。



    7歳の主人公たちが出会って、心が通って、大きくなって、
    小学生になって、中学生になって、高校生になって。
    その一瞬一瞬どれもが、いつかどこかで経験したようなことなの。

    よくぞここまで、幼少期の感性を、大人が思うよりもずっと見えていた世界を、
    こんなに綺麗な文章で描けるなぁって。
    ただただ、感嘆。



    わたしたちって、
    自分中心の一対一の関係しか目に入らない幼い頃があって、
    大勢の中での自分、多人数の中での力動が中心の思春期がきて、
    それから、自分にとってのひとりを見つけて、また一対一の関係に戻ってく。

    でも、この本の主人公たちは、
    どの子もどこかで、一対一の関係につながれたままのような感じがする。
    幼い頃から解き放たれないままで。
    なんか、そこがあやうくて、緊張感をあおる感じ。



    「まっとうに死んだ人間が好き」 っていう言葉が出てくる。
    なんだか、それもドキドキするような台詞だ。

  • 立派な学問。
    卑猥な話なんかじゃないね、読み終わってそう思った。
    山田詠美が描く「男の子」はいつも不思議で素敵。

  • 何よりタイトルが良いなあ。ある意味『僕は勉強ができない』と対になっているかのような、見た目の意味は正反対のようで、テーマは同じというか、ざっくり簡単にまとめてしまえば、学校で習う勉強だけが学問じゃなくて、人生そのものが学問なんだよってことだと思います。うん、良かった。

  • 小学生の時、親の仕事の都合で美流間という田舎町に越してきた仁美。そこで知り合った同じ社宅のチーホと学校でも町でも一目置かれている心太、食べることが大好きなムリョ。主にこの四人の子供らしい仲の良さや何気ない遊びの中に見出せるきらめきを描いている。でも、いずれも大人から観た子供像という枠を出ない。性の目覚めについても描かれているけど、性の目覚めを赤裸々に描くこと自体がもう定型化しちゃっているから今更山田詠美でこんなの読むとはな、と期待はずれ間を抱いて読み勧めていた。
    ところが突如間欠泉みたいに沸きあがる心太の僻みっぽさとかむなしさが出てくる(三)あたりから夢中になり、すっかり子供じゃなくなった彼らのやり取りに夢中になり。そして語られることがない冒頭の死と最後の死の間に横たわる関係。気になる。でも、気になったままでいいかなと思う。「ずっとついていく」と決めた仁美の言葉だけで十分だ。人の一生をこんなふうに語ることも出来るんだな。

    山田詠美を読んだのは3年以上振り。デビュー作から順を追って貪るように読んでいた頃とは違うときめきを味わえた。

  • 海辺の田舎町で幼なじみの男女4人が織り成す、キラキラした生と性の物語。
    幼い心を通して初めて感じる性の感覚がとても共感できた。
    登場人物みんなが感情移入できるほどよく描かれていた。
    2015/03

  • 固いタイトルと、性愛の目覚めをメインとした内容のギャップ。一人で読むべし。電車では読む勿れ。

  • やっぱり、山田詠美さんの書く人は、男の人でも女の人でも好きだ。心太や仁美のことを忘れそうになったら、また読もうと思います。

  • 確か初めて読んだのは中学生か高校生のころ、当時この本を読んで何を感じた(感じられた)んだろうと思う
    再読できてよかった〜

    性を習得していくさまを追体験できて不思議な感じだった。自分のことはもう忘れてしまっていて、ああそういえばこんな感じだったかもって。これを書いた山田詠美さんすごいなあ。この物語に「学問」というタイトルを付けられるのもすごいなあ。

    今回は性欲、睡眠欲、食欲、支配欲?かなって思ったけど、また読み返したら受け取り方変わるかなあ。

  • 高度成長期という時代に生きた幼馴染み4人の物語。
    死亡記事が出てくるあたりで、人間はいつか死ぬということを強烈に意識づけられた。
    生も性もひっくるめてどう生きるか、というのが学問なのだと思い至る。

著者プロフィール

1959年東京生まれ。85年『ベッドタイムアイズ』で文藝賞受賞。87年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞、89年『風葬の教室』で平林たい子文学賞、91年『トラッシュ』で女流文学賞、96年『アニマル・ロジック』で泉鏡花文学賞、2000年『A2Z』で読売文学賞、05年『風味絶佳』で谷崎潤一郎賞、12年『ジェントルマン』で野間文芸賞、16年「生鮮てるてる坊主」で川端康成文学賞を受賞。他の著書『ぼくは勉強ができない』『姫君』『学問』『つみびと』『ファースト クラッシュ』『血も涙もある』他多数。



「2022年 『私のことだま漂流記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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