俺たちは神じゃない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101039817

作品紹介・あらすじ

剣崎啓介は腕利きとして知られる中堅外科医。そんな彼が頼りにするのが松島直武だ。生真面目な剣崎と陽気な関西人の松島。ふたりはオペで絶妙な呼吸をみせる。院長から国会議員の癌切除を依頼された剣崎は、松島を助手に得意なロボット手術を進める。だが、その行く手にはある危機が待ち受けていた──。現役外科医が総合病院で日夜起こるドラマをリアルに描く、医学エンターテインメント。

感想・レビュー・書評

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  • 泣くな研修医シリーズの先生の本

    研修医の話とは全く違う
    ベテラン外科医のお話

    病院トップの遠縁にあたる下手な医者の手術フォローで助手やったり
    自殺した患者を助けたが、また自殺して助けて
    その自殺の巻き添えに医者が体を不自由になったり

    深夜に救急で運ばれてきた老女を助けたら、身寄りがなく命を救うべきだったのか悩んだり

    悩みが多い

    そんな中、自分と同じくらいの能力で信頼し切ってる医者の存在が救われる

  • 「泣くな、研修医」で有名な作家さん。
    初読み。
    敬愛会麻布中央病院に勤務する中堅外科医・剣崎と松島の物語。
    優秀な二人の外科医のコンビネーションが心地いい。
    現役の医師らしく、手術シーンの緊迫感はまるでドラマのよう。
    そして、他の医療作品でも取り上げられる高齢者の延命問題。
    緊急手術の中、迫られる決断、そして後悔。
    新人でもなく、かと言って、ベテランでもない、中堅外科医の実情がこれでもかと言うほど描かれる。
    最終章ではロボット手術を使った手術も描かれており、それが当たり前な世の中になったのだと実感。
    あとがきまで読むと、この作品への作者の想いが分かり、そこで初めて涙・・・
    その想いを是非、続編で読ませてもらいたい。
    順番が逆かと思うが、「泣くな、研修医」も読もうと思う。

  • 敬愛会麻布中央病院に勤務する中堅外科医剣崎と松島の物語。

    手術の下手くそな医師、嫌味を言う先輩医師、酒を呑む事で憂さ晴らしをして、激務をこなし、腕を磨きそして処世術を…。

    そんな中、国会議員のロボット手術を引き受けますが、手術中にロボット(HOKUSAI)に異変が。

    後は読んでのお楽しみ‼︎
    (個人的にシリーズ化希望)

  • 中山裕次郎さんが好きなので読みました。
    中山裕次郎さんは現役の医師なので、文学を追及しているわけではありません(たぶん)。だから、著者の医師としての成長に合わせて、心にたまっているいろいろなことを、文章を書くという形で昇華しているんだと(勝手に)思っています。「泣くな研修医」シリーズでそれをやっていたけど、この小説は番外編なのかな。
    二人の超優秀な外科医が、病院内での人間関係のあれこれについて愚痴をこぼしつつ、理解し合いながら、協力して難しいオペに向き合ったり、余命いくばくもない人に自分だけの判断で延命措置をするかどうか迷ったり、末期癌で自殺願望が強い人にどう対応するか考えているさまが描かれています。
    とても興味深く、医療現場のあれこれも深く掘り下げられた作品だったのですが、著者の「あとがき」が一番心に残りました。
    生きていくって、大変。
    夢をもって就いた職業で、使命を全うするって大変。
    そこで、一緒に働く仲間と良好な関係を築き、一緒に最善を尽くす、それができればベストだけど、いろんな事情でうまくいかないことがある。
    私にも、痛いほどわかる。
    どんな職業でも、結局は人間関係が一番大事で、かつ、難しいことなのかもしれないな。

  • 「泣くな研修医」で描かれていた若手時代の不甲斐なさとは対照的に、技術と経験を持った医師2人が臨床で感じる責任感が軸となったストーリーが面白い。医者だって人だから人間関係に悩まされるし、失敗もするし、判断に迷うことだってあるし、笑ってしまうこともある。医者にも備わっている人間臭さと、いくつものピンチを乗り越えていく物語は、最終的に主人公が感じるオペ後の爽快感を読者も一緒に味わわせてもらうことになる。

  • 研修医の続きを読もうかと思っていたのですが、こちらは脂の乗っている外科医が主人公とのことで、より臨場感あるシーンが楽しめました。

    どこの職場でもありそうな人間関係とそのバランスと、医療現場独特のブラックではないのかな?とも思える厳しい勤務体制と。とてもリアルに思えました。

    グロは苦手ですが、手術シーンも書き手の崇高な意志に基づいているので大丈夫でした。

    最初はイライラさせられる後輩の成長にも希望を感じさせられて読後感は良かったです。
    といいたいところですが、次巻への布石なのか、あとがきに唐突に挿入されている複数のエピソードが訳が分からなくて、伏線回収?そんなシーンあったっけ?って思いおこす時間を要しました。
    個人的には少し蛇足だったように思います。

    外科医は神様にケンカを売っている。
    この言葉が一番腑に落ちつつ、医療関係者の覚悟を表していると思いました。

  • 泣くな研修医シリーズで大ファンになった中山さん。医療系小説が他にもあるとのことで読んでみた。
    へ、ヘビィだった……。
    研修医シリーズでも患者さんのこととか内容は重かったけど、こちらはそれ以上。何故か?院内に敵が多すぎる。嫌な奴が多すぎる。なので精神的に疲れた。
    そして剣崎と松島の外科医コンビは酒飲みすぎじゃない?と読んでいて心配になった(笑)
    こんなにお疲れの日々を送っていたら酒しか癒やすものがないのか…なんだか切ない。
    そして最初はどないやねんと思っていた荒井が最後には愛すべきキャラクターになっていた。なんだか憎めない。がんばれ、荒井!
    こちらもシリーズものとして続くようなので、次作も楽しみに待ちます!

  • 医者ではないが、きっと、現実の外科医の日常なのだろう。一気に読了。もっと成長したまっちゃんも見てみたい。

  • 実際のところ、⭐︎ 3.5なのだが、四捨五入した。
    医療ドラマ好きの者としてはリアルさが感じられる現場の描写がたくさんあり、おもしろかった。
    さまざまな患者に対する剣崎医師に焦点化されて物語は動くが、そのなかでも自殺を繰り返すある癌患者の話が印象に残った。また、ロボットアームによる手術の話は背筋が寒くなった。

  • 外科医の目から書いた秀作。手術の場面の写実的な表現、エピソード、引き込まれて一気に読めた。
    泣くな研修医シリーズに続き、これからが楽しみだ。

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著者プロフィール

1980年神奈川県生まれ。鹿児島大学医学部卒。現在は湘南東部総合病院外科勤務。著書に『泣くな研修医』シリーズなどがある。最新作は『やめるな外科医 泣くな研修医4』(幻冬舎文庫) 。

「2022年 『ココロギミック 異人と同人3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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