暢気眼鏡 (新潮文庫 B 3-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101049014

感想・レビュー・書評

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  • 全集に収録済みのほぼ代表作ばかりをhontoの電子書籍で読み返し。戦前の作品でも言葉遣いが古めかしく感じられないのは、尾崎一雄の耳の良さがあると思う。若い妻、幼い娘の物言いがあどけなくて、いい気持ちになる。

    余談。若者と結婚したい中年は、この短編集で年の差婚に伴う覚悟を培うべき。

  • ★2.5かな。
    こういう小説は今や絶滅種、あらゆる文学は作家という個から生み出される訳だから、私的側面を必ず有するもの。
    でも実体験をある意味再表現するような私小説という形式はやはり過渡期の代物かもしれない。
    この手の話なら今やブログで書く人もいそうだし。

  • 2009/10/12購入

  •  ひどい生活の中で芳枝が割に暢気でいることは,現在助かると思いながら私としては一方絶えず追い立てられる気持ちだった。この暢気さが何時まで続くか,ゴム糸が延び切ったらそれでおしまいだ。そうならぬうちにと,平気な顔の奥で焦り続けている私のそばで,暢気な芳枝は暢気なお饒舌りばかりする。殊に好んで幼時の話をする。今の惨めさに追われて意識せぬながら憶いが暢気だった昔に返るのかとも思われ,私は気が沈むのだった。云うことは全でたわいなく,多くの場合相槌ばかりで私は何も聞いてはいないのだが……。
    (「暢気眼鏡」本文p40)

  • 奥さんみたいな生き方好き

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著者プロフィール

尾崎一雄

一八九九(明治三十二)年、三重県に生まれ、小学生時代に神奈川県に移る。小説家。早稲田大学国文科卒業。在学中より志賀直哉に師事。プロレタリア文学の興隆に押されて行きづまり貧困と沈滞の時期を経て、結婚が再起の契機となり、一九三七(昭和十二)年ユーモア小説『暢気眼鏡』で芥川賞。戦争末期より大病を得、病中の死生観を吐露した『虫のいろいろ』を発表。『まぼろしの記』、自伝的回想『あの日この日』(ともに野間文芸賞)ほか著書多数。七八年文化勲章。八三年三月没。

「2022年 『新編 閑な老人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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