仮面の告白 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101050409

感想・レビュー・書評

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  • わたしは大きな勘違いをしていたのかもしれない。きっと彼が畏れていたのは、戦争でも死でもなかった。

    前半、ざっくり言っちゃうと好みの人に対して、どこが好きか、かっこいいかっていうのを、性癖を混じえて語っているだけなんだけど、なんでこんなに人間の背徳感とか倫理観を揺さぶってくるのか。
    半ばから後半にかけては、前半の流れをベースとしつつ戦争や戦争を背景とした死生観に話が及ぶ。そして、彼の性的指向と、誰かを愛するということについて煩悶していく。唐突なラスト。
    まだまだこんなにページが残っているのに!と思っていたら、残りは注釈と複数の解説と年表である。
    彼が生きた時代。わたしにとっては日本史で学んだ分野であると同時に、衝撃だったのは、祖母とそうそう歳の変わらない方だということだ。早くに亡くならなければ、まだ生きていたっておかしくない。

    理解できない描写も多く、眉間に皺を寄せながら、首を傾げながら、とりあえず読み進める。
    すると突然、喉の奥の方から、ぐぎゅぐぎゅ、と何か得体のしれないものが押し寄せてきて、目の前に書かれていることを、唐突に理解する。そんな瞬間が複数ある。
    「ああ、わかるなぁ」が増えていく。

    ・彼自身の性的指向と、それが招いた自責の念
    P69「私がいつも近江の裸体を見たいと、あれほど激しく希(ねが)っていたことを」
    P107「私にはまるでわからなかった。恋と性慾とがどんな風にかかわりあうのか、そこのところがどうしてもわからなかった。運転手の若者の横顔を見る私の視線には、何か避けがたい・息苦しい・辛い・圧力的なものがあり、貧血質の令嬢をちらちら見る目には、どこかわざとらしい・人工的な・疲れやすいものがあった。この二つの眼差の関わりがわからぬままに、二つの視線は、私の内部に平気で同居し、こだわりなく共在した」
    P141「他の青年ならどう感じるだろう、正常な人間ならどう感じるだろうという強迫観念が私を責め立て、私が確実に得たと思った幸福の一トかけらをも、忽(たちま)ちばらばらにしてしまうのであった」
    P192「人生の数学を、私は私なりに、皆と同じ演繹法で解いてゆけばよかったんだ。私が半分小賢しかったのが何より悪かったんだ。私一人が帰納法に依ったばかりにしくじったんだ」
    P212「苦しみはこう告げるのである。『お前は人間ではないのだ。お前は人交わりのならない身だ。お前は人間ならぬ何か奇妙に悲しい生物だ』」

    ・戦争のこと
    P110「戦争がわれわれに妙に感傷的な成長の仕方を教えた。それは二十代で人生を断ち切って考えることだった」
    P176「結婚という些細な幸福も、戦争の激化のおかげで、在り得ないような錯覚がしていただけだ」
    P201「戦争が勝とうと負けようと、そんなことは私にはどうでもよかったのだ。私はただ生れ変わりたかったのだ」

    ・死のこと
    P119「空襲を人一倍おそれているくせに、同時に私は何か甘い期待で死を待ちかねてもいた」
    P128「私が求めていたものは何か天然自然の自殺であった」
    P129「私は自分を『死』に見捨てられた人間だと感じることのほうを好んだ」

    彼の死への思いと戦争の存在。
    死というものに対して、戦争というものに対して、「常にこう思う」という軸のようなものはなかったのかもしれない。それは流動的に、変容していたのかもしれない。ある時は戦死を願い、ある時は戦死をおそれる。それは彼の中でも、うまく答えを出せなかった問題かもしれない。考えているうちに、サイレンが鳴り、防空壕へ行ったり招集されたり。そんな時代だったのだと思う。
    現代において、「命の重み・尊さ」については言うまでもないことだけれど、戦時中の当時は、そもそもの「命の尊さ」の、「尊い」という言葉の意味合いを、異なって解釈していたのだろう。
    自責の念を抱える彼の死への感覚はたぶん、彼と同じ時代を生きている人とのそれとも異なっているのだろう。このことも、三島を苦しめた要因の一つのように感じている。うまく伝わるかな。自分でもこれで合っているのか分からなくなってきた。

    そして、最大の衝撃は、この作品が出版された時彼はたったの24歳だったことである。

    2022年早々ヘビーな読書ではあったけれど、この作品をきちんと最後まで読めたってだけで、かなり満たされた。
    次は、三島由紀夫つながりで第33回三島由紀夫賞を受賞した作品、宇佐見りんさんの「かか」を読む。

  • その仮面には、肉が付いているという。
    くまモンがくまモンである様に、松田聖子が聖子ちゃんとして生きる様に。三島由紀夫という、作家して生きていく為の、その仮面の下の告白。
    大蔵省を辞して、本格的作家活動を始めた初の書き下ろし小説。
    彼の出生時から青年期までの、彼の記憶と性向の告白。男性の鍛えられた筋肉、それが痛まる様への傾倒。当時、まだ承認され難いその性癖から逃げる為、女性を愛そう、愛せるであろうという、うちなる営み。同級生への恋心は切ない。
    後、10年いや20年、遅く生まれていれば、凪良さんや一穂さんらと楽しい文壇生活を送れたかもしれない。大蔵省なら丹下道さんか?(ここ、みんみんさん宛のメッセですよ。)
    「潮騒」は、好きな作品。重松清氏もひまわりみたいな小説と評していた。が、主人公・漁師の新治は、日焼けした見事な筋肉で荒波を泳ぎきるのだ。(三島は泳げない。)ギリシア彫刻が好きなのよ。
    そのまま、好みではないでしょうか。
    彼の記憶は、産湯のタライに輝く光から始まる。そして、女性との恋愛を放棄した彼は、飲み物の反射の光を見て、小説はラストとなる。ここは、反射の光が彼のこれからを表現したと思うんだけど。どうだろう?太陽は似合わないよ、みたいな。
    告白した事で、終わりではなく彼の人生が始まる。

    • おびのりさん
      みんさん、ぞわぞわしないかい?
      楽しみだわ。
      ラストは、三島由紀夫自体も言ってるらしいけど、期限ギリギリで焦ってたみたいよ。
      何かで読んだか...
      みんさん、ぞわぞわしないかい?
      楽しみだわ。
      ラストは、三島由紀夫自体も言ってるらしいけど、期限ギリギリで焦ってたみたいよ。
      何かで読んだかもだけど、この作品を世に出した編集者は、坂本龍一の父親。なんか、イエローマジックでも、関連した曲出してたらしいけど、そっちは詳しくないから。
      私は一穂さんの図書館待ち。
      2022/10/27
    • みんみんさん
      あの屈折感がヤバい笑
      おばちゃんギュってしてあげたくなる(〃ω〃)
      あの屈折感がヤバい笑
      おばちゃんギュってしてあげたくなる(〃ω〃)
      2022/10/27
    • おびのりさん
      禁色をゆーくり読んでるんです。もう図書館延長か、購入か迷います。これは持って無いのよねえ。もっと屈折してますよ。
      ノーベル賞惜しかったよねえ...
      禁色をゆーくり読んでるんです。もう図書館延長か、購入か迷います。これは持って無いのよねえ。もっと屈折してますよ。
      ノーベル賞惜しかったよねえ。2回候補までいってるのよ。川端康成が譲れって言ったらしいけど。
      2022/10/27
  • 無教養なわたしですが15ページに及ぶ三島辞典が掲載されていたので何とかなりました(о´∀`о)笑

    「仮面の告白」
    三島由紀夫はいったい幾つの仮面を被り続けて生きたのだろう…切ないです。
    物語は美しく難解な表現、比喩、引用がこれでもか!
    と続きます_φ(・_・

    内容としては至ってシンプルです。
    幼少期に同性愛者だと薄々気づく主人公の青年期までの葛藤を描いた物語。

    汗、匂い、筋肉、腋窩の草叢(脇毛)(〃ω〃)笑
    金釦、革手袋、白手袋…
    三島…いや主人公が男性のどこにどうトキメクのか?
    なぜ好きなのか?なぜそんな事を考えてしまうのか?
    自分を客観的に観察し、分析し、異常だと自己嫌悪に陥る。思春期の同級生たちが女性に興奮する姿を
    これまた観察、分析、模倣する。
    同性愛者でサディスティックな性癖…貧相な自分に対するコンプレックス、美しいものへの異常とも言える執着…やっかいな人( ̄▽ ̄)笑

    頭脳明晰ですからね…
    たくさんの仮面を貼り付けすぎて苦しかっただろうなぁと面倒臭いけど愛おしくなる笑

    この作品が世に出た時いったい何人の人達が本当の意味で理解したのだろう。

    仮面を被り自らの人生を演出し続け、死に様まで三島由紀夫を演じたのかな…と思ってしまう。

    解説?考察?が御三方載ってました。
    中村文則氏の解釈がわたし的にはベスト‼︎

    大好きだった三輪さんに
    「僕は友達いないんだよ」と笑った三島
    割腹自殺の何日か前に三輪さんの楽屋に300本の薔薇の花束を持ってひっそりお別れに来た三島

    「潮騒」のような恋愛がしたかったんだろうな…


    • おびのりさん
      中村文則さんの後書良かったよね。
      小説は、もうちょいなんだけど。
      語れて楽しかったです。
      ありがとうございました。
      中村文則さんの後書良かったよね。
      小説は、もうちょいなんだけど。
      語れて楽しかったです。
      ありがとうございました。
      2022/10/27
    • みんみんさん
      三島の世界は三島にしかわからないのかなって感じます_φ(・_・
      生き急いだ人はなんだか切ないね…
      あっ仮面を被った方々
      高倉健さんと田村正和...
      三島の世界は三島にしかわからないのかなって感じます_φ(・_・
      生き急いだ人はなんだか切ないね…
      あっ仮面を被った方々
      高倉健さんと田村正和も入れといて笑笑
      2022/10/27
    • おびのりさん
      川端康成様も
      川端康成様も
      2022/10/27
  • やっぱり凄い。
    この作家の凄さは私が知っている程度の語彙では到底表せない。

    言い方の難しくて回りくどい感じ。
    言葉は難しくても言わんとしていることは何となく伝わる不思議。
    数行読んだだけで彼の文章だと分かる。
    比喩表現も仕立てられたようにピッタリ。
    現代に生きる私がこう感じている事が何より凄い…

    ◉幼少期の性癖がマジもん
    これは三島由紀夫自身の話である事がほぼ明かされた状態。
    僕は生まれつき体が弱く、室内で本を読んだり女の子と遊んだりして大きくなる。
    自分に無いものを欲するためか、男性の引き締まった肉体に惹かれるようになる。

    もういきなりディープなのよ。
    リアルで心理描写も巧いから、私も割とそれ好きかも…という錯覚に陥る始末。
    ・若い糞尿汲み取り人の股間にときめく
    ・死に近い軍人の汗の匂いが好き…
    ・絵本の中の「殺される美しい王子」に夢中になる(この時なんと5歳)などなど。

    (ふいに僕が作中で「公ちゃん」と呼ばれてドキッとする。三島由紀夫は本名が平岡公威)

    ◉異常な自分を自覚する中学生時代
    現実の男・近江への恋心。
    そして性癖は更にディープなるところへ…
    ああ、グロ要素もプラスしちゃうのね、って感じ。

    イヤッ変態、とか言っているうちは楽しいのだけど、どうやら自分は異常だぞと感じ始める頃から辛く、苦しくなってくる。
    それでも僕は夢見ている。自分を騙している。いつかはちゃんとした普通の男になれるということを。未来の花嫁の姿を。彼女を心から愛している自分を。

    この手の願望は三島作品にあっては叶うはずもなく、僕のすがるような期待も裏切られる事が読者にはすでに分かっていてつらみ。

    ◉何で園子を作ったのよバカ
    その期待を手触りのあるものにしてしまったのが園子という存在。
    何せ園子には他の女性には感じなかったものを感じてしまったんだもの。
    きっと園子となら、という期待が高まる。


    RADWINPSの棒人間という歌にこんな歌詞がある。

    ねえ僕は人間じゃ無いんです
    本当にごめんなさい
    そっくりにできてるもんで 
    よく間違われるのです
    どうせこんなことになるのなら
    初めから僕の姿形を
    人間とは遥か程遠い 
    ものにしてくれりゃよかったのに

    ……もうその通りだよ!!
    男にしか欲望を感じないのなら、100%女には心を動かされないような仕組みにしておいて欲しかった。
    男に対する煮えたぎるようなそれとは違うと分かっていても、園子という自分を刺激する存在がある限り「正常な男になる」という希望は捨てられない。
    辛い。園子も辛いけど。

    男に対する生理のものとしか言えない欲望と、女に対する義務のような・それでいて手の届かない果実を思うような欲望。
    この二つが僕を真っ二つに引き裂くようなラスト。もう辛すぎて。くちポカン…

    当時の日本ではこんな考え受け入れられるはずもない。幸せが待っているとは思えない。
    自分の気持ちを思い切り欺けたら。
    仮面のまま生きられたら。
    そんな望みすら叶わないのか…

    正に死を覚悟した懺悔のような、人生の清算のような「仮面の告白」。
    これを20代で書き上げた三島由紀夫。
    昭和24年という時代にこの本を刊行することの意味。

    全てにおいて心に刺さる物語でした。

    • naonaonao16gさん
      筋金入り笑
      たしかに笑

      そう、ただのゆるいキャラじゃないとこ、結構深い!最近こいぬ?が追加されたみたい!(映画見てからTwitterフォロ...
      筋金入り笑
      たしかに笑

      そう、ただのゆるいキャラじゃないとこ、結構深い!最近こいぬ?が追加されたみたい!(映画見てからTwitterフォローしだしてちょっと詳しくなった笑)

      金閣寺読んでるんだ!すごい!
      感化されて読みたくなることあるよね!
      でも凄かったのはミオナちゃんのレビューだったってこと忘れないで!!

      まあいいよ、ゆっくり行こう、2022年
      わたしなんて今日二日酔いでグロッキーだったんだから笑
      まあいいよね笑
      2022/01/08
    • ミオナさん
      こいぬ?知らんかった!
      娘におしえちゃる(*^▽^*)

      ありがとね♡
      なかなか年明け早々重い読書だわ
      でも楽しい


      二日酔いはしんどいね...
      こいぬ?知らんかった!
      娘におしえちゃる(*^▽^*)

      ありがとね♡
      なかなか年明け早々重い読書だわ
      でも楽しい


      二日酔いはしんどいね
      歳取ると余計に
      私も昨日子供が鼻詰まらせて全然寝なくて…
      眠い!!

      まあぼちぼち今年も頑張っていきましょうね♪
      2022/01/10
    • naonaonao16gさん
      教えてあげてー!
      可愛いよ!♡

      そういえばこないだ本屋行ったら、新たに出版されてる三島作品、解説が新しくなってるっぽい?
      これから「仮面の...
      教えてあげてー!
      可愛いよ!♡

      そういえばこないだ本屋行ったら、新たに出版されてる三島作品、解説が新しくなってるっぽい?
      これから「仮面の告白」入るよー!楽しみ!!

      お子さん大丈夫??連休は少し寝れたかな?
      また読み終わったらレビュー書くので是非見に来てね!
      読むきっかけをくれてありがとう^^
      2022/01/10
  • 読むのに時間がかかった。
    虚心坦懐にといえばちょっとおおげさかもしれないけど、なるべくまっさらな気持ちで読みたいと思って挑戦したが、最初の数ページでものすごい抵抗力に押し返され、以後、とにかく最後まで読み切ることが目標になった。

    この腐臭を放つようなナルシシズムに息を止めながら、どうにか最後まで読み切った。

    佐伯彰一という人(どんな人か知らないけど名前だけは聞いたことがある)が解説で書いていた一節が、一部、自分の思ったこととまったく同じだったので引用する。

    「三島は、普通の意味でもじつに頭脳明晰、かつ理詰めな構成家、論理家であったが、とくにその評論を読み、座談に接していて、法科論理という感じを受けたことが幾度もあった。……その手腕の鮮やかさにおどろきながら、一切が余りに三段論法に割り切られすぎている。肝心の対象そのもののうちからくみ出されたというよりは、予め用意された論理の物さしによる裁断という不満もおさえかねたのである」

    そう、まず形式がある。まるで腐臭にふたをするためであるかのような型がある。そして表現はわりと陳腐。この陳腐さが"仮面"ということなのだろうか。
    ともかくそのような文章が延々3分の2くらい続く。率直に書くと苦痛でしかなかった。

    嫌になってくると、三島の文体にだけ注目して文字をたどったのだが、何となく既視感があった。それで思い当たったのが、19世紀後半から20世紀前半に書かれたフランス語の文章だ。

    特徴としては、例えば、il est 形容詞 que……で始まり、1文が長々と続き、ときに仮定法を多用し、比喩も多く(comme〜)、そしてよくあるように、ある名詞を修飾する形容詞が3つセットで用いられる(三島はナカグロを使ってそれを連ねるのが特徴)。

    三島の小説がフランスでわりと受け入れられた理由のひとつはここにあったのか!と膝を打った。三島の作品を逆にフランス語に移し替えても何ら違和感はない。

    この三島の文体は、この当時のフランス語の、とくに饒舌な文章を日本語に移し替える際に、理想的な文体だと思った。本書を翻訳書と想定して読んだ場合、非常に文章は巧い。ここは参考にできそう。

    あと2点わりと良かった点を挙げるなら、
    敗戦前後の様子にまつわる明晰な描写は文字通りリアルで読ませた。
    それから、前半3分の2はカットしたい気持ちだけど、終盤になってようやく動きが出てくる。ここもようやく、小説が始まった、という感じがした(と思ったらすぐに終わってしまうのだけど)。

  • 女性に興味を持てず、男性に心を動かされ、特に若い男性の腹部の出血に強烈なフェティシズムを覚える。率直に言えば、相当にグロ。
    でも、それをグロと感じさせない言葉の芸術。ここまで言葉で表すことができるというのはどういう感覚なんだろう。
    ここまで表すことができてしまったら、何か別のものが見えてくるのでは。この小説の場合、それは悲しみとか絶望感とか、何かネガティヴなもの。重く暗い空気をまとった、美しい言葉の芸術を読みながらそんな思いに囚われた。

  • 三島文学をビシビシ感じる作品。最後の園子との会話と空気感はとてつもない人間性を感じ、こぼれた飲み物が、ぎらぎらと反射するという表現が頭にこびりついて離れない。

  • すごすぎて、僕には理解できませんでした。
    ただ一つ分かったことは、三島由紀夫ほど繊細で、孤独で、情熱的な作家はいないという事です。誰にも真似できない唯一無二の作品だと感じています。

  • 三島作品2作目です。金閣寺よりはいくらか読みやすかったです。
    金閣寺の時も思いましたが、情景描写や心情描写が事細かに描かれているためか、心の奥深くまで抉られる感じがしました。時代が時代なら許された(この言い方はあまり適切ではないかもしれない)かもしれない彼の持つ性的指向には、身体美を持つ男性に思わず目が釘付けになる描写からも心にくるものがあり、いっそのこと戦争で死んでしまうことを願いそれを希望としていた彼にとって、終戦は復興への希望ではなく絶望の始まりだったのではないかと思ってしまい、その社会との対比構造がエグいなと思ってしまいました。

  • どうやったらこんなに豊富に言葉が出てくるんだろうと思いながら読んだ。本当に頭が良い人だったんだな〜。
    あとはやっぱりすごくナルシストみを感じる。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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