- Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104423
感想・レビュー・書評
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この長い長い物語もようやく三巻。元大本営参謀の壱岐正は商社マンとしてメキメキと頭角を現し、わずか7年で常務に昇格という異例の出世を遂げる。しかし、次期社長と目される里井副社長との軋轢など、急激な出世は周囲との摩擦を引き起こす。この巻で壱岐の手がけた仕事は千代田自動車とアメリカのフォーク社との提携の仲立ちをする事。商社マンにとっては人脈が大事で、壱岐と里井はそれぞれの人脈を駆使し、仕事をリードしようと競争する。
商社の世界は命がけで恐ろしい。この巻の後半で里井副社長が激務で倒れるのだが、それでも仕事をしようとする、その執念は何だろう? 壱岐にしても、24時間仕事の事を考え自らを酷使している。現在の商社マンもそうなのだろうか?
高度成長期の日本経済を写し出したような作品と言えるかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヤバい、面白い。
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「不毛地帯(3)」山崎豊子
社会小説。ビビッドなネイビー。
冷静辣腕、商社での地位を登り詰めて行くこの展開はなんだろうと思ったら、島耕作ですわ。読んだことないですが。
もちろん本作の方が先で毛色も違うでしょうが、サラリーマンの心を掴むビッグなストーリーにページを繰る手が止まりません。
しかし、それに反するタイトルの「不毛地帯」に、商社マンの淀みを感じ始めていく…。(4) -
波乱万丈(・_・;
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ますます激しくなる社内抗争に巻き込まれるなかで大切な支えを失って、揺らぐ気持ちと、、、
アメリカ近畿商事社長になった壱岐
権力とお金、 -
さすが山崎豊子だね。
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読めば読むほど気分が悪くなり、途中で吐きそうになってしまいました。こういう泥臭いのは、どうも苦手です。
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千代田自動車との提携に纏わる話。
加速する提携談、それを妨げる動きの中で、副社長里井との確執、妻の死、ニューヨーク駐在など新局面を迎え、人間ドラマが色濃くなっていく。 -
近畿商事を重工業化路線へ転向したい壹岐と、繊維部門の地位を保持したい里井副社長。
2人の溝はますます深まるばかり。
そんな中、近畿商事の取引先である千代田自動車に提携の話が持ち上がった。
相手はアメリカビッグ・スリーの1つであるフォーク(フォード?)。
アメリカの自動車が上陸すれば日本のメーカーは1たまりもなく食いつぶされてしまう可能性があり、交渉は容易に進まない。
当時(1970年代)、自動車産業の資本自由化について自動車メーカー、商社、ならびに通産省がいかに頭を悩ませていたかというのがよくわかった。
この巻では、壹岐の妻・佳子が交通事故のため亡くなってしまう。
しかもそれは、壹岐が秋津千里に対して心を揺らしていることを妻に見咎められたことが原因になった。
ドラマを見ていたとき、和久井映見さんの演技すごくいいなあと思っていたので、あまりに突然死んでしまったのがショックだった。
壹岐は、妻を失ったのを機にニューヨークへ駐在することを決め、アメリカ近畿商事に社長として赴任することとなった。
フォードと千代田の提携交渉は、フォードの出資比率を何%にするかで折り合いがつかず、難航を極める(フォーク側は、重要議案について発言権を確保し得る33.4%の持株比率を要求。一方の千代田は、そんなことをされると会社そのものをフォードに乗っ取られてしまうので、出資を20%までにとどめたい)。
しかし、交渉が最終段階に入ろうかというとき、副社長の里井が狭心症のため倒れてしまう。
出張の多い商社マンにとって病気に神経質にならなければならないことは大きなハンディキャップになる。
壹岐にナンバー・2(=次期社長)の座を奪われたくない一心から焦る里井副社長。
岸部四郎さんはこの里井という人間を本当に上手に演じておられたなあと改めて思った。 -
壱岐正の急な出世にはフィクションぽさを感じるものの、商社というビジネスの血なま臭さ、そして一つの商戦を高い抜くには清廉潔白ではいられない、という現実には非常に共感を覚える。