歪んだ複写 税務署殺人事件 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1966年7月4日発売)
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感想 : 18
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  • 本 ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109107

感想・レビュー・書評

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  • 作者の徹底した権力者(強者)への反骨精神が窺える気がする作品だった。作者の松本清張氏が新聞記者であったことも関係していると思う。
    私が松本清張作品を好きな理由に、推理小説でありながら「なぜ事件は起きたのか?」という動機に重きをおいて終始描かれているという点が挙げられる。あとがきにあった文学は「人間を描く物」という言葉が印象に残っている。凝ったトリックよりも、一人の人間を凶行に至らしめたその過程を読むのが好きなんだろうなと気付かされた。

  • 最後まで意味不明だった『カイダン』がポイントと分かり、意外な展開にちょっと驚きです。

  • 2024年10月28日読了。武蔵野の雑木林で見つかった腐乱死体。新聞記者たちは死体の身元を追ううちに、税務署の腐敗の現状と事件の真相に迫り…。武蔵境・深大寺・雪谷など自分もよく知る地名が多く登場するのが楽しい。しかもどの地も雑木林の中にまばらに人家が点在している様子。新聞記者も警察もタバコと新聞の油のにおいにまみれた昭和臭がたまらない!事件の真相につながる税務署と企業の癒着のメカニズムの説明はさすが社会派の著者ならでは、と感心するが、あとがきにもある通り横井のもったいぶったメッセージと死はさすがにミステリを盛り上げるサービス精神ありすぎではないか…。

  • 昭和34年から雑誌に掲載された作品。税務署と脱税・減税を求める企業との癒着体質が、殺人事件の背景ある。事件を追うのは、若き新聞記者。当時の大蔵官僚の昇進ルート、若手税務署長着任も、ポイントとなっている。

  • ★★★2021年5月★★★


    税務署の腐敗と、出世争いの闇に深く切り込んだ作品。
    いつものことながら、松本清張の作品からは昭和が感じられる。
    まだ自家用車が普及していなかった事や、個人情報が気軽に交換されていた事、武蔵境はまだ田舎扱いだった事など。
    東京の土地勘をもっていれば、より楽しめる作品だと思う。
    「深大寺」が登場したのにも、「おっ」と反応した。


    作品の内容として、税務署の職員が所轄の企業から接待で豪遊をし
    それでその企業の脱税を見逃したり手心を加えたりする「腐敗」がテーマ。
    新聞記者の田原典太が追及する。
    これはフィクションだから、実際にこのような腐敗が横行していたとは思わないが、迫力のある筆遣いで迫ってくる。新聞社同士の競争や警察との駆け引きも見ものだ。
    犯人は「きっとこの人かな」と思われる人がやはり犯人だった。

  • 読了するのに多大な忍耐を要する作品であった。作者の高学歴コンプレックスのようなものがありありとうかがわれ、もはや私怨の小説のよう。


  • 描寫稅務署地方小吏靠著徵稅特權表面假指導真斂財的故事。那種四處找公共電話,拍照要請攝影師的年代,雖然才是幾十年前,突然變得好遙遠。

  • 身分証明書が「米の配給手帳」に時代を感じた。。
    あと、解説は先に読まないように。思いっきり犯人書いてます。

  • 悪いやつがいたもんやねー。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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