- Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101109190
感想・レビュー・書評
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平凡な日常生活にひそむ深淵の恐ろしさを描く7編短編集。
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「天城越え」は映画で、「証言」はラジオの朗読で知った。人に言えない秘密をもっているものだが、暴かれる不安、葛藤が鋭く表現されている。清張作品の真骨頂とも言える一冊。13.1.1
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7月の7冊目。今年の97冊目。
いやー長かった。700頁以上あります。こんだけ清張さんの文章が続くとそれなりに疲れます。ただ面白かったです。長めのやつより短めのやつの方がよかったかな。長めのやつは読みごたえがあるんだけど、先が読めちゃってね。いろいろ設定は細かいんだけど、「結局こうなるんでしょ?」っていうのが先にあるから、ちょっとやっつけ的に読んじゃったかな、長めのは。一気読みよりかは、1週間でじっくり読むほうが良いのかな。 -
今は亡き松本清張の推理短編集。
長編作品は『砂の器』や『点と線』『ゼロの焦点』など、
読み応えのある推理小説が数多くありますが、
ファンとして忘れてならないのはこの短編集だと思います。
淡い恋心を踏みにじられ衝動的に起こした殺人『天城越え』や、
綿密な計画をたて相手にストレスと疲れを与え、
山での遭難にみせかけた殺人事件『遭難』をはじめ、
『証言』 『坂道の家』『紐』 『寒流』 『凶器』 etc。
今読み返してみても、どれもこれも
人間というものの弱い心理が浮き彫りにされた小説ばかりです。
しかも事件の発端から、
登場人物の心の動きが手に取るように描かれていました。
派手なアクションや武器もないこの推理小説集には、
物的証拠と地道な聞き込み調査で
気長に事件を捜査する刑事達が登場します。
さすがに新聞記者出身の作者は、
事件のトリックやアリバイも描写が細かい。
現場を見て推測する刑事達にも親しみがもてるのです。
小説の中の小道具や背景も懐かしい。
作者が全盛期だった
「昭和」の時代そのものがたっぷりつまっています。
そういえば、もし「平成」の世に松本清張がまだ生きていたら、
彼はどんな推理小説を書いたでしょう。
ダイヤル式黒電話はなくなり、
刑事たちの連絡方法は、片手で操作するスマートフォン。
時刻表を見比べてで綿密にたてていたアリバイは、
携帯やPCのナビゲーションソフトで簡単にできてしまう。
極めつけは、証拠物件のDNA鑑定で、すぐさまわかる被害者や犯人。
現代はスピーディーな事件の解決が臨めるのです。
今はそういう事件をもとにした推理小説も多数あり、
それはそれで面白いのですが、時には
事件関係者の心理や犯人捜しをじっくりと書き綴った、
職人わざの「和菓子」のような推理小説が読みたくなります。
松本清張の平成版推理小説、読んでみたかった・・・。
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執念とは恐ろしいもので・・・。
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人間の業による様々な罪を、どこかあきらめからくるやさしさにも似た客観的な視線でひも解き綴る短編集。素晴らしかった。
「遭難」「坂道の家」が特に印象的。 -
「天城越え」が入ってるのはこれか。黒いなあ…
登場人物が容赦なくぼっこぼこにされる作品に、気分が暗くなる。
救いがないというか。 -
全ての短編がスリリング。
結末は最後までわからない。
昭和の風俗(まじめな意味)の勉強にもなる。
面白かった。 -
なんだか有名な気がスル「天城越え」はこちらの短編集に収録されてますね
私のお気に入りは最後の「坂道の家」
ネチッとしたお話だけれど、松本清張作品の中でも5本の指に入る位に好みのひとつ
男にとっても、女にとっても、なるべくしてなってしまったような結末を最後の台詞でぐっとしめていて印象深い
殺人をおかしてしまうまでの過程を特に【男と女】と【特別ではない何気ない生活感たっぷりの日常】にしぼり描き出している、松本清張作品の新骨頂のような短編集 -
一つ一つはおもしろんだけど、
短編集、集中力がつづかない…。