日常生活の冒険 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.64
  • (15)
  • (20)
  • (28)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 192
感想 : 20
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101126067

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (1971.09.27読了)(1971.08.23購入)
    (「BOOK」データベースより)
    たぐい稀なモラリストにして性の修験者斎木犀吉―彼は十八歳でナセル義勇軍に志願したのを手始めに、このおよそ冒険の可能性なき現代をあくまで冒険的に生き、最後は火星の共和国かと思われるほど遠い見知らぬ場所で、不意の自殺を遂げた。二十世紀後半を生きる青年にとって冒険的であるとは、どういうことなのであろうか?友人の若い小説家が物語る、パセティックな青春小説。

  • こんなに衝撃を受けた作品は無いってくらいすごい

  • 「洪水は我が魂に及び」と同じく、最後でぐわっと持ってかれました。
    冒険なんて言ってイキがってフラフラして、本当にどうしようもない、他人を「自己欺瞞のかたまりだ」なんて非難しておいて実は自分もそう。
    そんな犀吉からどうしても離れられない主人公。
    どんどん自滅していく犀吉。
    転がり落ちるように日常生活が崩れていく様が素晴らしいです。

    犀吉と一緒にヨーロッパに行った少年の、旅立ちのときとの母親とのやり取りが、もう一日暗い気分になる程いやぁなシーンでした。

    10.02.18

  • 冒険的に生きる 何を選び 何を捨てるか

    危険の感覚は失せてはならない。
    道はたしかに短い、また険しい。
    ここから見るとだらだら坂みたいだが。
    それじゃ、さよなら、ともかく全力疾走、そしてジャンプだ、錘のような恐怖心からのがれて!(本文引用)

    選書:川島

  • 1人の主人公の劇を見ているみたい。
    あぁ、駄目だ駄目だって思いながらも物語は進む。

    斎木犀吉が悲しすぎる。
    彼みたいな生き方はとてもしんどいように思えます。
    いちばん倖せだったのは
    卑弥子と暮らしていたときやったんやろうか。
    ずっと倖せじゃなかったんかな。
    それともずっと倖せだった?

    「ぼく」みたいな人物が斎木犀吉みたいな人物に惹かれる。
    というのはすごく当たり前、
    というか、ありそうなことだと思った。
    でも斎木犀吉だって「ぼく」に惹かれているんやなぁ。

    隣の芝生は青い。ということなのか。

    みんながだんだんと(精神的に)大人になって、
    犀吉から精神的に離れていくというところがつらかった。
    精神的に離れてしまうと、それが物理的な距離、
    つきあいの距離にも表れるんやなー

    犀吉みたいな男の人に惚れると、
    女の人はとてもとてもつらいと思いました。

  • 大江健三郎デビュー。
    なんでこの人がノーベル賞とったのか?ずっとわからず気になってた。俺がモノを知らなさ過ぎるだけかもしれないけど、広く世に知られるような名作ってそんなにあったっけ?とゆー。直木賞てすごいんだろけど直木て誰?みたいな。
    しかしよかった・・・。とてもよかった。。。
    オススメです。

  • ちょっと後でちゃんと書きます

  • 斎木のモデルは故伊丹十三であったとか。高校の時に伊丹十三と知り合う。1960年、伊丹万作の長女ゆかり(伊丹十三の妹)と結婚。1994年ノーベル文学賞受賞。

  • 2006.1/6

全20件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大江健三郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×