- Amazon.co.jp ・本 (473ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101126067
感想・レビュー・書評
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(1971.09.27読了)(1971.08.23購入)
(「BOOK」データベースより)
たぐい稀なモラリストにして性の修験者斎木犀吉―彼は十八歳でナセル義勇軍に志願したのを手始めに、このおよそ冒険の可能性なき現代をあくまで冒険的に生き、最後は火星の共和国かと思われるほど遠い見知らぬ場所で、不意の自殺を遂げた。二十世紀後半を生きる青年にとって冒険的であるとは、どういうことなのであろうか?友人の若い小説家が物語る、パセティックな青春小説。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんなに衝撃を受けた作品は無いってくらいすごい
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「洪水は我が魂に及び」と同じく、最後でぐわっと持ってかれました。
冒険なんて言ってイキがってフラフラして、本当にどうしようもない、他人を「自己欺瞞のかたまりだ」なんて非難しておいて実は自分もそう。
そんな犀吉からどうしても離れられない主人公。
どんどん自滅していく犀吉。
転がり落ちるように日常生活が崩れていく様が素晴らしいです。
犀吉と一緒にヨーロッパに行った少年の、旅立ちのときとの母親とのやり取りが、もう一日暗い気分になる程いやぁなシーンでした。
10.02.18 -
冒険的に生きる 何を選び 何を捨てるか
危険の感覚は失せてはならない。
道はたしかに短い、また険しい。
ここから見るとだらだら坂みたいだが。
それじゃ、さよなら、ともかく全力疾走、そしてジャンプだ、錘のような恐怖心からのがれて!(本文引用)
選書:川島
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1人の主人公の劇を見ているみたい。
あぁ、駄目だ駄目だって思いながらも物語は進む。
斎木犀吉が悲しすぎる。
彼みたいな生き方はとてもしんどいように思えます。
いちばん倖せだったのは
卑弥子と暮らしていたときやったんやろうか。
ずっと倖せじゃなかったんかな。
それともずっと倖せだった?
「ぼく」みたいな人物が斎木犀吉みたいな人物に惹かれる。
というのはすごく当たり前、
というか、ありそうなことだと思った。
でも斎木犀吉だって「ぼく」に惹かれているんやなぁ。
隣の芝生は青い。ということなのか。
みんながだんだんと(精神的に)大人になって、
犀吉から精神的に離れていくというところがつらかった。
精神的に離れてしまうと、それが物理的な距離、
つきあいの距離にも表れるんやなー
犀吉みたいな男の人に惚れると、
女の人はとてもとてもつらいと思いました。 -
大江健三郎デビュー。
なんでこの人がノーベル賞とったのか?ずっとわからず気になってた。俺がモノを知らなさ過ぎるだけかもしれないけど、広く世に知られるような名作ってそんなにあったっけ?とゆー。直木賞てすごいんだろけど直木て誰?みたいな。
しかしよかった・・・。とてもよかった。。。
オススメです。
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ちょっと後でちゃんと書きます
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斎木のモデルは故伊丹十三であったとか。高校の時に伊丹十三と知り合う。1960年、伊丹万作の長女ゆかり(伊丹十三の妹)と結婚。1994年ノーベル文学賞受賞。
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2006.1/6