広告みたいな話 (新潮文庫 あ 30-1)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101129112

感想・レビュー・書評

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  • 2007年以降全く借りられていないにも関わらずタイトルの「みたいな」に惹きつけられて手に取った、この本に出逢うまで、恥ずかしながら、「天野祐吉」という偉大な方のことを全く知らなかった。と同時に、周りの知識に影響されず直感でこの方に出逢えたのが非常に嬉しかった。読んでいくにつれて、なんやこの文章は。と圧倒されつつ、こういう文章を書ける人が ほんとの物書き なんだろうなぁと感じた。つまり、数あるストックされた知識の適材適所を行う才能を持つ人、といった感じ?「無重力」や「言文一緒」、「カフェバー」の考え方が 今でいう禿同 に値するものばかりで、2時間で読み終わってしまった。また読みたい。

  • 天野祐吉さんの突然の悲報には驚いたのであります。最近までテレビでも拝見し、わが家で購読する新聞紙上でも、CMについての連載を続けてゐたといふのに。
    実は、筑紫哲也氏亡き後、判断に迷う問題などの羅針盤として密かに頼りにしてゐた人でした。大衆に分かりやすく、ユウモワも交へつつ、実は深い問題を突つ込んで、なほかつ権力にも迎合しない。カッコイイ人だなと感じてゐただけに、まことに残念であります。

    『広告みたいな話』は、文字通り得意の広告の話かと思つたら、広告の話はほとんど出なくて(だから「みたいな」と入つてゐるのか)、五つのキイワードから現代を読み解いてゐる本であります。

    まづ「無重力の時代」。新人類ブーム、遊園地ブーム、温泉ブームから無重力感を感じる理由を述べてゐます。新人類なんてのは時代を感じさせます。
    続いて「言文一緒の時代」。言文一致ではないさうです。現代の書き言葉に元気がなく、危篤状態であると指摘します。ニュース原稿の「書き言葉」振りは、その後ますます拍車がかかつてゐるのではないでせうか。
    「カフェバーの時代」では、天野流カフェバー入門が開陳されます。カタカナ職業の人たちが中心の世界ださうです。カフェバーの客がみな、なぜサメた表情をしてゐるのかを考察してゐます。
    続く「ハンフリーの時代」。ハンフリーとは外来語ではなく、半分フリーの人たちを省略した天野さんの造語でした。精神的にはハンフリーの人は、現在相当数に上るでありませう。
    最後の「テレビの時代」では、突然マクルーハン論が始まり戸惑ふのですが、これが中中面白い。短いブウムで終つてしまつたが、天野さんはマクルーハンからテレビの見方をいろいろ教はつたさうです。

    巻末に多田道太郎氏との対談も収録されてゐて、まことにお得な一冊と申せませう。
    かうして見ると、我我は改めて惜しい人を失つたことが分かります。
    改めてご冥福を祈るものであります...

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-134.html

  • 天野さんの語り口は軽妙だけど、もっともらしい。
    もっともらしさが、うそだったりもする。
    このおじさんと知り合いになりたいなーと、
    そんな思いで読みました。

    講演、きいてみたかったです。

  • 人生の極意は浮遊感覚。

  • 090415(n 090719)

  • 言文一緒

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著者プロフィール

天野祐吉(あまの・ゆうきち)
コラムニスト。1933年東京生まれ。1979年に「広告批評」を創刊。2009年同誌終刊後、「天野祐吉作業室」を設立。主な著書に『広告論講義』(岩波書店)、『広告五千年史』(新潮選書)、共著に『広告も変わったねぇ。』(インプレスジャパン)、『可士和式』(天野祐吉作業室)など。

「2012年 『クリエイターズ・トーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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