つゆのひぬま (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134192

感想・レビュー・書評

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  • 切ないと言うより、酷なくらいの哀しみの中に
    ほんのひと握りの、奇跡に近い希望を残して終わる短編集
    もう少しだけ若い時に読めば、情感溢れていいなぁと思えたのだろうか?
    今の私にはちょっと辛いかなぁ
    上手いし面白いけど
    続けて読むにはメンタル的にしんどい

  • 山本周五郎の短篇小説集『つゆのひぬま』を読みました。
    ここのところ、山本周五郎の作品が続いています。

    -----story-------------
    深川の小さな娼家に働く女“おぶん”の、欺かれることを恐れぬ一途なまごころに、年上の“おひろ”の虐げられてきたがゆえの不信の心が打負かされる姿を感動的に描いた人間賛歌「つゆのひぬま」。
    そのほか、江戸時代を舞台にした作品7篇に、平安朝に取材し現代への痛烈な批判をこめた「大納言狐」、現代ものの傑作「陽気な客」を加え、山本周五郎のさまざまな魅力を1冊に収めた短篇集。
    -----------------------

    1945年(昭和20年)から1956年(昭和31年)に発表された9篇が収録されています… 初めて読む作品ばかりでした。

     ■武家草履
     ■おしゃべり物語
     ■山女魚
     ■妹の縁談
     ■大納言狐
     ■水たたき
     ■凍てのあと
     ■つゆのひぬま
     ■陽気な客
     ■解説 木村久邇典

    山本周五郎の作品にしては、まずまずでしたね… そんな中で、、、

    人間的には誠実で一徹だが未熟さもある青年武士の成長が暗示される『武家草履』、

    驚嘆すべき口舌の才能に恵まれた少年が、寡黙で政治に無関心な藩公の眼を、その弁説で藩内の政争に向けさせて争いを終結させる『おしゃべり物語』、

    愛妻に浮気を薦めるという歪んだ展開から、行方不明になった妻を探すというミステリ的な展開に変化し、亭主の悔恨や妻の魅力的な人柄が印象に残る『水たたき』、

    娼家に働く女の一途なまごころに、虐げられた不信の心が打負かされる姿を感動的に描いた『つゆのひぬま』、

    の4篇が印象に残りました。

  • 亡父の蔵書より。
    初山本周五郎。氏の名は作家としてよりもネスカフェのCMでまず耳にした。

    かつてはなにがあろうともこの種の作品を手に取るような読み手ではなかったが、機会があれば読むくらいの活字廃にはなったようである。
    近頃強いて読むようにしてみた文学作品も、題材そのものには興味がなくとも、文章の美しさやおもしろさで惹かれることもあると知った。本書も、そのように読めた。

  • 読み終わってからすぐに感想書かなかったせいもありますが、ほとんど印象に残ってない。。。

  • 昭和二十年初頭から三十年初頭にかけての周五郎の作品集です。
    周五郎さんが大きく脱皮するのが二七年頃といわれていますので、それを挟んだ数年になります。幾つかの作品は脱皮前とは言うものの、その中でも優秀な作品が選ばれているのでしょう、全体としての質は高く感じられます。
    とはいえ、やはり後ろに行くほど、例えば”水たたき”などの作品は、構成も複雑で、物語としての深みは増すようです。

  • 武家草鞋
    つゆのひぬまが好きでした。ハッと気付きのある物語です。短編で展開がはやいのでどれも読みやすいです。

  • 「武家草鞋」「つゆのひぬま」がよかった。「つゆのひぬま」は、昔吉永小百合と長谷川裕美子、松山政路というキャストでドラマになっていて、それをCSでみて読んでみた。

  • 戦後から、昭和30年をすぎた頃の作品。この頃の作品はおもしろく、良くできている。「武家草鞋」「凍てのあと」「つゆのひぬま」が良かった。13.5.9

  • 就職してじっくり小説読む暇もなくなってから、
    すっかり周五郎の短編ばっかり読んでます。

    古本屋で順番も気にせず適当に買ってきてるんだけどどれ読んでも面白い。

    今回読んだ中では「妹の縁談」が良かった。
    前に読んだ「おたふく」と同じ話で男性から女性に視点を変えたお話。

    冷静と情熱のあいだみたいな。あれは青しか読んでないけど。
    好きな話だったから別視点の話が読めたのは嬉しかった。

    武家もの、町人ものいろいろ入っててバランス良くまとまってました。
    ただ、やっぱ周五郎の現代物はあんまりハマらない。
    歴史ものの中で浮いてるからだとは思うんだけど何でかなー。

  • しっとりしていて、好きだなぁ。うまい。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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