ぼくはこうして大人になる (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101139517

感想・レビュー・書評

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  • 素直に面白い。
    読んだ後に題名にもどるとどこかずっしりと来るものがある。
    「ずっと誰かに甘えたかったんだ」という所は切なくなった。
    知らなかったことを知って、ショックを受けて、わからなくて落ち込んで、解決したわけではないのだけれど、いい意味で今まで気づかなかったことにも気づけて、なんとか前を向いて、生きていけるような気がする。こうして大人になっていくんだ。

  • 海辺の田舎町に暮らす中学3年生の主人公。
    年の離れた姉兄に”女の子”と思い込まされ幼少期を過ごしたせいで、自分は歪みのある人間だと思っている。

    頭がよく落ち着いていて、人が嫌がることでも進んで引き受ける誰もが一目置く優等生。
    そんな彼の世界を壊す者として、東京からの転校生が登場する。
    田舎になじまず、同級生に反発する転校生のせいで穏やかだった日常は不均衡となり、修学旅行で様々な事件が起こる。

    異分子に虚構の世界を壊されることで主人公が成長を遂げるというありがちな筋ながら、使われる語彙と独特の文章表現でなんだかファンタジックである。

    思春期の自意識過剰なキャラクタたちがリアルで鮮明。伏線も綺麗にはられている。
    同性愛の要素が物語を支配しているので、これが受け入れられないなら読む必要はないなと思う。やっぱり耽美。
    ふと、中高生を主人公にした物語って、魔法か同性愛の要素でもなければ物語のテンションを保てないのかも、といまさらに思う。

  • 爽やかな世界でした。
    キスの表現も、とても美しかったです。

    七月が気になって仕方なかったのですが
    「かまってほしかったからさ。
     探しに来てくれるとおもっていたのに、」で
    落ちました。
    もう、駄目...!

  • 主人公が好きすぎてどうしていいのか。ストイックだけど脆いというのはずるい。

  • 長野まゆみさんの書く世界は透明。水のようだと思います。

    透明過ぎて、見たことのないような言葉の数々に戸惑い私は何滴か溢してしまった気がします。今読み直せば、全部掬って飲み干せるかもしれない。

    その中で「ぼくはこうして大人になる」は最後まで溢さず読めた方です。メインの二人のもだもだ感と、何気に亜細亜との絡みが好きでした(笑)

  • 長野まゆみさんの文章と雰囲気が好きで、その中でもこの作品は傑作だと思います。
    図書館では最初と最後の数ページを読んで本を選ぶことが多いのですが、最後の数ページだけであんなに惹き込まれる作品は初めてでした。
    電子書籍はありますが、古い作品ということもあり、紙媒体として書店でなかなか見かけないのが悔やまれます…。

  • 再読。その昔、初期の長野さんの作品がとても好きでした。この本は内容を知らぬまま、懐かしい作者さんの名前に惹かれて手に取りましたが読んでみて唖然。最近、BLにはまっている私にはまさにストライクゾーン。内容だけではなく、文章が読んでいて気持ちよく、雨の匂いやシャツの肌触りが感じられるような所を何度も繰り返し読みました。

  • 思春期の男の子のすばらしさよ・・・

  • 好みに合わないと感じました。
    同性愛は嫌いじゃないが、舞台に靄がかかったようでうまく入り込めませんでした。修業がたりないだけだろうか。
    数年後読み返して感想が変わるかもしれません。

  • おおお・・・おお!

    と言うのが、感想です。(どんだけ)


    家族の話。嗜好の話。
    「中学生」という限られた時間、空間の話。

    「繊細にして傲慢、冷静にして感情的」というあらすじのコメントが一番しっくりきます。


    主人公イッくんがイッくんであるための多くが語られている。
    要領がいいというより、そうならざるを得ないという心理。

    私には想像することしかできないけれど、男の子はこういう思考をしているのか!ととても新鮮でした。
    この話、全員の性別が逆だったら全く違うものになるんだろうな。

    中学生ってそういえばこんな雰囲気だったなあと思い出されます。
    「こうなりたい!」という像がたとえあったとしても、持って生まれたものは仕方なく。
    その頃はといえば、血ではなく家に由来するものが多いのだな、と。

    ところで、私の中で七月はめちゃめちゃかっこいいんですが。実際のところどうなんだろう。
    (女子に人気がありそうという描写があるから、あながち間違いではないのだろうけど)

    彼らが大人になったら、きっとまた変わってしまうでしょう。
    若気の至り、となるかもしれない。
    それでも、脆くて強くて綺麗な一瞬を忘れたくない。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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