カルトローレ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101139524

感想・レビュー・書評

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  • 静謐な物語。
    航海日誌「カルトローレ」を解読するのが主人公タフィの仕事である。
    呪術、刺繍などのキーワードが絡みあい、浮かんでは消えるがごとく流れる印象を受ける。

  • 食べ物の表現が豊かで、日常にあたたかな印象を与えている。この不思議で綺麗な世界にずっと浸っていたくなる。

  • 食事の場面の表現がとても上手いので、読んでいるととてもお腹がへる本でした(/ω\)イヤン。深夜に読む場合は注意!登場人物達は深い問題を抱えているんだろうけど、それを全面にださない硬質な文章表現がとても気に入りますた。何か深いものを背負っているんだけど、表にでるのは淡々ともいえる日常。そのギャップがとても好きだなと思いました。おすすめ~

  • 読むとおなかがすく。よだれが出そうなくらい、食べ物が美味しそう。情景を想像して楽しむ小説で、ストーリーの方はふわふわーとしている。

  • 長野まゆみの描く「不思議」は好きだ。
    謎は謎のままで、世界がいくつも広がってゆく。

    いくらか露骨な性的描写が苦手で、何年も長野まゆみの作品から遠ざかっていた。
    この『カルトローレ』には露骨な描写がとても少なくて、読みやすかった。

    砂漠の中の一軒家で本の研究をする少年、
    水をの位置を探る能力のある遊牧民の子供、
    中央から派遣された役人に、身元不明の青年。
    少しずつ、主人公の世界が広がってゆく。
    忘れられた過去あり、多少不穏な未来あり。

    手元において、少しずつ読み返したい作品です。

  • 砂漠が「清潔」だ、と云ったのは誰だっけ?
    昔の誰ぞのセリフを思い出しながら読んでいました


    そんなにページ数のある作品ではないのですが
    いつものペースで読んだらなんだか砂が指の間から零れてしまいそうな
    もしくは大切だった何かが風化してしまいそうな
    そんな感覚に陥りそうな繊細な世界でした


    話し言葉が「 」で括られていないと
    こうもテレパシーのように脳みそに直接語りかけられたような気分になるのかしら
    「テレパシーのように」って体験したことも無いものの例えもどうかと思うけど



    ずっと遠い未来
    地球が干上がった(?)あとの話だと
    思っていますが
    そんなに遠い未来での
    人間の日々の営みと
    悠久のとき的な世界が
    あって
    冒頭からなんだかうっとりでした


    こういう、個とか性とかそういういろんなものの境界があやふやな世界に弱い
    「言葉も形を失う」
    みんないずれは風化しちゃうんでしょうか


    出てくる食べ物だの飲み物だのが本当に美味しそうで
    沙(すな)に埋もれそうな世界で
    豆一粒が宝石のように感じられる


    もっと丁寧な生活を心がけようと思う



    久しぶりに手元に置きたいと思った一品
    (図書館で借りてます)

  • 結局ラストまで読んでも、謎は謎のまま~~。
    人々の関係性も進展してるような、そんなことないような??な状態で終わります。
    でも、それでいい。
    いろいろ想像を膨らまして楽しむもの、と思って読む方がいいと思う。
    すっきりきっちりしたい人には全くおすすめ出来ない本。

    途中に出てくる食事や、衣装がほんとに目に浮かぶようで、読んでいて匂いまで感じそうなくらいだった。
    とにかく豆のスープを食べたくなる本(笑)
    この本を読んでしばらく豆スープブームだった。

  • やっと見つけた、文庫版。
    読みたいのになかなか見つからなかったのでやっとこさ。
    後半に差し掛かっているのですが、年内に読み終わるかなー。
    やっぱり、レモンパイを食べてみたくなるのは前回読んだときと変わりません。

  • とても冒険的な話かなとおもったら、非常にゆったりとした穏やかな話でした。この世界のどこか遠くのような別の世界の話のような行ったりきたりしている感じです。主人公のタフィについては、自分というのが分からないと自覚しておりながら、まぁ別段困ることじゃないと投げちゃうあたりが主人公それでいいのか!と驚いたり。しかし、周りにより投げていかれなくなって自分でも探します。このゆるゆる感が全体としてありました。謎が沢山あるので、読んでいる側としては早く真実が知りたいと思い模索するのに対し、そのうちあちらからひょっこり顔出すさと登場人物達はマイペース。この温度差が以外にも何を焦っているんだろうと落ち着く。
    後半になると、コリドー、ワタ、エルジン、そしてタフィの四人の不思議な関係性がとても面白いです。エルジンにはよく笑わせられました。一番謎を持ってるくせに(笑)エルジンは初め敵側な感じで、気にもとめなかったのですが、後半の怒濤のエルジン節(?)が何こいつ結構面白いじゃんと可愛くみえました。エルジンの恋模様(?)がいい。
    ワタには初めから気に入ってました。全部にいえることですが、彼の身体や衣服の表現がなんとまあ想像を掻き立てること。こんな少年に会いたいなと思ったりもしました。
    一気にザクザク読んでいくよりちまちまと人や自然の表現を味わって読んでほしい作品でした。

  • 久しぶりに上質のファンタジーを読んだ感じ。

    長野さんの文章はさらさらと透明できれい。
    生活の表現が丁寧。


    でもやっぱりすっきりしない。
    続編が読みたくなる。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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