- Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101146065
感想・レビュー・書評
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2020.9記。昔の読書掘り起しメモ。
忘れたくても忘れられない短編。
曽野綾子「長い暗い冬」。
いや、残暑厳しい折になんですが。
今でこそ固定ファン向けの生き方本ばかり出していて残念な曽野綾子であるが、本来はクッソえぐい内容の物語を平気で書く闇深系小説家なのである。
そして個人的にはこの短編が最強最悪だと思う。
どこで読んだか、インパクトがありすぎていまだほぼ暗唱している筒井康隆氏の書評。
「、、、そのとき私は畳に寝っ転がって読んでいた。最後の一文を読み終わるなり正座した。悲しいし、かわいそうだし、こんな物語を考える著者の頭の中はどうなっているのかとしばらく寝られなかった」。
短編集「華やかな手」に収録されているのだが、なんと絶版らしい。そんなバカな。
なぜ私の手元にあるかと言うと、大昔に祖母の書棚から失敬してきたからである。もう30年以上前のことであろう。
ただただ孫たちを溺愛し、無邪気なまでのクリスチャンであり、のんきでおだやかな祖母であった。
いろいろ苦労はあったろうが、そこそこ暗い小説を愛読しながら明るく元気に生きた祖母をふとした折に懐かしく思い出す。
いいからあらすじ書けよと言われそうだが、筒井康隆が恐怖小説アンソロジーを編纂するとき、「曽野綾子の『かちかち山の話』だけは絶対入れよう」と思った、というエピソードを紹介するにとどめることにする。筒井氏も正式なタイトルは思い出せなかったようだが、「かちかち山」で読んだ人なら、あーあれか、こわー、となる。
かちかち山の長い暗い冬。
トラウマ覚悟の方にお薦めです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
華やかな手 / 初出 文藝春秋 1961年5月号
競売 / 初出 小説中央公論 1962年1月号
佳人薄命 / 初出 オール讀物 1962年11月号
長い暗い冬 / 初出 別冊宝石 1964年2月号
ただよう小舟 / 初出 婦人公論 1966年10,11月号
幸吉の行燈 / 初出 別冊小説現代 1967年1月号
ひとりだけの哀しみ / 初出 別冊文藝春秋 1970年3月号
暁の水葬 / 初出 小説サンデー毎日 1970年11月号
お家がだんだん遠くなる / 初出 小説宝石 1971年2月号
ママへの愛 / 初出 小説新潮 1973年2月号
解説 (進藤純孝)
カバー 三田恭子
デザイン 新潮社装幀室
カバー印刷 錦明印刷
印刷 錦明印刷
製本 錦明印刷 -
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/4101146063
── 曽野 綾子《華やかな手 197509‥ 新潮文庫》
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短編集なので一話が短くさらっと読めました。
しかし全体的に後味良くありません。ホラー系ではない怖さが残ります。“人の恐ろしさ”がテーマなのでしょうか…。
個人的に『競売』『幸吉の行燈』が好きでした。『長い暗い冬』が怖くて印象に残る。彼に明るい春はくるのだろうか…。
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p223「しかし今、幸吉は、自分が少なくとも、この世で、小山ゆきのためだけには存在の価値があるかも知れない、と感じた。」(幸吉の行燈)
この中では一番好きな話でした。一種のラブストーリーだなと思いました。献身的な愛に弱いです。
全体的に、世にも奇妙な物語みたいで映像化できそうな話だと思いました -
非常に私好みの短編集でした!ひとくちに世間とくくるには多様な無形の感情の塊、責任感・矜持・肉親同士の愛情、それらが四方に塞がったとき人間はなにを選択するのか。曾野綾子すごい。「長い暗い冬」が一番好き。
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【目次】
華やかな手/競売/佳人薄命/長い暗い冬/ただよう小舟/幸吉の行燈/ひとりだけの哀しみ/暁の水葬/お家がだんだん遠くなる/ママへの愛
(解説 進藤純孝) -
かなり古い本なのかな。
情景が古いんだけど・・・でも内容は古臭くない。
さすがは曽野綾子さんです
人の暗部を覗きこむような
そんな短編集です -
人間の裏側というか、深い部分が描かれている作品だと思う。
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切れ味よいです。激苦い。