燃えよ剣 (下) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1972年6月19日発売)
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  • 本 ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101152097

感想・レビュー・書評

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  • yukimisakeさんの『私はチクワに殺されます』のコメント欄で、ひまわりめろん師匠が私のことを『永倉新八』と書いて下さいました。

    が!
    私は新撰組を知らなかったのです。゚(゚´ω`゚)゚。
    永倉新八って誰!?何者!?

    これは絶対新撰組を読まねば!と思いました。
    yukimisakeさんがこの本を教えて下さいました(*´꒳`*)


    燃えよ剣、、、
    何処かで聞いたことがあったんです。

    そう、父が肺がんを患い、命も残り僅かという頃、母と私に
    『吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の燃えよ剣は捨てないでくれ。俺が死んでも残しておいてくれ』
    と言っていた本でした!

    つまり、実家に残っていたんです。
    登録したのは文庫ですが、父が残してくれた本は、箱に入った一冊の古い本でした。司馬遼太郎全集6と書いてありました。



    読み始めてそろそろ三週間???
    やっと読み終わりました。

    新撰組結成から、土方さんの最期まで、、、
    壮絶な物語でした。男性が読まれたら夢中になりそうなお話でした。



    師匠が近藤勇。
    なるほど、ブクログのリーダー的存在。
    ふむふむ、めっちゃ納得です。


    一休さんが土方歳三。
    うへっ!一休さん格好良すぎっ!
    めっちゃ格好良いです!
    近藤勇さんのことを一番分かっている存在。うん、この位置は一休さんしかありえない!


    雪さんが沖田総司。
    もうこれは本当に納得!
    雪さんは沖田総司そのものですね!
    明るくて強くて、近藤勇さんや土方歳三さんにめっちゃ愛されて。
    もう雪さんそのもの!


    で、永倉新八、、、
    二番隊長ですね!
    ってことは、私はポートガス・D・エースってことですね!?

    で結局永倉新八のことはよくわからないまま読み終わりました(^◇^;)

    強かった。永倉新八さん、強かった。
    でも人となりがこの本ではあまり描かれておりませんでした。

    またいつかきっと、別の新撰組の本に挑戦したいと思います(*´꒳`*)


    時間かかってしまいましたが、めっちゃいい本でした。
    土方歳三さんの生き様!格好良かったです!
    これぞ武士ですね(*´∇`*)

    • bmakiさん
      一休さん、ウルトラマンさん

      あ、そうでした。
      お布施にがめつい生臭坊主でした(笑)

      上司が女性、、、
      うん、どこかで読んだか...
      一休さん、ウルトラマンさん

      あ、そうでした。
      お布施にがめつい生臭坊主でした(笑)

      上司が女性、、、
      うん、どこかで読んだかも( ̄▽ ̄)

      うちの工場には、女性管理職がまだ1人もおりません(⌒-⌒; )
      他所の事業所ではちらほら出てきていますが。
      2025/04/25
    • 1Q84O1さん
      瀬戸内寂聴さんもお坊さんでした
      そして、私もですΩ\ζ°)チーン
      瀬戸内寂聴さんもお坊さんでした
      そして、私もですΩ\ζ°)チーン
      2025/04/25
    • bmakiさん
      あー!そうかぁ。
      瀬戸内寂聴さんが上司だったのか!
      (*´∀`*)
      あー!そうかぁ。
      瀬戸内寂聴さんが上司だったのか!
      (*´∀`*)
      2025/04/26
  • 司馬遼太郎さんの代表作「燃えよ剣」
    上下巻合わせて約900頁の超大作で、いつか読もうと手元に置いてから10年以上経ってやっと読み終えた。

    上巻にも書いたが自分にとって司馬遼太郎さんの作品を読むのは初。
    「坂の上の雲」「竜馬がゆく」等はドラマで観た事があったが、実際本で読んでみると凄く面白い書き方をされている作家さんだと感じた。
    司馬遼太郎さんの個人的見解や意見等が物語の中に屡々突如として書かれており逆に凄く新鮮に感じた。あまり見ない書き筋で作者との距離感が妙に身近に感じられる。

    物語は新撰組鬼の副長「土方歳三」の生涯が描かれている。
    自分も土方歳三が大好きで何度か日野にある土方の菩提寺、高幡不動尊に足を運んでいる。また今は閉館してしまったらしいが高幡不動尊の側で土方の親戚子孫の方々が「土方歳三資料館」として数々の歳三所縁の品々を展示公開してくれていた。
    何度か自分も伺わせて頂き、このタイトル「燃えよ剣」の和泉守兼定も実際にこの目で見させて頂いた。貴重な見聞を得られる素敵な資料館だった。

    歳三の最期は未だに不明であり場所も特定されていないが、願望も含めこの作品にもあったように最期は敵陣に斬り込んで行ったと自分も思いたい。
    降伏を否定し、自害も否定し、戦場でこそ散るべきと考えただろう。歳三本人が人に厳しく、隊に忠実だったからこそきっと自分にも厳しく自分を律したに違いない。
    その姿勢、その志、「誠」の字の如くの人生だったと信じている。
    儚さを伴うが誰も真似のできない正真正銘のラストサムライだと思う。

    盟友といっていいだろう近藤との別れ、沖田、井上という天然理心流の同士とのエピソード等々、心を揺さぶられる素晴らしい作品だった。
    お雪と歳三のラブストーリーも秀逸で、運命と使命からくる「死」を前提に見つめあいながらの「愛」が堪らなく透き通って感じられた。

    素晴らしい作品だった。

    • ahddamsさん
      NSFMさん、こんばんは。
      下巻読破お疲れ様でした!土方歳三ゆかりの地を訪れるなど、NSFMさんの熱意に感服します…!
      お雪との逢瀬は今でも...
      NSFMさん、こんばんは。
      下巻読破お疲れ様でした!土方歳三ゆかりの地を訪れるなど、NSFMさんの熱意に感服します…!
      お雪との逢瀬は今でも脳裏に焼き付いています。夕陽ヶ丘を散策する場面が切ないながらも美しくて、自分もその辺りを歩いたりもしました。
      何かの特集で「『燃えよ剣』は滅びの美学」と紹介されていて、それがとても腑に落ちました。まさにラストサムライとして、凛々しくも終わりへと猛進する土方は見事「滅びの美学」を体現していますね…。
      サクセスストーリーよりも、そうしたスタイルの方が自分には光って見えます。
      2024/09/29
    • NSFMさん
      ahddamsさん、こんにちは。
      「滅びの美学」って言われてるんですね。
      そういう風に読み取ればそう見えてきますね。まるで忠臣蔵の様な義が見...
      ahddamsさん、こんにちは。
      「滅びの美学」って言われてるんですね。
      そういう風に読み取ればそう見えてきますね。まるで忠臣蔵の様な義が見えてきます。その義や志が命がけであればあるほど美しく儚く見えます。

      そして自分にはこの作品にもっと時代のうねりの様な時勢という背景が濃く見えてます。
      大政奉還~明治維新にかけて日本の近代化が進み、僅か数十年後にはこの作品にも出てきた東郷平八郎率いる旗艦三笠がロシア•バルティック艦隊を打ち破るわけで、土方歳三がいかに時代の変革の渦中にいたのかを思いしります。
      強国日本は幕末の大紛争をして当然で、義と志を携えた自分達の祖先は第二次世界大戦位までその継がれた精神が一番の力になっていたのだろうと感じます。
      坂本龍馬、高杉晋作、桂小五郎、徳川慶喜、近藤勇、土方歳三、新撰組、この時代だからこその時代の風雲児達。
      官軍賊軍問わずその義と志に美学を感じられ、そこに今の世の中にはない生き様が物凄く格好良く自分には見えますね。


      2024/09/30
  • 【上下巻を通しての感想】
    司馬遼太郎氏は、こんな熱い漢(おとこ)達を書くんだとは、全く知らなかった。良い意味で裏切られた。僕はもっと史実に則って、淡々と物語を書く作家だと勘違いしていた。司馬氏は、今作を読んでよく分かったのだが、実は結構フィクション要素が多い。それこそ上巻に出てきた宿敵である、七里研之助は完全に司馬氏によって創られた人物であるし、歳三の恋人の雪も実は想像上の人物だ。

    なので、史実に則った物語しか読みたくない、あるいは、フィクション要素が少ないストーリーでないと没入出来ないという方には、恐らく向いていない作品だと思う。ただ、もしそういう拘りがそこまで強くない方には、是非読んで欲しい作品だ。

    なぜなら、それこそ上記で書いた七里研之助は、強烈なライバルであると共に、運命の糸で土方と結ばれているように司馬氏は描いている。また、本来ぞっとするほど冷徹で鬼と言われた土方に、恋人の雪がいることにより、感情移入してしまうし、それこそ土方の唯一の心の支えになってくれている。そう、この作品を名作たらしめている大きな理由が、司馬遼太郎氏が創作した人物達なんだと僕は感じた。なので司馬遼太郎氏は、歴史家ではなく、まごうことなき小説家なんだと今作を読んで強く思った。

    自分の思いを先に書いてしまったが、あらすじを書くと以下となる。

    この物語は、一言で言うと、新選組副長、土方歳三の生涯を描き切った小説だ。そういう意味でいうと、かなり単純明快な物語である。武州石田村(現在の東京都日野市)の百姓の息子に生まれた土方歳三が、剣一本の素養だけを頼りに、幕末の動乱期を文字通り走り抜いた一代記だ。喧嘩ばかりに明け暮れた青年期。京都で新選組を立ち上げ、その名を全国に轟かせ、ある意味栄華を誇った京都時代。そして戊辰戦争後、各地で戦うも、徐々に北へ北へと追い詰められ、函館五稜郭まで追い詰められていく…。

    今作は上巻の感想にも書いたが、それぞれの主要人物である3人が、被ることなくとても良い味を出している。

    局長の近藤勇は、出世欲が非常に強く、上昇志向が誰よりも強い。また、政治思想が強くなるにつれ、徐々に新選組の方向性が変わっていく。土方は、基本的に人間的な感情がかなり薄く、言葉数も非常に少ない。また規律を破った隊士への仕打ちは、それこそ鬼そのものだ。ただそんな土方を、どんな時も理解者として味方になってくれる沖田総司。また土方が下手な俳句を読んだ時に見せる沖田のお茶目な態度が、作品に温かみを与えてくれる。そう、3人のバランスが絶妙なんだ。

    ただ殺伐と敵を斬っていくだけの作品なら、ここまで国民的人気を得なかった筈だ。主要キャラクターにそれぞれ感情移入しやすい様、敢えて欠点を描いているところが、作品により没入させてくれる。そこに僕は司馬遼太郎氏の上手さを感じた。

    また作品が終盤に近づくにつれ作者である司馬遼太郎氏は、この作品を通じて読者に何を伝えたかったのだろう?と感じてしまう。

    それは、上巻の人物エピソードにも書いたが、司馬氏が自身の作品で、好きな作品は?と問われ、空海(恐らく「空海の風景」)と、今作「燃えよ剣」と答えている。司馬氏は、世にかなり沢山の作品を送り出している。それこそ、長編小説44作品、短編小説156作品、エッセイに至っては1,500編を超えるという。そこまでの作品数を書いた中で、今作を好きだという。なにかよっぽど、読者に訴えかけたいことがあった筈だ。

    そのことを意識しながら、今作を読むも明確にこれだと分からなかった。例えば「男のロマン」とか、「志を強く持て」とかかな?とも思ったが、なんか違う気がする。作中で土方の考え方や近藤の想いに触れるも、現代に生きる自分には理解しにくい意見や思想がたまにある。それを理解するためには、たぶん司馬氏の小説を多数読むより、幕末や明治維新の頃の思想書を読む方が早いのかなと思った。

    なので、今作を読みながら幕末や明治の頃の思想書で探していると、良い本を見つけた。新渡戸稲造氏の「武士道」だ。恥ずかしながらこの本、武士の心得を書いた本だとばかり思っていた。実はそうではなく当時生きた新渡戸稲造氏が、西洋人向けに日本人はこんな道徳感を持って生きているとか、日本人の倫理観を西洋人に伝えるために書いた思想書だ。その想いを知ってしまうと、積読本を後回しにしてでも、どうしても読みたくなってしまった。なので次は、「武士道」を読みます!

  • 続けて後半も!
    北へ北へと逃走も、土方は闘う。
    この作品は侍に憧れた若者の青春劇、そしてラブストーリーでした。

  • 「男の一生というものは」
    「美しさを作るためのものだ、自分の。そう信じている」
    歳三が病床の総司に語ります。後に、最後までたった一人の幕士として残り、戦った男の美学なのでしょう。
    このふたりの場面には、同志として、また兄弟のような深い絆を感じました。上巻で私にとっての総司は、信じる近藤や歳三からの命令ならば、自分の意思を持たずにただ容赦なく敵方を斬っていく、美しい鬼のような印象でした。けれど、病床でも歳三を慕い、自分を介抱してくれる姉や鉄之助に明るく接し、自分の人生をはかないもののように振り返る姿から、総司は歳三が命を注ぐ新選組を守るためには、自分は剣を抜く、そんな守護神のようなものだったのかなと、しみじみ思えてきたのです。彼は最期、菊一文字で斬ろうとし斬れなかった黒猫に何を見て、ひとりで逝ってしまったのでしょうか。
    正直に言えば、京都で恐れられた鬼の新選組副長としての土方歳三よりも、鳥羽伏見の戦いに破れた以降の歳三に魅力を感じました。会津若松、函館五稜郭での重なる敗戦。近藤との決別と斬首、総司の死など、転がるように加速していく悲劇的な現状を最後まで駆け抜けた歳三。たとえ、世間が間違っていると言おうとも、友が離れていこうとも、最後まで自分の考えを貫く姿。自らの死をも恐れず、負けると分かっている戦に突っ込んでいく姿。そして、長年ともに戦ってきた仲間や若い隊士への生きることを強要した別離。歳三のなかで何かが去っていき、そして芽生えた人生の終盤、この頃の歳三には、哀愁が漂い、懐の深さが滲みでているようで、男とはこういうことなのかと思えたのです。
    でも、そういう男を愛してしまったら、女にも同じくらいの覚悟が必要ですよね。歳三を見送るお雪は、歳三との永遠の別れを覚悟してたのでしょう。戻って来てほしい……そう願ったとしても、お雪ならそんな言葉を、歳三の背中に投げ掛けることは決してしなかったはず。
    ときに、女には理解できないもの。それが男のロマンなのでしょうか。

  • 時は幕末。
    土方歳三の生涯を描いた時代小説。

    260年続いた江戸時代末。日本の転換期である。幕末に繰り広げられた若者たちの熱き活動を描く。大きな流れは史実を基にされているため、リアルとフィクションの織り成す重厚なストーリーとなっている。

    歳三の内に燃える炎はどこまでも熱く、決して冷めなかった。自らの運命にひた走る美学はどこまでのものだったろうか。とても計り知れない。正に絵になる生きざまである。

    敵味方関わらず、この時代を象徴する人物が多く在る、誰も予想できない日本史の特異点だったと言えるだろう。あらゆる個性や思想が、国を巻き込んで激動した。

    単一的な考えから、相対的な考えへと変わってゆく国家の末期であり、黎明期に当たる。これからも語り継がれる時代。
    そこに土方歳三あり。

    読了。

  • 壮絶な鳥羽伏見の戦いの後、朝敵となり、江戸へ逃げる歳三ら。そこから、北上し、会津若松、函館へと。終焉が、近づく。

    武士道に真摯に生き、戦争そのものが目標であった歳三。喧嘩“あるていすと”として、最期を迎える。

    幕末期の知識が、至って曖昧なので、「日本史A」を読んでみた。新選組は、教科書の本文にはでてこない。池田屋事件の備考欄に、記載あるのみ。

    歴史の狭間に、多くの若者が、命を落とした。
    この辺の歴史を、授業でもっとやろうよって、思うんだけど。


    • bmakiさん
      これ、授業でももっと面白くやってくれたら食いついたかもしれません!
      今なら歴史の授業も、もっと興味を持って臨めたのかなぁ??
      これ、授業でももっと面白くやってくれたら食いついたかもしれません!
      今なら歴史の授業も、もっと興味を持って臨めたのかなぁ??
      2025/04/24
  • 【あらすじ】
    元治元年六月の池田屋事件以来、京都に血の雨が降るところ、必ず土方歳三の振るう大業物和泉守兼定があった。
    新選組のもっとも得意な日々であった。
    やがて鳥羽伏見の戦いが始まり、薩長の大砲に白刃でいどんだ新選組は無残に破れ、朝敵となって江戸へ逃げのびる。
    しかし、剣に憑かれた歳三は、剣に導かれるように会津若松へ、函館五稜郭へと戊辰の戦場を血で染めてゆく。

    【内容まとめ】
    1.諸行無常。どんな力も、時代の流れには逆らえない
    2.幕末、崩れゆく幕府という大屋台の「威信」を、新撰組隊士の手で支えた。
    3.全体的に、土方と沖田の交流を描いた物語。
    4.「新撰組」を知りたくば、この本を読めばよし!!(+血風録もね)


    【感想】
    諸行無常。
    新撰組の躍進を大きく描いた上巻と異なり、どんどんと落ちぶれていく新撰組が描かれた物語。
    大きな原因は時代の流れに乗れなかった(乗ることができなかった環境)だが、それに拍車を掛けたのは近藤と沖田だろう。
    己の器を見誤った近藤勇は、分不相応な事に躍起になり、新撰組どころではなくなっていた。
    分不相応なことをするなというメッセージが、この物語には暗示されていたのかなぁ。
    近藤勇の最期に関しては、一文のみで済まされていた・・・笑

    ただ、劣勢でも尚、凄味を増す土方歳三は素晴らしかった。
    幕府と共に崩れゆく新撰組を支え、己が活きる道を必死に模索し、剣に生きて剣に死ぬ人生は胸が熱くなったな。

    上下巻と非常に読みやすく、司馬作品では珍しいくらい脱線しない物語は単純に読みやすかった!
    別冊の「血風録」ももう一度読もう!

    【引用】
    p82
    あきらかに近藤の思想はぐらついている。
    一介の武人であるべき、またそれだけの器量の近藤勇が、いまや分不相応の名誉と地位を得すぎ、さらには思想と政治に憧れを持つようになった。
    近藤の、いわば滑稽な動揺はそこにあった。


    沖田総司
    「持って生まれた自分の性分で精一杯に生きるほか、人間仕方がないのではないでしょうか。」


    土方歳三
    「これは刀だ。」
    「刀とは、工匠が人を斬る目的のためにのみ作ったものだ。刀の性分、目的というのは単純明快なものだ。兵書と同じく、敵を破るという思想だけのものである。」
    「しかし見ろ、この単純の美しさを。刀は、刀は美人よりも美しい。美人は見ていても心は引き締らぬが、刀の美しさは粛然として男子の鉄腸を引き締める。目的は単純であるべきである。思想は単純であるべきである。新撰組は節義にのみ生きるべきである。」


    「土方さん、新撰組はこの先どうなるのでしょう?」
    「どうなる?どうなるとは、漢の事案ではない。婦女子の言うことだ。漢とは、どうするということ以外に思案はない。」


    p459
    思えば幕末、旗本八万騎がなお偸安怠惰の生活を送っている時、崩れゆく幕府という大屋台の「威信」を、新撰組隊士の手で支えてきた。

  • テストなどで間が開いてしまって読み終わるまでに時間がかかってしまった。中学生までの私は歴史が嫌いでこの時代については単語しか知らない状態だったから、ある程度歴史を勉強していればもっと楽しめた作品だったと後悔している。今の私は将来の道など気にせずに歴史はしっかり勉強しようと若い世代に向かって教えるだろう。

    今回は何回か泣きそうになった。まず、お雪と土方の気持ちが通じ合った時。土方さんは自分の信念は強い分、周りとは少し距離があって人間関係が不器用。だからこそ数少ない新撰組以外で、信頼し愛し合える人ができたときは、私は会ったこともないのに親の気分みたいでとても嬉しかった。

    他には推しである沖田さんが死んだとき。本当に悲しかった。将来有望のはずなのに若くして死んでしまったこともショックだったし、土方さんが唯一気を許していた相手だったようにも思えるから、土方さんが1人になってしまうような気がしてそれも悲しかった。また、もう2人の掛け合いが見られなくなるということも悲しかった。また、沖田さんは近藤勇が亡くなったということを知らされずに亡くなったし、お世話をしてくれていた姉も夫の都合でもう遠くにいたから若いのに孤独なしであったから本当に泣きそうだった。自分の刀で黒猫を切ろうとして死んだらしいが、最期まで武士であったことが読み取れてさらにカッコよくて好きになった。

    この時代の武士の人たちや新撰組のような幕府側にいた人たちは今までずっと頭が硬いなと思っていた。はやく降伏すればよかったのにと。でもこの時代には今ではない武士道があって自分たちの信念を貫いて生き抜いたと思うととてもかっこいいと思った。最後の五稜郭の戦いでも榎本武揚や大鳥らは降伏してしまうが、土方さんをはじめとする人たちは途中で曲がることなく、進むと決めた道を行く姿に痺れた。その分お雪との別れはお互いに最期だとわかっていたのが読者にも伝わるから辛かった。

    全体的にとてもよかった。またいつか知識をつけてからもう一度再読してより楽しみたいと思う。

  • 白河小峰城へ行った時にお城の説明を読み、戊辰戦争に関係する事がもっと知りたくなりこの本にたどり着く。いいね再度新選組を復習しよう。

    改めて司馬遼太郎氏の人物描写の上手さに舌を巻く、まるで彼がその現場を見てきたように描いてくれるので物語に入り込める。

    新選組 土方歳三の話し、心熱くなるエピソードと共に彼の軌跡を辿れることが楽しい。

    ■年表をまとめてみた
    1859年 近藤と会い天然理心流に入門
    1863年 徳川家茂警護の為の浪士組に応募し京都へ行く、新選組発足。
    1864年 池田谷事件 長州藩士・土佐藩士らに天誅
    1867年 大政奉還
    1868年 戊辰戦争勃発新政府軍に敗北、甲斐に向かうが甲州勝沼の戦いでも敗北
        江戸開城、江戸を脱出し、宇都宮城を陥落させる。壬生の戦いに敗れる。
        会津、仙台、蝦夷に移動する。
    1869年 新政府軍、函館総攻撃の中で落命。(享年34歳)    

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著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

司馬遼太郎の作品

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