司馬遼太郎が考えたこと〈15〉エッセイ1990.10~1996.2 (新潮文庫)
- 新潮社 (2006年1月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101152578
感想・レビュー・書評
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新潮文庫
司馬遼太郎 が考えたこと15
著者晩年のエッセイ集。
「他者を理解することから、二十一世紀の幸福は出発するでしょう」と結論づけたエッセイ「人間について」は 傑作だと思う。
死期を悟ったかのように、著者の晩年のエッセイは 人間に関するものが多い。文学者として、矩を越えない生き方 に到達して、それを文章に遺して 没したように読める
人気作品を数多く書きながら、司馬遼太郎はなぜ虚無に陥らなかったのか? モンゴル好きが 影響しているのか?遊牧性や流動性は 虚無を回避させるのだろうか?
「モンゴルは化石の国ではない。生きて動いているものの、そのよさは不動のものにある」といった言葉にヒントがあると思う。モンゴルの歴史の本を見てみようと思う
「人間について」
*バカとは〜人間の本性にひそむ暗黒の部分のこと
*人間は〜集団となって熱狂がおこると、一人ずつが本然に持っている少量のバカが、足し算でなく掛け算になって〜火山が噴火するように愚行をやる
*民族、宗教、国家〜この三つが人間を集団化させる
*この三つは、人びとが穏やかなときは 素晴らしいものです
*人間という生物は一人では生存しない〜社会が必要です〜この三つは人間に社会を与えてくれる
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『日本仏教小論』が、印象に残りました。とくに浄土真宗の成立らへんが。たまたまひとつ前に読んだ『街道をゆく、芸備の道』にも、出だしで安芸門徒について書かれていました。司馬さんの浄土真宗への思い入れを感じました。